スリランカの書店と出版業
スリランカの都市部には日本と同じように多くの本屋があります。
今回はスリランカの本屋について、2つの店舗を取り上げてご紹介します!
スリランカの本屋はどのような雰囲気なのでしょうか?それでは見ていきましょう!
目次
Sarasavi Bookshop
どんなお店?
1つ目が「Sarasavi Bookshop」です。この本屋はスリランカ大手の書店チェーンであり、島の主要都市に支店があります。この書店は、70年以上前に田舎町で営業を開始しました。今回私は「One Galle Face Mall」というショッピングモールに入っている支店を訪れました。
店内雰囲気
店内の雰囲気はこんな感じです


大きく分けて、子ども向け本のエリア・一般的な本のエリア・文房具のエリアに分けられています。

文房具エリアではドラえもんのペンがありました!
ラインナップ
本のラインナップとしては、英語の小説、インドの小説、スリランカについての本、シンハラ語の本など世界各地の本が揃えられており、雑誌も健康、戦争、政治、映画、ヨガ、占星術など様々なジャンルがありました。


その中でもPENGUIN CLASSICSのコーナーが大きく設けられていました。

ペンギンクラッシクスとは、ペンギンブックス出版社の出版物の内、文学の古典作品が英語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語やその他広く世界の言語で訳された作品が出版されているシリーズを指します。英語が広く浸透しているスリランカでは、知識層が英語で古典文学を読むため、ニーズが高いみたいですね。

子ども向け本のコーナーは特に充実しており、勉強についての学習書や私たちの知っているような赤ずきんちゃんやシンデレラなどの童話も数多くあります。
日本のように文庫本はなく、大きいサイズのものばかりでした。そのため、値段が少し高く、だいたい2000ルピーのものが多かった印象です。
また、このお店では、英語の本が一番多く、二番目が公用語であるシンハラ語の本が多いそうです。そして、一番人気な本は英語でもシンハラ語でも物語が多いようです。物語が良く売れる点は日本と同じようですね。
ちなみにSarasavi Bookshopはオンラインストアや電子書籍も行っています。ぜひのぞいてみてください!
Online Book Shop in Sri Lanka| Sarasavi The Bookshop
出版業
スリランカでは出版業と本屋をどちらも行っている会社が多くあります。このSarasavi Bookshopも出版部門である Sarasavi Publishers というものがあり、2000 年に事業を開始しました。
この出版部門は、シンハラ語と英語を使うスリランカ人作家に自分の才能を披露するきっかけを与えました。同時に、独創的なスリランカスタイルの文学の需要が高まり、全体として、出版部門は年間 100 以上のタイトルを制作しており、読者から非常に人気があります。何年にもわたって人気は続いており、今日では、短編小説、翻訳、物語などを購入できます。
Vijitha Yapa Bookshop
どんなお店?
次に「Vijitha Yapa Bookshop」です。こちらの本屋もスリランカ大手書店です。今回はコロンボ市内にある小さな支店を訪れました。
店内雰囲気
店内の雰囲気はこんな感じです


こちらの書店も小さくはありましたが、子ども向け本のコーナー・雑誌のコーナー・一般的な本のコーナーに分かれていました。
ラインナップ
お店の人に「I’m a Japanese student」と伝えると日本の本を見せてくれました!



スリランカに日本の本があるのはなんだか嬉しいですね
子ども向けの本のコーナーには英語の文法を学ぶ教育書や様々な物語があり、シンハラ語の本も多くありました。まったく読めませんがこんな感じです。

雑誌コーナーには、日本と同じように様々なジャンルの雑誌あり、積まれていました。
一般書のコーナーでは先程と同じように物語や歴史や観光、政治についての本などが揃えられていました。
お店の人に聞いてみたところ、こちらのお店でもやはり英語の本が一番多く、人気なのは物語で、政治や経済などの時事ニュース関連の本も人気らしいです。また、子どもから大人まで様々なタイプの人が買いに来るようです。
こちらのお店でも大きいサイズの本が多く、多くのスリランカ人は本を持ち歩くというより、週末や夜に家で読んでいる人が多いようです。
出版業
こちらの本屋は出版業からスタートしました。1993 年に著名なジャーナリスト兼出版社の Vijitha Yapa によって設立されたスリランカの大手書店です。コロンボにあったお店は、全国の書店の幅広いネットワークと確立された出版社に成長しました。フィクション、ノンフィクション、学術テキスト、児童文学など、国内外の多様な書籍を揃えており、受賞歴のあるタイトルや著名なスリランカ作家の作品など、さまざまな本を出版しています。
おまけ
M.D.Gunasena
スリランカにはもう一つ、M.D.Gunasenaという有名な本屋があります。
創業者グラセナは、1913年に印刷業界に参入、1936年に出版業界に参入し、そしてグラセナの甥が書店の営業を開始させました。当時から伝説的な作家による多くの権威あるタイトルが出版され、現在も出版され続けています。
Bare foot
これらの本屋に加えて、アート、写真、野生動物、建築、食べ物などの書籍を多く扱っているお店がBarefoot というお店。こちらのお店は雑貨を多く扱っており、お土産屋さんとしてとても人気ですが、その店の一角に本屋のコーナーがあります。お値段は3000ルピーを越えるものも多くあり、少々お高め。


ベアフットのブックショップは1990年に2冊の本の販売から始まりました。その後旅行客や買い物客に人気になり、棚の一角からベアフットの中心部のスペースにまでなりました。ポスターや、カラフルなノート、ポストカードなども販売しており、本好きさん必見です!
日本の本屋と違いを比較して
まず、大きな違いとして、様々な言語の本があることです。スリランカは人口の約7割がシンハラ人でシンハラ語を使いますが、他にもタミル語が使われていたり、民族をまたいで使われる言語として英語が使われています。民族が分かれているからこそ、様々な言語の本が多いのでしょう。
一方でやはり英語の本が多く、英語教育をしっかり受けていないと読めないものも多いため、教育の差が本へのアクセスの差にも繋がっていることが分かります。
また、文庫本は日本で誕生した独自の文化であったため、スリランカにはありませんでした。そのため、本を移動中に読む、というような持ち歩きの文化もなく、家で読む人が多くなっています。
そして、スリランカの本屋は出版業を兼ねているものが非常に多いです。スリランカでは、本屋の市場規模が小さく、本を全国の本屋に流通させるインフラがまだ未発達です。そのため、自社の店舗で確実に自社の本を販売することを目的としていたり、多角化による事業の安定化を目的にしている場合が多いようです。
まとめ
本屋をのぞくことでその国の文化も垣間見えましたね。有名な観光地に行くことも楽しいですが、このようなスリランカ人の日常生活にこっそり入り込むことも楽しいかもしれません。どこかに行くついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
都留文科大学4年生。夏休みを利用してSpice Upでライターとして活動中。
早寝早起き得意です。スリランカでの好きな食べ物はスイカジュース。
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