世界各地で賞を受賞するルンビニ茶園の工場見学
アメリカ、オーストラリア、フランス、ドバイ、アブダビ、香港、日本、スリランカなど世界各地で紅茶のコンペティションで多数の賞を受賞している茶園がスリランカ南部のデニヤーヤにあります。
スリランカの紅茶工場はラフに見学させてもらえるところが多いですが、こちらの工場はビニールの帽子と履物にビニールのカバーをつけて見学します。
品質で勝負している紅茶工場らしいですが、実際に工場の中も大変清潔です。
これまでルンビニ茶園の紅茶が買える場所は工場があるデニヤーヤ以外では、ゴール、ヒッカドゥワなどの一部のショップやレストランなどに限られていましたが、2023年11月にオープンしたコロンボ最新モール「ハベロックシティーモール」に直営店舗が入り、コロンボでも購入できるようになりました。
本記事ではデニヤーヤにあるルンビニ茶園と紅茶工場について紹介します。
目次
ルンビニ茶園とは?
世界遺産の森林保護区に隣接した立地
ルンビニ茶園はダヤパラ・ジャヤワルダナさんによって1975年にデニヤーヤ郊外のルンビニ渓谷にて創業されました。
ルンビニ渓谷はセイロンティーの7大生産地では、最も標高の低いルフナに分類されます。
参考)スリランカの紅茶7大生産地
ルンビニ茶園は山岳森林の世界遺産「シンハラージャ森林保護区」に隣接した、ルフナ地区の中では標高が高い場所に位置しています。
ルンビニ茶園の名は、茶園が位置するルンビニ渓谷から取られています。ルンビニとは、ネパールの世界遺産「仏陀の生誕地ルンビニ」に由来します。
ルンビニ渓谷は、デニヤーヤ郊外のシンハラージャ森林保護区との境界に位置するゴンガラ山脈を源流とするゴール県最長のギン川が形成した渓谷です。
デニヤーヤと東のパッレガマを結ぶ「デニヤーヤ・パッレガマ・ロード」はギン川に沿うに渓谷を走っていますが、海抜452メートルの小高い丘があり、その斜面にルンビニ茶園の茶畑が広がっています。
紅茶工場はその丘の頂上に1984年に建てられています。
シンハラージャ森林保護区とギン川によってもたらされる、豊かな土壌・新鮮な空気・綺麗な水によって、ルンビニ茶園の茶は育まれています。
ハンドクラフトの高級ティーブランド「DALU」
ダヤパラ・ジャヤワルダナさんの息子チャミンダ・ジャヤワルダナさんが2000年に加わり、2002年から紅茶品評会で賞をもらうようになります。
2006年にローンチしたのが独自のハンドクラフトティーやホワイトティーなどの高級ティーブランド「DALU」です。
2010年には、DALUブランドの紅茶「ジャヤチャクラ」が、東京で開催されたスペシャルティ・ティー・コンペティションでイノベーション賞を受賞しています。ジャヤはシンハラ語・サンスクリット語で「勝利」を意味しますが家名のジャヤワルダナから、チャクラはシンハラ語・サンスクリット語で「円」を意味し、茶葉を円形に製茶したルンビニ茶園独自の紅茶です。
2015年にはアメリカ、ドバイ、アブダビ、香港、スリランカの紅茶品評会で、ルンビニ茶園のFBOPF、OP1、FBOP1 などが賞を受賞。
2017年にはSinharaja Wiry Tips (FBOPF EX SP) をはじめ、ゴールデンティップス、レモングラスティーなどがアメリカ、オーストラリア、中国、スリランカと各地の紅茶品評会で賞を受賞し、世界最多受賞となります。
2020年には、CATA(Ceylon Artisanal Tea Association)を、AMBA EstateやEbony Springsなど8つの茶園とともに設立しています。
直営ティーショップ
ルンビニ茶園のティーショップは、紅茶工場に併設されたショップと、デニヤーヤの町中(バスターミナル近く)にある「DALU Tea Centre」、コロンボのハベロックシティーモールに入っている「Lumbini Tea Valley Ceylon」があります。コロナ前にはエッラ、ヒッカドゥワにもDALU Tea Centreがあったようですが、今は上記の3店舗のようです。
ルンビニ茶園の略歴
1975年、ダヤパラ・ジャヤワルダナさんによって創業。
1984年、現在の紅茶工場を稼働。
2000年、ダヤパラさんの息子チャミンダさんが参画。
2006年、ハンドメイドの高級茶ブランド「DALU」をローンチ。
2010年、東京で開催されたジャパン・ティー・フェスティバル2010のスペシャルティ・ティー・コンテストにて「ジャヤチャクラ」が金賞を受賞。
2016年、チャミンダさん、ハリス・ウッディカさんがフレーバーティーなどのブランド「Giri」をローンチ。
2017年、アメリカ、オーストラリア、中国など各地の紅茶賞を世界最多となる21の賞を受賞。
2018年、Nature’s Beverages Pty Ltd (Australia)をチャミンダさん、ハリスさん、コーサラさんで設立。カレルチャペックと日本での独占契約を締結。
2020年、CATA(Ceylon Artisanal Tea Association)を創設茶園の一つとして立ち上げ
ルンビニ茶園の工場見学
ルンビニ茶園までの行き方
ルンビニ茶園があるデニヤーヤまでは、バンダーラナーヤカ国際空港やコロンボから行く場合は、南部高速道路を使うのが便利です。
ゴール最寄りのインターチェンジの一つ先であるイマドゥワ・インターチェンジ(Imaduwa Interchange)を降りて、国道17号線を北上していきます。
イマドゥワ・インターチェンジから20キロほど行くと、マータラにつながる国道24号線と交わるアクレッサの町に辿り着きます。
アクレッサから 、さらに45キロほど北上すると、国道17号線から分かれて左折すると、デニヤーヤ・ウィハーラーエナ・ロードに入ります。
道をしばらく行くと、右手に郵便局が見え、その後に左手に立派な警察署が見え、続いてバスターミナルが左手に見えます。
さらに進むとギン川をまたぐ橋を通過し、デニヤーヤ・パッレガマ・ロードを左折します。
3.5キロほど西に進むと、LUMBINI TEA FACTORYと書かれた壁と、茶園の山が見えてきます。
茶園の脇のゲートから入り、坂道を登っていくと工場に辿り着きます。
とても清潔な工場を見学!
女性スタッフさんが工場を案内してくれました。2023年11月に訪れた際は工場見学は無料でした。
とくに事前予約もせずに訪れましたが、快く案内してくれました。
私は10数か所の紅茶工場を見学していますが、清潔さではルンビニ紅茶工場が一番かもしれません。
工場内は写真撮影禁止なので、荷物を預けます。
また、ビニールの帽子を被り、靴にビニールのカバーをかけてから見学します。今のところ、ビニールの帽子と靴にビニールカバーをしたのは、こちらの紅茶工場が初めてです。
製造過程の紅茶に触ることはできません。
スリランカの紅茶工場を見学していると、触ることができるところが多く、見学するには楽しいですが、製造工程の管理としてはこれでいいのか?と思うことがありますが、こちらはしっかりと管理されています。
併設のティーセンター
工場に併設されたティーセンターでは、ルンビニ茶園の各種茶が購入できます。
ハンドクラフトのDALUの紅茶や、普段使いのBOP(2023年11月時:350グラムで740ルピー)やBOPF(2023年11月時:350グラムで870ルピー)、OPまで揃っています。
製茶の際に除去された茶葉で作ったノートが販売されていました。
私たちが工場見学をした2023年11月時点では、コロンボにルンビニ茶園の直営店がありませんでしたので、気になる紅茶をいくつか買って帰りました。
ルンビニ茶園の紅茶は茶葉が細く縮れていて、見た目にも綺麗な茶葉でした。
ルフナ地区の茶葉は中東の人たちが好むと聞いていますが、中東の人たちは茶葉の見た目にもこだわると言います。
細く縮れている茶葉や、白い芯芽が入った茶葉を好むそうですが、まさにそれに合致した茶葉だと思いました。
参考)
Lumbini Tea Valley公式サイト
Daily FT:Lumbini Tea Estate and Tea Factory wins record 20 awards as Ceylon Tea celebrates 150 years
Daily FT:Lumbini Tea Valley wins at World Tea Expo for its Sinharaja Wiry Tips
Daily FT:New Vithankanade and Lumbini Tea Factory once again equal OP1 record
PMD TEA:SRI LANKA CALLING. LUMBINI ESTATE
TEA EPICURE:The Artisan Specialty Teas of Sri Lanka
Lydia Gautier:Lumbini Tea Valley
Tea JOURNEYMAN:Company Spotlight: Lumbini Tea Valley
TEA & COFFEE TRADE JOURNAL:Raising the profile of Ceylon artisanal tea
カレルチャペック:ルンビニ茶園と独占契約をいたしました
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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