ジェフリーバワのオフィス跡「パラダイスロード・ザ・ギャラリーカフェ」を徹底解説!

コロンボで必見の観光スポットである「パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ(Paradise Road The Gallery Cafe」について、詳しくご紹介していきます。
目次
最初は住宅(バルトロメウス・ハウス)として設計された

ゲート(日中)
パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェの土地は、元々はコロンボ7にある「ライオネル・ウェンデット・アート・センター(Lionel Wendt Art Centre)」の共同創業者であり、アートのパトロンでもあったハロルド・ペイリス(Harold Peiris)が所有していたそうです。
バーガー人の医者バルトロメウス(Bartholomeusz)が、その土地に建てる自宅の設計をバワに依頼しました。
設計は1960〜1962年でバワが建設したイナ・デ・シルヴァ(Ena de Silva)の家(現在のナンバー5 @ ルヌガンガ)を発展させたもので、3つの庭園を持つ、シンハラ人の邸宅とオランダ統治時代のタウンハウスの要素を持った独特のパビリオンとして建てられました。
建築の年は1961年〜1963年です。
道に面した手前の建物は使用人の部屋とガレージを有するゲートのような役割をする建物として作られています。
今は1つ目の建物と2つ目の建物の間が駐車場スペースとして使われています。

駐車場からギャラリー方面(日中)
現在のカフェの部分がリビングルーム、個室として使われている2階(事前予約が必要)はベットルームとして設計されています。
もうすぐ完成というタイミングでバルトロメウスは注文をキャンセルし、オーストラリアに行ってしまいます。
バワ(エドワード、レイド・アンド・ベッグ)の設計事務所になる

駐車場からギャラリー方面(夕方)
バワは当時、建築設計事務所「エドワード、レイド・アンド・ベッグ(Edwards, Reid and Begg)」のプリンシパル・パートナーでした。
事務所の他のパートナーたちを説得して、バルトロメウスの家を取得して、建築設計事務所のオフィスにします。
現在、ケーキを陳列しているテーブルはバワが使っていたテーブルで、配置もバワが使っていた場所のままになっています。
南の壁に背を向けて、オフィス全体が見渡せる位置にバワは座っていたそうです。
バワの初期の作品は、設計事務所に参加したデンマーク人のウルリク・プレスナー(Ulrik Plesner)との二人で主に設計を手掛けていますが、アソシエイトのプレスナーもリビングルームとして設計されたメインオフィスに席を構えてたそうです。

ギャラリー正面(夕方)
一方で、他のパートナーは現在のトイレとして使われている駐車場とギャラリーの間にある建物に部屋を持ち、仕事をしていたそうです。
現在のギャラリースペースはオフィスの待合室として使われていました。
カフェ、ギャラリー、バー、ショップとして改装される

バワの頭像
1980年後半になると、バワはエドワード、レイド・アンド・ベッグから徐々に距離を置くようになります。
1989年、70歳になったバワは自宅(現在のナンバー11)に小さな設計室を作り、自宅で設計をするようになります。
その後、1989年〜1997年の8年間はほとんど事務所は使われず、当時のパートナーのポッロガスンドラム(Poologasundram)とバワは設計事務所を閉じることにし、バワがオフィスの所有者となります。
バワはパラダイス・ロードの創業者であるシャーンス・フェルナンド(Shanth Fernando)にオフィスを貸し出します。

ギャラリー脇の席(夜間は暗くてよく見えません)
フェルナンドはバワのアシスタントであったチャンナ・ダスワッタ(Channa Daswatte)に依頼して、一番奥のスペースをロッジアとガーデンに改装し、現在はバー、カフェのテラス席になっています。
そして、1998年にギャラリー、カフェ、ショップとしてオープンしています。
コロンボを代表する有名高級レストランになる

バワが使っていたデスク(日中)
デザイナーでもフェルナンドはレストランのメニューはケーキを除いて、ほぼ自ら考案しています。
本人によれば、現在のメニューの8割はオープン当時からのものだそうです。
ケーキについては、フェルナンドのオランダ人の妻アンジェリカ(Angelika)によるレシピで作られています。
フェルナンドは19歳でオランダに留学し、アンジェリカで出会い、結婚。
その後、オーストラリアに10年住み、最初の5年はハイアット・キングスゲート・シドニー(Hyatt Kingsgate Sydney)で働き、後半の5年間はヨーロッパから子供のおもちゃを輸入する事業で起業しています。
その後、スリランカに帰国して、スリランカの職人の技とモダンなデザインを融合した自らのブランド「パラダイス・ロード」を立ち上げ、創業しています。

オープンテラス(日中)
バワとフェルナンドのインターナショナルでアーティスティックなバックグランドが相まって、パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェはコロンボのセレブレティーや外国人駐在員、外国人旅行者が集まるカフェ、レストランになっていきます。

テラス席(夕方)
フェルナンドは時折、カフェで家族や知人と、あるいは一人で食事をしている時がありますので、運が良ければ見かけるかもしれません。
オープンテラスの全体が見えるテラス手前側の席がフェルナンドのお気に入りの席です。
若いアーティストの発掘にも力を入れており、ギャラリーの展示は毎月、別のアーティストに変わっています。
以前はザ・ギャラリー・カフェの隣にはフェルナンドがデザインした家具を取り扱う「パラダイス・ロード・ザ・スタジオ」がありましたが、今はコロンボ7の「パラダイス・ロード」の隣に「パラダイス・ロード・コレクション」として移転しています。
オススメの訪問時間

ロッジアの座席(夕方)
17時頃に訪れるのがお勧めです。
暗くなる前に到着する、まだ夕食にくるお客さんも少なく、写真も撮影しやすいです。
木々の緑も鮮やかで綺麗です。
明るい状態も見た上で、移り変わる景色を楽しみながらムーディーな雰囲気の中、食事も楽しめます。

セッティングされたテーブルとデザートメニュー
バワは時間とともに変化する光の加減も建築の演出に考慮している場合が多く、それぞれの時間帯に訪れると味わいが変わります。
ただ、ここでは夕日が見られません。
明るい時間とライトアップ後のどちらがお勧めかというと、ライトアップ後ですので、夕日を海沿いで見てから、こちらに来ても良いでしょう。
メニューの一部をご紹介
パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェは食事も美味しいと評判のレストランです。
メニューの一部を写真で紹介します。

メディテリアン・サラダ、ポーク・チョップ、スパゲティ・ウィズ・ブラックオリーブ・チェダーチーズ
ブラックポークカレー、シーフードリゾットなどが評判の人気と聞いています。
上記の写真は訪問時に店員さんからオススメされたものを注文した時のものです。

シーフードリゾット

シャンペンリゾット(ベジタリアン)

レモングラス・ジャンジャー・チキン

パラダイス・ロード・チョコレート・ケーキ

ダブル・チョコレート・チーズ・ケーキとジンジャービア(途中まで飲んでしまいました。。)

パラダイス・ロード・チャイ
併設されたショップ

人気のお土産が揃うショップ
コロンボ7にある本店ほどには品揃えは充実していませんが、パラダイス・ロードの定番商品が置いてあります。
本店の営業時間は19時までですので、それより遅い時間に買いたい場合はこちらに来ると良いでしょう。
動画でも詳細をご紹介
パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェについて、詳細をご紹介した動画を挙げておりますので、是非そちらもご覧ください。
参考
Geoffrey Bawa The Complete Works
In Search of Bawa Master Architect of Sri Lanka
熱帯建築家 ジェフリーバワの冒険 隈研吾 山口由美 著
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、ホステル「スパイスアップ・ハウス」開設。
2020年8月、週刊「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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