Budo Sri Lankaインタビュー~スリランカの教育事情
目次
インタビューのいきさつ
図書館で作業をしていると、一人の記者に声をかけられました。私が日本人だとわかると「SENSEIのもとで日本のBUDOをしてるんだ。」と話しかけてくれました。偶然にも日本の武道を教えているスリランカ人がいることを知り、彼がなぜ日本の武道を教えているのか興味を持ったのでインタビューをすることにしました。
Budo Sri Lanka

コロンボの中心地から20分ほどにBudo Sri Lanka (Budo culture research and training institute)はある。
この道場では弓道、合気道、剣道、居合道、柔道、茶道のレッスンを受けることができます。
Keerthiさんの経歴

1976年 アクション映画の影響で武道に出会う。
1981年 松濤館流の黒帯を取得。
1982年~1988年 スリランカのサバラガムワ州エンビリピティヤの田舎の子供たちに松濤館流空手道を指導。
1989年 武道を学ぶために訪日。
1990年 Lalani Nadakandaさんと結婚し、文化活動ビザを適切に維持しつつ、2人で一緒に武道を練習。
1989年~1997年 心身統一合氣道の創始者である藤平光一氏に師事し、週3回、昼間に稽古に通う。
1990年~1997年 久保明先生のもと、東京久明館道場で週3回、夜に剣道を稽古する。
1990年~1997年 日曜日は秩父の静仙洞ユーアイ弓道場で小野忠先生の下で弓道を稽古。週に一度はJKA本部道場で松涛館空手を稽古。
1997年 帰国後、Budo Culture Research and Training Institute を開設。武道をスポーツではなく日本文化活動として教える。

1989年に初めて訪れた日本で、人のやさしさ、謙虚さに感銘を受け、日本で武道の修行を積むことになったそう。Keerthiさんが日本武道留学をされている際に習得したのは武術だけではありません。心と体の調整、瞑想、気功療法は彼の思考に大きな影響を与えました。
なぜ武道を教えているのか

「日本が経済、社会、平和、文化の繁栄について、世界全体のお手本となっていることを認識しました。その主な要因は、武道文化(武士道)の影響です。そのため、私たちは スリランカの人たちに日本の文化と武士道を教え、日常生活で実践すべき習慣・規律・考え方を伝えたいと強く思っています。」
Keerthiさんからお話を聞いて、日本文化へのリスペクトを感じるとともに、スリランカの未来のために武道を広めたいという情熱を感じました。

この30年間でのスリランカの変化
Keerthi さんはこの30年でスリランカの人たちが少し利己的になったといいます。以前のような優しいスリランカ人ではなく、お金、富に執着する人が増えたそうです。その影響で一人一人の文化に対する関心が薄れるのと同時にメディアの影響などによる若者の急速な西欧化の流れはスリランカ文化の後退につながるのはないかと懸念しています。

Keerthiさんが語る文化の大切さ
スリランカのグローバル化を尊重する一方で、各国がそれぞれの文化を尊重をすべきだと述べます。現在のスリランカの若者の西欧化の流れは正しい方向ではないと持論を展開し、自国の誇りを持つことの大切さを述べました。
Keerthiさんが子供たちに日本の武道を教えるのは文化交流の役割もあります。異なる文化を楽しむことで国境を越えた価値観を知ることの大切さを意味します。他国の文化を模倣するのではなく、武道からその土地特有の文化を知り、尊重することがグローバル化の一歩だと言います。

インタビューから見えたスリランカの教育事情
スリランカの学校教育では体育科目や部活動は積極的には実施されていないそうです。スリランカではスポーツをすることが学業での成績低下につながると考える家庭も多いとか。
貧困層ほど良い大学への進学が人生を変えるチャンスだと信じて疑わない家庭も多く、幼少期から子供に対する教育熱が高く、スポーツがないがしろにされやすいと言います。
スリランカの教員の平均給与は日本円で約3万円ほどです。この額は、塾の先生の平均給与よりも低く、多くの子供たちは先生を目指さずに、給与の高い仕事やビジネスマンを目指すそうです。その結果、学校教員の需要が低くなり教員の質も下がるため、受験期が近づくと学校を休んで質の高い塾の教育を優先する生徒が多いのだそうです。
最後に

今回のインタビューは日本語と英語を交えたインタビュー形式で取材をしました。互いに言語を理解することが難しい時に、英語や日本語で説明をするといった方法で大変丁寧に取材を受けてくれました。
インタビュー後はKeerthiさんと奥さんと一緒にお茶をしながら日本滞在時の経験や、スリランカの国内外の政治まで様々なトピックを話しました。今回の取材を通してKeerthiさんの日本の武道に対する熱いリスペクトを感じたのと同時にスリランカの今後について、政治から文化まで深く話し合い、大変貴重な経験をすることができました。
同志社大学在学中。卒業まで半年を残して大学を休学し、インターンに参加。宗教や民族問題について興味があります。インターンでは記事執筆とカメラマンで参加中。
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