シンハラ語3-22 世界遺産の観光に役立つ宗教に関する名詞
本記事では、宗教に関する名詞を学びます。
世界遺産のアヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディなどを見学する際に、お寺や仏塔などの言葉を知っていると、より楽しめることと思います。
目次
宗教施設の名前と神々
仏教寺院「ウィハーラヤ」
仏教寺院はグーグルマップ上では、単数形の「ウィハーラ」、あるいは複数形の「ウィハーラ」と表示されていることが多いです。
一方で、シンハラ人が口頭でお寺と言う場合は、単数形は「パンサラ」、複数形は「パンサル」と言っていることが多いです。
中に入る際は靴やサンダルは脱いで入ります。
ウィハーラヤは「仏像を安置した仏殿」、「菩提樹」、「仏塔」の3つが揃っています。
仏像は「ブドゥピリマヤ」、仏殿は「ブドゥゲー」
菩提樹は「ボーディヤ」
仏塔は「トゥーパヤ」、「ストゥーパヤ」、「サァーヤ」、「ウェヘラ」、「ダーキャバ」と複数の言い方があります。
宗教を超えた祈りの対象「デーワーラヤ」
祠とも訳されるヒンドゥー教の神々や先住民族の神々が祀られた、単数形が「デーワーラヤ」、複数形が「デーワーラ」と言われる寺院です。
祀られているのはブッタ(仏、お釈迦様)ではなく、神「デーウィーヤー」です。
神を意味する「デーウィーヤー」に、住まいを意味する「アーラヤ」がくっついて、作れた言葉が「デーワーラヤ」でしょう。
雪(ヒマ)が住むところ(アーラヤ)で、「ヒマラヤ」も同じ由来です。
ケララ州の山岳に住む人々を山(マラ)+住む(アーラヤ)で、「マラヤーリ」といい、ケララ州の公用語は「マラヤーラム語」ですが、スリランカでもかつて、「マラ」を山に使っています。
キャンディ王国が設立される前の山岳地帯は、「マラヤ」「マラ」「マヤ」と呼ばれ、マレー半島はイギリス領マラヤでしたが、それぞれ南インドの山を意味する「マラ」が由来だと言われています。
話が外れるましたが、神を祀った「デーワーラヤ」に戻ります。
キャンディの仏歯寺の敷地内には、「ナータ・デーワーラヤ」、「パッティニ・デーワーラヤ」、「ヴィシュヌ・デーワーラヤ」があり、キャンディの街中に「カタラガマ・デーワーラヤ」と合わせて4つのデーワーラヤがあり、8月に開催されるエサラペラヘラでは、この4つのヒンドゥー教の神々と仏歯を祀り、4つの神々の色に合わせた隊列が進んでいきます。
ガンポラやカタラガマのカタラガマ神を祀っているのも「デーワーラヤ」です。
デーワーラヤは、仏教徒とヒンドゥー教徒の両方が祈りを捧げ、カタラガマの「カタラガマデーワーラヤ」はムスリムにとっても聖地となり、キリスト教徒の聖地にもなっています。
宗教を超えて祈りの対象になっているのが、デーワーラヤと言えそうです。
アダムスピーク(スリーパーダ)も各宗教の人々が参拝に訪れますが、元々はウェッダーのサマン神を祀っていたとされていますので、デーワーラヤと同じ特性だと言えそうです。
ヒンドゥー寺院「コーウィラ」
南インドで見られる高い塔がそびえるヒンドゥー寺院「コーウィラ」は、ヒンドゥー教徒が参拝する寺院です。
基本的に午前中と夕方にのみ空いていて、午後は中に入れません。
中に入る際は、靴を脱ぎます。
ジャフナなどタミル人が多い地域では、さらに男性は上半身裸になる必要があります。
教会「パッリヤ」、モスク「ムスリムパッリヤ」
キリスト教の教会は「パッリヤ」
イスラム教のモスクは「ムスリムパッリヤ」と言います。
ここで面白いのは、イエスを「イェースース」とシンハラ語でいうことです。
古典ギリシヤ語の発音に近いのです。
キリスト十二使徒の一人、聖トーマスはケララに上陸してチェンナイ郊外で亡くなったという言い伝えがあり、ポルトガルがスリランカに来る前にキリスト教が伝播していたという噂もありますが、その想像を掻き立てるような呼び名ではあります。
聖母マリアは「デーワマァーニヨー」と、デーワーラヤになんとなく似ています。
宗教と宗教指導者の名前
仏教は「ブッダーガマ」
ヒンドゥー教は「ヒンドゥアーガマ」
イスラム教は「イスラームアーガマ」
キリスト教は「クリスティヤーニアーガマ」と言います。
仏教の長老は「マハーテラ」
ヒンドゥー教のブラフマンは「マハーブラフマヤー」
イスラム教の指導者は「ムッラー」
キリストの司教は「ビショプトゥマー」と言います。
スリランカの仏教は上座部仏教「テーラワーダヤ」です。
スリランカのキリスト教徒の多くはカトリック「カトーリカ」です。
ポルトガルの影響が見られるクリスマスの呼称
クリスマスは英語名で、イタリア語では「ナターレ」、ポルトガル語では「ナタール」と言いますが、シンハラ語では「ナッタラ」と言います。
ポルトガルが布教したローマン・カトリックが多い、スリランカらしい呼び方だと思います。
スリランカの公休日に指定されているグットフライデー(イースターフライデー)は、「マハシクラーダー」と言います。
マハは”偉大な”、クシラーダーは”金曜日”という意味です。
ブッタのことを「ブドゥンワハンセー」と言いますが、
キリストのことは「クリストゥンワハンセー」あるいは「ジュースンワハンセー」と言います。
聖書は「バイバラヤ」です。
仏教徒の言葉
スリランカの人口の7割を仏教徒が占め、仏教に特別な地位があることから、仏教に関する言葉は日本よりも耳にするように思います。
仏・法・僧は「ブッダ・ダルマ・サンガ」と言います。
仏供養を「ブッダプージャーワ」と言います。
仏教徒同士の別れの挨拶は「ブドゥサラナイ」と言います。
意味は”仏様のご加護がありますように”です。
キャンディに行くと、早朝から大きな音でお経が流されますが、読経を「ピリッ」と言います。
徳を積むとスリランカではよく言われますが、シンハラ語では「ピン」と言います。
仏教徒が守るべき五戒は「パンシル」と言います。
シンハラ語で、5は「パハ」と言います。
世界遺産アヌラーダプラの観光の参考に
世界遺産アヌラーダプラの遺跡の名前を一部取り上げました。
意味を知らずにカタカナとして覚えるよりも、名前の意味を知ると、そのストーリーが見えてきて、より楽しめるかと思います。
参考)
ウィキペディア:ヒマラヤ山脈
Wikipedia:Malayali
ウィキペディア:イエス・キリスト
ウィキペディア:クリスマス
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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