「スポゴミ」スリランカで開催!
スリランカでごみ拾いを“スポーツ”に:楽しみながら社会を変えるスポGOMIの挑戦
こんにちは、スリランカで半年間インターンをしている亜美です。
今回は、スリランカで出会ったJICAの隊員さんに誘われて、スリランカで開催される「スポGOMI」にお邪魔してきました。
どのような活動だったのか、そして実際に見て感じたことを、この記事でご紹介します!!
スポGOMIって何?
スポGOMIは2008年に日本で生まれた「ごみ拾いをスポーツ化」した新しい取り組みです。
3人1組で制限時間内に決められたエリアのごみを拾い、種類や重量によってポイントを競います。競技性があるため、単なる清掃活動とは違い、参加者同士が戦略を立てたり役割分担したりと、まるでスポーツ大会のような盛り上がりを見せます。
スポゴミの公式サイトはこちらになります。日本の多くの場所で開催されています。
スポゴミワールドカップの公式サイトはこちらです。
なぜスリランカで開催されたのか
スリランカ大会は、環境教育に携わるJICA海外協力隊員の発案から始まりました。
「楽しさを通して環境問題を身近に感じてもらえるのでは」という想いから現地の環境団体「Zero Plastic Movement」に相談し、協力のもと開催が実現。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
観光地や都市部でのごみ問題が深刻化するスリランカにおいて、若い世代から大人まで参加できる“きっかけづくり”として注目を集めています。
スリランカ人のごみに対する意識
コロンボ市内のような大きな都市では、毎朝、地方自治体から派遣された作業員が道路を丁寧に掃除してくれるため、比較的清潔です。しかし、散歩していると、街角にごみがたまっている光景も目に付きます。
一方で、ポイ捨てに寛容な価値観が広がっており、特に海辺にはたくさんのごみが散乱しているのが現実です。郊外へ少し足を伸ばすと、ごみの山が目に入ることも珍しくありません。
その背景には、ごみ処理の仕組みや、住民の意識を高める取り組みがまだ十分に整っていないという現状があります。
2017年には、コロンボ近郊のミートタムッラで高さ約90メートルのごみ山が崩れ、32人が亡くなる大きな事故が起きました。これをきっかけに、ごみの安全管理や処理方法を見直す必要性が強く叫ばれるようになりました。詳しくはこちらの記事に書かれています。
その後、都市部では可燃ごみと不燃ごみの分別を進めたり、コロンボ近郊のケラワリピティヤなどで堆肥化施設を稼働させるなど、新しい取り組みも始まっています。
研究では、堆肥化(コンポスト)は野ざらしでごみを処分する方法よりも、環境や経済の面で効果的だとされていますが、まだ広くは普及していません。(出典:Roar Media『Meethotamulla: One Year On』)
実際の大会の様子
今回の大会には多くの学生が参加。



スタートの合図と同時に、チームごとにごみ袋とトングを手に街へ飛び出します。



参加前から作戦を練り、どこを狙うかを相談するチームの姿も。大きめのペットボトルやビンを狙って素早く動く人、街角や植え込みの奥まで手を伸ばして拾う人――みんな声を掛け合いながら、制限時間いっぱいまで歩き続けました。何度も会場にごみを置きに戻っては、すぐに次のポイントへ向かう姿も見られ、その往復を重ねるたびに袋はずっしりと膨らんでいきました。



制限時間が近づくと、皆息を切らしながら会場に戻り、計量と採点へ。



結果発表の瞬間は、拍手と笑顔に包まれていました。
見事1位に輝いたチームには、日本で行われる決勝戦への大きなチケットが手渡され、その笑顔からは達成感がはっきりと感じられました。



各国の代表が出場するワールドカップは2025年10月(予定)に日本で開催されます。この大会に向け、日本では47都道府県で予選大会と全国大会、海外では世界6大州・30カ国以上で予選大会が行われる予定です。
スリランカでのスポゴミに関するまとめはこちらのサイトで確認できます。
参加者インタビュー
イベント当日、さまざまな背景を持つ参加者たちにお話を伺いました。
それぞれが抱える想いや、実際に参加して感じたことを紹介します。
「環境のために行動を」
「私たち3人は『Seal of Plastic Institute』のメンバーです。環境のために何か行動を起こし、実際に体験する良い機会だと思って参加しました。このコンセプトはとても素晴らしいと思います。プログラムに限らず、こうした取り組みを活かして環境をよりクリーンにし、生産性や効率も上げられると感じました。イベントでは全力を尽くし、たくさんのごみを運びました。本当に重くて大変でしたが、この経験はやる価値がありました。優勝できず少し残念な気持ちもありますが、やり切った達成感で今は嬉しい気持ちです。」
「次の世代のために」
「次の世代のために、より良い世界を残したいと思ったからです。もし私たちが何の行動も起こさなければ、その未来は守れません。イベントを終えた今はとても嬉しい気持ちです。優勝した人たちのことも、自分の国のためにも嬉しい気持ちです。」
「海辺も守りたい」
「自然や海辺を守りたいと思ったからです。それで、このイベントに参加しました。優勝はできませんでしたが、心は満たされています。スリランカは本当に素晴らしい国だと思います。」
「ゼロプラスチックを実現したい」
「イベントに参加した理由は、コロンボの自然に興味があったからです。このイベントは私たちのために開催されていて、『ゼロプラスチック』という名前にも惹かれました。コロンボでゼロプラスチックを実現することはとても大切です。たくさんのことを学びました。特に、場所をきれいに保ち、ゼロプラスチックを目指す必要があると実感しました。この活動を通じて、新しい友人や経験ができました。体を動かすことでストレスが減り、とても良い経験になりました。一番楽しかったのはゲーム感覚で取り組めること。そのおかげで、みんながやる気になれました。」


まとめ
今回のスポGOMIは、ただのごみ拾いではなく、参加者同士が声を掛け合い、作戦を立て、最後まで全力で走り抜ける“競技”でした。集められたごみの量や種類以上に、人々の笑顔や達成感が印象に残ります。この経験を通して、環境問題に向き合うきっかけが、もっと多くの人に広がっていくことを願っています。
今回、このイベントに誘ってくれたJICAのたろさんに心から感謝します。そして、運営を支えてくださったJICAの皆さん、本当にお疲れさまでした。




立教大学を休学して、スリランカでカメラマンとして活動中です。
写真・記事・動画を通して、現地のリアルな魅力を発信しています。
日本の着物文化が大好きで、スリランカではその熱がサリーに向かい、すでに5着も仕立ててしまいました。
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