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ジャフナ観光ガイド -タミル王朝の歴史と見どころ

2025年9月30日

コロンボから鉄道で7時間半 — スリランカ北部に位置するジャフナは、タミル王朝が栄えた歴史と港町の文化が息づく場所です。
星形の要塞や碁盤目の町並み、浅瀬のラグーンに囲まれた自然、内戦の跡やジャフナ王国の史跡、市場や地元グルメまで、他の地域とは異なる魅力が揃っています。

本記事では「スパイスアップマガジン-Vol.17」全6ページの巻頭特集にさらに写真を加え、ジャフナの見どころをご紹介します!

北の大地ジャフナの魅力

異国を思わせる街並みと自然

北部州ジャフナ県は古代は海の下にあったというジャフナ半島と離島群、それらを囲む浅瀬のラグーンで構成されています。タミルの人々、パルミラヤシ、牛、ヤギ、ヒンドゥー寺院、キリスト教会とシンハラ地域とは異なる景色が異国を思わせます。

復興する小さな町

スリランカ内戦前まではスリランカ第二の人口を誇ったジャフナの町はゆったりとした足取りで復興する小さな町です。ただ、離島が多く、半島各地に仏教史跡、ヒンドゥー聖地、ポルトガルとオランダが残した要塞や教会が点在し、ジャフナ県内の観光スポットを網羅するには数日間では全く足りません。

ジャフナの交通と主要道路

放射線状に伸びる主要道路

ジャフナマップ-スパイスアップマガジンvol.17

ジャフナ県の主要道路はスリランカの五稜郭ことジャフナ要塞を起点にして、放射線状に伸びています。
・ジャフナ要塞の入口からキャンディに向かう【国道9号線】
・スリランカ鉄道北部線終着駅とインドへのフェリーが発着する港があるカンケサントゥライに向かう【県道16号線】
・ムダリヤールが暮らした高級住宅地マーニパイとジャフナ王国を建国したカリンガマガーの上陸地カーライナガーに向かう【県道17号線】
・2019年にチェンナイ便が就航して国際空港となったジャフナ空港があるパラーリに向かう【県道18号線】
・ジャフナ要塞の沿岸パンナイからポルトガルの要塞が残るカイツに向かう【県道19号線】
・ジャフナ王国の都ナッルールを通ってジャフナ半島第二の都市ポイントペドロに向かう【県道20号線】
・パンナイからポンナーライ、サンガミッタが菩提樹を持って上陸したと伝わるダバコラパトゥナ、キーリマライの泉、スリランカ最北端のサッコタイを経てポイントペドロに向かう【県道21号線】

歴史と町並み

オランダ統治時代の碁盤目都市

オランダはコロンボを強固な要塞で守られたフォート地区と、その東に碁盤目の住宅地ペターを建設しましたが、ジャフナにも星形要塞の東に碁盤目の町を建設しました。
南北の通り名は完全にペターと一致し、フロントストリート、1st〜4thクロスストリートです。
東西の通りも国道9号線と平行して海側を走る通りは倉庫街を意味するバンクシャルストリートです。
イギリス統治時代に商人の町に変わったペターとは違い、ジャフナの碁盤目の町は静かな住宅街のままです。

パンナイの公園とラグーンの景観

コロンボフォートの南にはゴールフェイスグリーンがありますが、ジャフナフォートの南のパンナイには公園や遊歩道があり、夕方の時間を過ごすのに絶好の場所です。

目の前に広がるラグーンには名産であるエビやカニを獲る小屋が無数に並んでいます。コロンボの有名店で提供されるマッドクラブとは異なり、ジャフナのカニは小ぶりです。その分、値段は手頃です。

ジャフナのグルメ

物価の安いジャフナにもおしゃれレストランが数軒あり、安価に楽しめます。
取材で訪れたFox Jaffna、Jetwing Jaffna、Jaffna Authentic Cuisine、Mangos Indianは是非お勧めしたいです。ジャフナのもう一つの名物マトン(ヤギ肉)カリーも美味しいです。

歴史と文化

ジャフナ公立図書館と市章

暴徒による放火という悲しい歴史を持つジャフナ公立図書館では、竪琴とパルミラヤシが描かれたジャフナ市章が見られます。
ジャフナの語源はタミル語名であるヤールパーナムであり、ヤールは竪琴、パーナムは港を意味するパッタナムに由来します。伝説では盲目のヤール奏者が、ジャフナ北郊に残る古代仏教寺院カディラマライを居城とした王から砂地の土地(漁港・漁村のあるジャフナ東郊のグルナガー、パッサイヨール、コロンブトゥライなど)を譲り受け、故郷のインドから人々を移住させ、ヤールパーナムと呼ばれるようになったと伝えられています。

ヴァリカーマムの町並み

ジャフナ半島は内部に入り込んだ3つのラグーンによって歴史的に3地域に分類されますが、ジャフナの町が位置する地域はヴァリカーマム(砂地の村)と呼ばれます。
浅瀬のラグーンに囲まれた海抜の低い平坦な土地は水辺と砂地が身近にあります。

ジャフナの目抜き通りは要塞の北にあるホスピタルストリートです。
市場、バスターミナル、病院、銀行、ショッピングモールが並んでいます。
ホスピタルストリートを東に行くとジャフナ駅につながる通りと交差し、さらに東端まで行くと市役所(カッチェリー)が見えてきます。

内戦の跡と史跡

オールドカッチェリーとYMCAジャフナ

現在のカッチェリーの向かいには、内戦で廃墟と化したオールドカッチェリーが佇んでいます。木の根に覆われた写真映えする廃墟が町中にあるのはジャフナの売りとも言えます。

オールドカッチェリーの斜向かいには内戦の傷跡を記録するYMCAジャフナがあります。YMCAとカッチェリーの間の道(カッチェリー・ナッルール・ロード)を北に進むと、ジャフナ王国最後の王サンギリ2世の像と廃墟が残る公園に出ます。ここはジャフナ王国の都でした。

ジャフナ王国(ナッルール王国)の史跡

中世のジャフナ半島に王国を建てた東インドのカリンガから来たマーガは1代で、マレー半島のタンブラリンガから来たチャンドラバーヌは2代で途絶えましたが、南インドのパーンディヤから来たクルタンガ・シンカイヤーリヤンが建国したアーリヤ・チャクラヴァルティ朝は18代続きました。
公園の東隣にはポルトガルがナッルール寺院を破壊して跡地に建設した聖ジェームス教会があります。

マンディリマナイ

その他、インドのヤムナー川から水が運ばれたというタミル文字の「ப」の形をした池ヤムナーエリ、サンギリ2世の宮殿跡、オランダ統治時代のタミル人高官プータタンビーの屋敷の門と伝わるプータタンビーアーチ、ジャフナ王国の大臣の住居だったと伝わるマンディリマナイなど史跡が集中しています。

ナッルールの西側には再建されたナッルール寺院(ナッルール祭の会場)や、シンハラ人旅行者が多く訪れるジャフナ発の老舗アイスクリーム店「Rio Ice Cream」があります。

ポイントペドロと最北端の旅

ジャフナからトンダマナルラグーンを越えた先にあるポイントペドロにも訪れました。町中にあるTheru Moodi Madamは、シンハラ地域で見られる木製のアンバラマ(休憩小屋)ではなく石造りです。通りに沿って細長い造りをしています。

Manalkaaduのオランダ教会

砂浜に埋もれたManalkaaduのオランダ教会は今回の旅ではオールドカッチェリーに次ぐ写真映えスポットです。

最北端のサッコタイはシンハラ人の観光客を見かけましたが、マナトカアドゥビーチはキリスト教の祠と地元の漁師さんたちがいるのみで、こちらの方がスリランカの果てまで来たように感じられる場所でした。

ジャフナの手仕事

Kolamで見つけるジャフナならではのお土産

ジャフナでお土産を買うなら、ぜひ立寄っていただきたい場所。

ジャフナの伝統的な技術と地元のアーティストによる現代的なデザインを融合させた、手作りのテキスタイルやアクセサリーを取り扱う工房兼ショップ。
パルミラの葉やコットンを使ったデザイナーサリーやショール、バッグ、ジュエリーなど、どれも地域文化を反映した美しい手仕事の数々です。

Fox Jaffna でも一部商品を取り扱っています。
また、コロンボではギャラリーカフェ近くのRithihiというサリー専門店でサリーとピアスの一部を取り扱っています。ベアフットではピアスを販売していました(ベアフットのタグのみなので事前に調べる等しないとKolamのものとはわかりません)。

ジェフリーバワと働いた建築家アンジャレンドラン氏が改装を手掛けた建物も見物です。

ジャフナのおすすめホテル

Jetwing Jaffna

ジャフナを代表するリゾートホテル、ジェットウィング・ジャフナ。
今回の取材では食事で訪れたのみですが、ランチ・ディナーともにビュッフェはメニュー豊富で、ジャフナらしいカニやマトンのカレーもおいしかったです。
ルーフトップバーからはジャフナの町とその先に広がる水平線を一望できます。

Jetwing Mahesa Bhawan

ジャフナの中心に位置する4 部屋のブティックホテル。
ラウンジや廊下にはスリランカやインドのアーティストの作品が数多く展示されています。

客室はエレファントやピーコックなど、スリランカの動物をテーマにした名前が付けれ、高級感と心地よさが融合。今回宿泊したお部屋「フラミンゴ」のバスルームは、サンルームのように自然光が差し込む素敵な空間でした。

女性シェフが手掛ける朝食が、洗練されていながら家庭料理のあたたかさもあり、とってもおいしく印象的でした!次回滞在する際は夕食もホテルでゆっくり楽しみたいです。

Fox Jaffna

ジャフナ中心部から10 分ほどのコクヴィルに位置するフォックスジャフナ。
名門の邸宅として始まったこの建物は、内戦の激動を経て、反政府勢力や政府機関の拠点となった過去を持ちます。戦時中に築かれた防空壕は、現在スリランカのアートを展示するプライベートミュージアムへと生まれ変わっています。

レストランやプールは庭園に面して静かで落ち着いた空間で、ゆったりと過ごすことができました。
夕食はアラカルトでシーフードのプレートを選びましたが、新鮮でおいしかったです。

客室は3タイプに分かれています。

スーペリアルーム:オリジナルの建物であるメインヴィラの客室。それぞれの部屋には異なるアーティストの作品が飾られています。
デラックスダブル:庭園とプールに面した新棟の客室。開放感あふれる眺めが楽しめます。
・デラックスツイン:緑豊かな景観の新棟の客室。ファミリーでの滞在にもおすすめです。

個人的なおすすめは、歴史ある空間をそのまま味わえるスーペリアルーム。
新しい設備を重視される方には、デラックスダブルまたはデラックスツインが最適です。

滞在したのがちょうど週末だったため、庭園では数組のウェディングフォトの撮影が行われていました。タミルらしい鮮やかな配色のサリーが庭園に映えて美しかったです。