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スリランカ学の先生

2022年3月02日

「スリランカ」という国、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?知らないという方や、名前ぐらいはという人も、英国植民地時代の「セイロン」という名前なら、頷いていただける方も多いのではないでしょうか。

スリランカは、大国インドが零した一粒の涙のように、荒れるインド洋に浮かぶ島国です。国土は九州と同じくらいと狭いですが、古くからペルシャ説話等に「予期せぬ幸運が訪れる島」として記されるように、魅力が凝縮しています。例えばスパイスは、大航海時代から産地として名高く、「シナモンの島」の別名が示すように大変上質ですし、それを使用したスリランカカレーや南国のフルーツは絶品です。

また、宝石の産地としても有名で、英国王室にもスリランカ産のブルーサファイアのネックレスが献上されました。内陸には標高2000メートルの丘陵地帯があり、たった数時間の移動で高温多湿のジャングル、乾燥のサバンナ、そしてコバルトの黄金海岸へというダイナミックで変化に富んだ大自然も魅力です。そして、「セイロン」の名を今に残すブランド「セイロンティー」は、スリランカからの世界中への贈り物として、忘れてはなりません。

私がそんなスリランカに魅せられた理由には「スリランカ学の先生」の影響が大きいです。たった一週間の旅行に巨大なカバンを持参して、成田空港で既に息が上がる私とは違い、軽装備でさっそうと現れた初対面から、もう少しで四半世紀が経ちます。互いに環境や立場などは、完全に変わっていますが、現在の私にとっても変わらずに、というか存在感はさらに偉大な先生のままです。

初対面の時の、小さな旅行鞄の大部分が土産だったことや、接した人を笑顔にする準備をしておくことなど。幸運をもたらす島で、幸福な時間を過ごすための努力や秘訣を、たくさん教えてもらいました。旅の途中、茶畑の中を通り過ぎる時に、学校から帰宅する子供が私たちに気が付いて車を取り囲みました。すると例の鞄からは、風船や飴玉が大量に出てきて、アッという間にそこにいる全員の笑顔が溢れる幸福な時間が訪れたのです。その時の私は、風船で遊びながら、異国の初めて会う子供たちと笑顔で交流できていることの不思議と、あの鞄には自分の荷物は入っているのか、という不思議を考えていました。

その後、幾度となく通ったスリランカですが、私が妻と共に写る写真はこの時のアルバムに一番多く残っています。若輩で無礼であったであろう我々にも、そして数十年を経た現在の私にまでも、先生のおかげで幸福な時間が繋がっていると感じます。スリランカを訪れた時、きっとそれぞれの幸運が予期せずに訪れる、それはいつの時代もそして誰にでも、ですよね。

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