ペターの食料問屋街「4th Cross Street」
ジェフリーバワにシーマーマーラカヤ寺院、シンドバッドガーデンホテル(現アヴァニ・カルタラ)の設計を依頼したのは、インド・グジャラート州から渡ってきたシーア派のイスラム商人ダウティーボーラでした。
イギリス統治時代にイスラム商人たちが移り住んだ町ペターには、ダウンディーボーラのモスク「Saifee Masjid」が残され、ストリートには1910年代の立派な建物が並んでいます。
本記事では、ダウディーボーラのストリートである、ペターのフォースクロスストリート(4th Cross Street)について紹介します。
ダウディーボーラとは?
ダウディーボーラは、世界に100万人ほどいると言われているシーヤ派の人たちで、909年~1171年にエジプトで栄えたファーティマ朝が原理としたイスマーイール派に属します。
ボーラの最大のコミュニティはインド・グジャラート州にあり、「ボーラ」の名の由来は、グジャラート語の「取引する」という意味のvohrvuまたはvyavaharに由来すると言われており、イスラム商人として財を成した人たちが多くいます。
ダウディーボーラには、ダイと言われる指導者がいます。1138年~1539年まではダイはイエメンを拠点にしていましたが、1539年から現在はインドを拠点にしています。
インドではアフマドバード、ジャームナガル、ウッジャイン、ブルハンプル、スラトと変わり、1915年以降はムンバイを拠点にしています。
ダウディーボーラが多いのはグジャラート州をはじめとした西インドで、その他、パキスタン、イエメン、東アフリカ、中東に住んでいます。
スリランカにはイギリス統治時代にグジャラート州からペターに移り住んだと言われています。
最も古くにスリランカで事業を始めたボーラは、1831年にグジャラート州からペターに拠点を置いたカリムジー・ジャファジー家と言われ、1864年に事業を始めたヘブトゥラホイ家など、現在も事業を継続している家系がいくつかあります。
コロンボにあるBombay Sweet Houseは、ダウディーボーラのダウディーホイ(Dawoodbhoy)家が始めたお店です。
ボーラのモスク「Saifee Masjid」

ムンバイに1926年に完成した同名のモスクがあり、ネットで検索すると、そちらのモスクがひっかかります。
スリランカで最初にボーラのムスクが建てられたのはゴールで、その次に建てられたのが、このペターのSaifee Masjidだそうです。
グーグルマップ上では、上の写真とは違うところにポイントされていますが、通りの人に聞いたところ、こちらの建物内にモスクがあるとのことでした。4th Cross Streetで最も大きい建物のように見えますので、これがモスクなのでしょう。
ちなみに、3番目に建てられたバンバラピティヤにあるHusaini Masjid Complexが現在のスリランカを代表するボーラのモスクになっています。
ボーラの指導者ダイが数年前にコロンボを訪れたときは、多くのボーラの人たちがHusaini Masjid Complexに集まっていました。
フォースクロスストリートの歴史的建造物
Saifee Masjid以外にも、フォースクロスストリートには重厚感のある古い建物が並んでいます。

上の写真には右側に、DAWOODI B TRUSTと書かれています。ムンバイにはDawoodi Bohra Trust Buildingがあり、それと関係しているのかもしれません。TRADERSと書かれた看板がイスラム商人を想起させます。

「1915」と書かれているこちらのビルは装飾が凝っています。

こちらの赤い建物も趣があります。

この青い建物も古そうです。
大きなトラックと人力車のストリート

フォースクロスストリートの特徴といえば、大きなトラックに大量の玉ねぎやジャガイモ、ニンニクが詰まれ、通りの商店にどんどん運びこまれ、そこから荷車に載せたり、背中に担いで運ぶおじちゃんたちの姿です。
一般客にも販売している商店が並んでいるペターのストリートの中で、フォースクロスストリートは卸売りに特化しているからか、埃っぽく、独特の雰囲気があり、圧倒されます。
参照、関連記事
Wikipedia:Dawoodi Bohra
Wikipedia:List of Dai of the Dawoodi Bohra
Lakpura:ボーラコミュニティ
HEBTULABHOY公式サイト
HEBTULABHOY – Family #500
The Bohra Community of Sri Lanka
THE DAWOODI BOHRAS:A return to our roots: Visits to the four Bohra masjids of Sri Lanka
Wikipedia:Saifee Masjid
Wikipedia:Saifee Burhani Upliftment Trust
Saifee Burhani Upliftment Project
Dip Project:Dawoodi Bohra Trust Building
roar media:The Colpetty That Was
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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