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【Global Japanコラム8】熱帯の喜怒哀楽経営のススメ

2024年12月20日

ここでニヤつくか 1

「この男はきっと人生で誰かに本気で怒られたことがないな」スリランカで思わず怒号を放ってしまった際に、相手に「ニヤ―ッ」とされると、そう思います。周りの人に同調を求めような卑しい目の遣り方が特徴的です。「この人、独りでなに熱くなってるんだろう、なあみんな」と或いは余裕のフリなのか、しかし実は、本気で怒られてしまったことに対するショック隠しの自衛行為であることを我々は知るのです。(直近では某バンダラナイケ国際空港カウンターにて、でした)。

ここでニヤつくか 2

ある店舗の賃貸契約に立ち会った時、記載されるべき契約月額が、25万スリランカルピーであるべきところ、2万ルピーと記載されていたため、それを指摘すると、「心配するな、書面上だけの話だ。この国ではこうやるんだ。」と立会の弁護士にもさらりと言われたので、借主側としては、そんな工作(脱税?)に加担したくないので、「冗談じゃない、こんなのには署名できない。外国人だからってなめるな」と怒鳴ったら、弁護士も家主も「やれやれ。。」とニヤニヤしはじめました。その態度を見て、さらに腹立たしくなって、結局契約目前で完全にご破算にしてしまったことがありました(ある意味、人生の分かれ目でした)。

のっぺらぼう経営

私たちコンサルタントは、“もはや笑えない状況” に陥っている会社のサポートを担うこともままあります。それは、財務的にも、コンプライアンス的にも、あるいは組織的にもです。そういった会社の特徴のひとつに、文字通り笑顔はとっくのとうに消えていますけども、実は怒りの方も消えてしまっている、あるいは押し殺されている現象があります。

こういった、のっぺらぼう現象が起こるのは、そもそも会社に、怒ったり怒られたり、喧嘩したりする土壌がなかったためと考えられ、代わりに腹の探り合いが横行し、誤解だけが増幅して、とても挙社一致体制で物事がすすめられる状況にはありません。私たちコンサルタントは、本来請け負うべき専門業務の前に、滞っていた感情関係の血行を良くすることから入らざるを得ない場合もあるのです。

現地に駐在されている方々の多くは、アジアの国々では人前で部下を叱るのはタブーだと聞かされてこの国にやって来たのではないでしょうか。部下ならずとも、現地人を公然と叱責することで、その自尊心は傷つき、忠誠心は失われ、恨みすら買う原因にすらなる、といった判で押したような理由もセットです。筆者の南アジア歴17年間の見立てでは、そんなタブーは外国人の幻想に近く、自国人同士では、男女関わらず、皆の前で叱責する姿、時には意図的に吊し上げを行って懲らしめる光景を、幾度となく見てきました。では、なぜ外国人がうまく「怒」を取り扱えていないかというと、立場や言葉に大きな距離感があるがゆえに、残りの武器である「喜哀楽」をたっぷり使ったフォローが、おろそかになってしまうからだと考えるのです。

なんだ けっきょく笑えるのか

同じ行先の路線バス4台が、客そっちのけで暴走レースを繰り返しています。スリランカのコメディにあるシーンは、この国では日常茶飯事に起こっている現実に、録音笑いを被せただけです。これがコメディとして成立している以上、我々がオカシイと考えていることは、彼・彼女にとってもオカシイということであり、その怒りとか不満の振れ幅を、笑いに昇華させているのです。録音笑いのエキストラになったつもりで、日常のあり得ない不具合を「喜楽」の側に振りきってしまえば、現地人との距離もぐっと縮まります。

共鳴する間 符合するツボ 

スリランカや南インドのひとたちと日常的に付き合っていて思うのは、冒頭の自衛行為ニヤニヤは特別な例だとしても、笑いが発生する究極の「間」とか「ツボ」は、まったく別の環境・言葉・教育・食べ物で育ってきた私たちと比べても、そうは変わらないということです。砕けて表現すると、自分が口走ったことに、「今のはちょっとハズしたー」と感じた時は、現地人の彼や彼女も必ずシラケていますし、自分でもツボってしまうくらいのつぶやきには、たいてい相手もドッカーンと笑っています。

とくに女性は仕事中に何かトラブルがあったり怒られたりすると。よく泣いて訴えてくるので辟易するのですが、そのあとは逆に振り切れて晴れ晴れとしてしまうようです。最近は定期的な心のデトックスくらいに考えて、こちらも泣かせないようにおそるおそる対応するというようなことはなく、怒りたいときに怒り、笑いたいときに笑っています。喜怒哀楽経営のススメです。(つづく)

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