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スリランカ発アップサイクルブランド「MUSACO」の取り組み

2024年11月06日

MUSACOとは

MUSACOはバナナファイバー(バナナの茎から抽出した繊維)を活用した持続可能な商品開発に取り組むスリランカ発のアップサイクル・エコブランドです。通常ならば廃棄されてしまうバナナの茎を活用することで、環境にやさしい製品作り、地域の経済や社会に貢献しています。

引用:MUSACOホームページ

MUSACOはキャンディから車で1時間弱の距離にあるケーガッラという小さな町の周辺で育ったバナナの茎を使用して商品を製作しています。ブランド名であるMUSACOは、ケーガッラ地域で有名なバナナの在来種である「MUSA」と繊維から抽出できる茎を意味する「CO」との組み合わせです。

引用:NPO法人アプカス

MUSACOのビジョン

MUSACOのビジョンはエコ・フレンドリー、ヒューマン・フレンドリー(環境にやさしい、人に優しい)です。

本来ならば廃棄されてしまうような見捨てられた素材を利用して環境負荷の少ない方法で製造しています。また、この取り組みによって、女性や障がい者が社会や経済活動に参加できる環境を整え、途上国の発展をさらに支える力としてエンパワメントを高めることに繋がります。

 

年間約10億トン廃棄されているバナナの茎

毎年、世界中で約10億トンのバナナの茎が廃棄されています。それらのバナナの茎は通常は、燃やされており、焼却によって大気が汚染されると同時に、茎が腐って土壌が汚染されるという問題が生じています。

 

そこで廃棄されたバナナの茎を繊維として利用することで、地球環境の保護にも役立ちます。また、廃棄物や不用品を活用して価値を高めることにも繋がります。

MUSACOの商品の製造プロセス

1.廃棄されるバナナの茎を収集

生産者の生活圏の隣人に聞くなどして古いバナナの木を探します。廃棄される古いバナナを探したら茎を40~50㎝ほど残して切ります。その茎の根本に生え始めた新芽が大きくなって再び実を結びます。茎には多くの水分が含まれているため非常に重く重労働です。そのため、この作業は、男性が行うことが多いそうです。

2.茎から繊維を抽出

バナナの茎から繊維を抽出する工程は、基本的には機械作業ですが、綺麗な繊維に拘り、手作業で抽出するメンバーもいます。バナナの木が伐採された後は、MUSACOの繊維抽出機に運ばれます。バナナの茎には水分が多く含まれているため、放置すると腐敗し、虫も発生します。そのため、できるだけ早く繊維を抽出することが重要となります。まず、茎の外側の樹皮を取り除き、縦に長く薄く切ります。これらを1つずつマシンに押し込み、引き戻すという工程を繰り返します。

3.繊維の洗浄と乾燥

繊維の束を水で洗浄した後、ロープで覆い天日干しをします。日差しのあるタイミングを狙って乾燥させるため、雨の多いシーズンは、室内に取り込んでは外に出したりと、管理が大変です。乾かし過ぎると繊維が切れやすくなり、湿っていると黒カビの原因になってしまうため、乾燥する時間に注意が必要だそうです。

4.糸づくり

繊維が乾燥したら、屋内に持ち込んで保管します。生産チームが手作業で時間をかけながら繊維を糸に紡ぎます。糸の太さは0.5mmから8mmまで様々です。熟練した人でも1時間に紡ぎあげられる糸の長さは4~5m程度だそうです。

5.加工と製品化

糸が紡がれると、その糸を使用してバッグ、ベルト、キーホルダー、アクササリーなど様々な製品に生まれ変わります。

ベルト

コースター

ミサンガ

カバン

ショルダーバッグ

のれん

その他商品

使われなくなったサリーを活用した商品

ポーチ

エコバッグ

サリーの着物

以下の写真のコースター、サリーとバナナファイバーを使用したクラフトカップの中に使っているコースターは、障がい者の女性達が作っています。

MUSACO従業員へのインタビュー

今回MUSACOを案内してくれた方は、Upekshaさん。息子さんは現在10か月。子育てをしながら仕事に励む、働き者のママさんです。彼女が、MUSACOの活動に興味を持ったきっかけは、彼女の母がバナナ栽培に関与しており、バナナの繊維でモノを作っていたからだそうです。

 

育児をしながら仕事をするのは非常に大変なことだと思いますが、彼女は

「MUSACOは私に週に1日のオフィス勤務と、その他の日は在宅勤務をする機会を与えてくれた。子どもがいるため、これは非常にありがたかった。」

「時間があれば夫が手伝ってくれるが、1人で赤ちゃんの面倒を見ているため、育児と仕事を両立するのは大変。しかし、家事や育児だけに専念すると孤立感を感じるため、仕事と育児の両立は私にとって良いことだと思う。」とおっしゃっていました。

また、仕事のやりがいに関しては、

「新製品について考えるのはとても楽しく、チームのメンバーと一緒に働くのは本当にやりがいがある。」とおっしゃっていました。

 

MUSACO訪問の感想

実際に、スリランカにあるMUSACO(ムサコ)を訪問し、彼らの取り組みに強い感銘を受けました。

1. 環境保護と持続可能性への貢献

MUSACOでは、通常は廃棄されるバナナの茎から繊維を抽出し、さまざまな製品に活用しています。この方法により、農業廃棄物の削減と資源の最大活用が実現されており、私たちの未来に必要な「循環型経済」の推進に貢献しています。バナナの茎を再利用することで、環境への負荷を軽減しつつ、自然の素材を生かしたエコロジカルな商品作りが行われているのです。こうした取り組みは、地球環境の保護において非常に価値のあることだと感じました。

2. 地域経済への貢献と社会的なインパクト

MUSACOが使用するバナナファイバーは、スリランカの農村地域で生産されたものです。この素材を活用することで、地元の農家や労働者に新たな雇用機会が生まれ、彼らの生活の安定や向上がサポートされています。さらに、MUSACOでは多くの女性労働者が雇用されており、彼女たちが育児や家庭と仕事を両立しやすい職場環境も整えられています。このような支援体制により、女性たちが家庭や地域での役割を保ちながら、経済的にも自立できる道が開かれています。特に、女性のエンパワーメントに積極的に貢献している点に、社会的な意義の深さを感じました。

3. バナナファイバー商品の特性と魅力

バナナファイバーで作られた商品は、見た目がナチュラルで美しく、非常に軽量でありながら耐久性にも優れています。手触りも柔らかく、それでいてしっかりとした強度があるため、さまざまな用途に適していると感じました。また、この素材は通気性も良く、時間が経っても形状を保つ特性があり、エコでありながら実用性も兼ね備えた理想的な素材だと思いました。

 

MUSACOの取り組みを目の当たりにして、環境や地域社会への配慮が随所に行き届いた企業であることを実感しました。彼らの活動がより広く知られ、今後さらに多くの人々に支持されることを願っています。

 

参考)
MUSACO公式サイト
NPO法人アプカス:「アップサイクルクラフトブランド『MUSACO』の展開による地域開発(クラフト分野)」

 

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