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コロンボ街角リサーチ:スリランカ人が愛する音楽のリアル

2025年9月12日

こんにちは、スリランカで記者インターンをしている、大学4年生の山田です♪

スリランカ滞在中に、現地の音楽シーンについて調べてみました。

伝統的なジャンルから最新の配信ランキング、さらに街角インタビューまでを通じて見えてきたのは、「伝統 × 恋愛歌詞 × 世界の潮流」 が共存する多様な音楽文化でした。

スリランカ音楽のジャンル

①シンハラ系

  • 特徴:シンハラ語で歌われる大衆音楽。インドの映画音楽やクラシック音楽の影響を受けつつ、1960年代以降はギターやドラムなど西洋楽器も取り入れて独自進化。
  • 代表的存在:「スリランカ・ポップの父」と呼ばれる クラレンス・ウィジェワルデナ が、電気ギターを導入して革新を起こした。
  • 現代の流れ:YouTubeやApple Musicで人気の「Manike Mage Hithe」などもシンハラポップの流れに位置づけられる。

②タミル系

  • 特徴:南インド文化圏との深いつながりを持つ。タミル語で歌われ、古典音楽(カルナーティック音楽)の要素や、インド映画音楽の影響が強い。
  • 楽器:タブラやムリダンガムなど打楽器が使われることも多い。
  • 現代:ヒップホップやポップと融合した若手アーティストも増え、タミル系コミュニティだけでなく広く支持を得ている。

③バイラ系

  • 起源:16世紀のポルトガル支配下で伝わったダンス音楽が起源。ポルトガル語の「bailar(踊る)」が語源。
  • 特徴:明るく陽気なリズム、4拍子のダンスビート。祝祭や結婚式で演奏される定番ジャンル。
  • 発展:アフリカ系移民(Kaffirs)が持ち込んだリズムと融合し、さらにシンハラ語やタミル語の歌詞を取り入れて国民的音楽に。
  • 現代:結婚式などおめでたい場で使用されている。テクノやエレクトロと組み合わせた「Bailatronic」といった派生ジャンルも登場。

④その他

クラシカル音楽 (Classical Music)

  • インドのヒンドゥスターニー音楽やカルナーティック音楽を基盤に持つ。
  • 宮廷音楽や宗教儀式で演奏され、伝統的楽器(ヴァイオリン、シタール、タブラ、ハルモニウム)が用いられる。

フォーク音楽 (Folk Music)

  • 地域ごとに異なる伝承音楽。農作業歌、祝い歌、宗教儀礼歌など。
  • 民族舞踊と強く結びついており、打楽器(ゲタベラ、ヤカベラなどの太鼓)が多用される。

ロック/フュージョン

  • 1970年代以降、西洋ロックやジャズの影響を受けたバンドが登場。
  • 有名バンド:The Gypsies(バイラ+ロックのフュージョン)。
  • 若者向けに英語歌詞とシンハラ語歌詞を混ぜたスタイルも多い。

映画音楽 (Film Songs)

  • インド映画の影響が強いが、スリランカ映画独自のサウンドもある。
  • 物語を盛り上げるために、ラブソングやダンスナンバーが多用される。

スリランカのapple music 歴代視聴回数ランキング

現在のスリランカの音楽トレンドを探るため、2025年8月現在のapple musicのTop100をデータ化し、人気の傾向を調べてみました。

人気ランキングTOP100位までの曲をジャンル分けすると、以下のような結果になりました。

シンハラ系タミル系バイラ系その他
4116043

集計結果を見ると、「その他」が最多の 43% を占め、次いで シンハラ系が41%、そして タミル系が16%Baila系が0件 という結果となりました。

シンハラ系が多く支持される背景には、日常生活の中で最も耳にする言語であることや、近年のヒット曲がシンハラポップから生まれていることが挙げられます。特に「Manike Mage Hithe」に代表されるように、SNSや配信サービスで広く拡散された楽曲が若者の間で人気を集めている点は見逃せません。

一方で、注目すべきは Baila系が0件 という意外な結果です。スリランカの祝祭や結婚式に欠かせない国民的音楽であるにもかかわらず、ランキングには登場しませんでした。その理由として考えられるのは、Apple Music の利用層が若年層に偏っていること、そして Baila が主に特別な場で演奏される性格を持つため、日常的にストリーミングで聴かれる音楽ジャンルではない点です。

つまり、配信サービスのランキングからは「日常的に聴かれる音楽」と「文化的に重要な音楽」が必ずしも一致しないことが浮かび上がってきました。

その他の内訳を調べると、以下のような結果となりました。

分類件数主な例
洋楽38Ed Sheeran, The Weeknd, Dua Lipa, Justin Bieber, Lady Gaga など
K-POP1Jungkook「Seven」
K-POP/洋楽2Rosé & Bruno Mars「APT.」など
クラシカル音楽0該当なし
フォーク音楽0該当なし
ロック/フュージョン0該当なし(The Gypsiesなどは今回ランクインせず)
映画音楽(スリランカ映画)0インド映画曲は多数あるが「タミル系」として②に分類済み

圧倒的に洋楽が人気!次いでK-popが来ていました。

apple musicランキング まとめ&考察

  • 日本 → 邦楽中心、国内アーティスト偏重。アイドル・アニメ・ロックなど幅広いジャンルがランクイン。
  • スリランカ → ローカル曲+洋楽が共存。ローカルスター(Yohani)が複数曲ランクインする一方、Ed Sheeran など洋楽勢も常に上位。

つまり、日本は「内向き市場」、スリランカは「国際とローカルのハイブリッド市場」という特徴が見えてきました。

街角インタビュー①:あなたの好きなジャンルは?

Apple Music のランキングは、利用者層が若年層に偏っていることや「日常的に聴く音楽」との違いがあるのではと感じました。そこで今回、実際にコロンボの人々がどんな音楽を愛しているのかを確かめるため、街角インタビューを実施しました。

こちらが今回インタビューを行った「Colombo City Centre」‼幅広い世代が集まるモールとのこと。

買い物客に声をかけ、ホワイトボードに「普段聴いている音楽ジャンル」を付箋で貼ってもらいました。

実際のホワイトボードがこちら。

この結果を円グラフにまとめると…

このようになり、apple musicとは違った結果となりました。

インタビュー結果 まとめ&考察

まず驚いたのは、シンハラ系音楽が22%と意外に少なかったこと。Apple Music のランキングではシンハラ系が大きな存在感を見せていたのに対し、街角での調査では控えめな割合にとどまりました。

一方で、タミル系音楽はコミュニティ内で根強く支持されており、やはり生活文化との結びつきの強さがうかがえます。

さらに特徴的だったのは、バイラ系音楽。スリランカ人にとって結婚式や祭りで欠かせないジャンルですが、配信ランキングにはほとんど現れません。しかし街角インタビューでは一定の支持が見られ、「日常的に聴くよりも場面を選んで楽しむ音楽」であることが改めてわかりました。

そして今回、最も目立ったのが「その他」ジャンル(43%)。特に10代の女性からはK-POP人気が圧倒的で、加えてR&B、映画音楽、イギリスのポップスなど多様な回答が集まりました。

まとめ

歌詞を重視する人々の間では、恋愛やロマンチックなテーマを持つ楽曲が特に好まれていることが分かりました。一方で、歌詞よりもリズムを重視する人々は、バイラや映画音楽、さらにはK-POPといったダンスに直結するジャンルを選ぶ傾向が強く見られました。

今回の取材を通じて明らかになったのは、スリランカの音楽シーンが「伝統 × 恋愛歌詞 × 世界の潮流」という三つの要素を共存させているということです。その姿は、想像以上に多様であり、また力強い活気に満ちていると実感しました。

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