ジェフリーバワ賞にノミネートされたアンティークと自然に囲まれたリゾート「ザ・キャンディ・サマーディ・センター」
ジェフリーバワと交流があったアンティーク専門家で有機農園家でもあるワルナさんと、漫画家でヨガインストラクターでもあるユミさんによって創り出されたアーティスティックなネイチャーリゾート「ザ・キャンディ・サマーディ・センター(The Kandy Samadhi Centre)」を紹介します。
小川が流れる山の斜面に、アンティークとアートが配されたパヴィリオンが点在するこのリゾートは、第4回ジェフリーバワ賞にノミネートされました。
アーユルヴェーダドクターとヨガインストラクターがいて、アーユルヴェーダの施術やヨガクラスをパッケージにした滞在プランもあります。
敷地内には有機農園が広がり、その日に農園から収穫した食材が料理として出されます。
夜は照明の人工的な光ではなく、敷地内の各地にある松明に火が灯されます。
敷地を流れる川のせせらぎ、森に住む鳥のさえずり、虫の音が心地良い、自然豊かな環境は、とてもリラックスできます。
2017年10月3日、2017年12月31日とそれぞれ1泊した際の様子を中心に、ザ・キャンディ・サマーディ・センターについて紹介します。
目次
キャンディ郊外の森の中に佇む
キャンディサマーディセンターは、キャンディから21-22キロ、車で50分ほどの距離にある川沿いの森の中に佇むリゾートです。
キャンディという名前がついていて、たしかにキャンディ県内ではありますが、キャンディ中心地〜ペーラーデニヤ間の3倍ほどの距離があります。
3年に一度行われるジェフリーバワ賞の第4回目2016〜2018年では、サマーディ・ネイチャー・リゾートとしてノミネートされ、場所はナランパナワと記載されています。
ナランパナワは、世界遺産に登録されているナックルズ山脈からビクトリア湖に流れ込む「フル川(Hulu Ganga)」沿いにある村です。
ナランパナワ村の中心からフル川沿いを走る「ククル・オヤ・ロード」を北上していくと「ザ・キャンディ・サマーディ・センター」のゲートが見えてきます。
ククル・オヤ・ロードのククル・オヤ(Kukul Oya)は、ザ・キャンディ・サマーディ・センターの敷地を流れている小川の名前に由来します。
この小川(ククル・オヤ)沿いの、15エーカーという広い敷地を有するのが「ザ・キャンディ・サマーディ・センター」です。
サマーディとは、瞑想で精神集中が深まり切った状態、ヨガの修行における八つの規則・段階のうちの最後の8番目の段階のことを指します。
アンティーク専門家のオーナーのワルナさん
ザ・キャンディ・サマーディ・センターのオーナーであるワルナさんは、ペーラーデニヤ・ロードにあるアンティークショップ「ワルナ・アンティークス(Waruna Antiques)」のオーナーでもあります。
ジェフリーバワはアンティーク好きとしても知られていますが、ワルナさんはジェフリーバワとも交流があったそうです。
ワルナさんをジェフリーバワに紹介したのは、スリランカを代表する建築家のアンジャレンドランさんです。
バワの元で経験を積んで一線で活躍している建築家は何人もいますが、バワの研究者で書籍を多数発行しているデヴィット・ロブソン氏は、アンジャレンドランさんの建築に関する本を発行しています。
ジェフリーバワ賞はスリランカ建築界では重要な賞ですが、ワルナさんは建築家ではありませんが、ワルナさんの名はザ・キャンディ・サマーディ・センターの設計者として、ショートリストにノミネートされました。
エントランスから共有スペース、各客室に至るまで、こだわりのアンティークで飾られたリゾートは、周囲の豊かな自然と溶け込んでいます。
ワルナさんはイギリスに留学し、かつてはヒッピーとして世界各地を見て回ったそうですが、独特な雰囲気をお持ちで、個人的には大好きです!笑
漫画家でヨガインストラクターでもあるユミさん
ワルナさんの妻は日本人のユミさんです。
サマーディセンター内にはアンティークと並んで、いくつもアート作品がありますが、そのいくつかはユミさんが制作されたものだそうです。
また、ユキさんはヨガインストラクターでもあり、広いメディテーションルームでヨガレッスンを行っています。
私は1回目の滞在時はユキさんが日本にいたため別のインストラクターさんのヨガレッスンを受け、2回目の滞在ではユミさんのヨガレッスンを受けました。
アーユルヴェーダ
ドクターは、スリランカ南部の伝承医学の家系に生まれ、コロンボ大学でアーユルヴェーダの学位を取得したT. S. S. De. Silva氏。
アーユルヴェーダ専用のパヴィリオンがあります。
特徴的なのは、ハーブルバスがスリランカの古代遺跡で見られるような人型をしていることです。
壁のない開放的な作りになっているのも特徴的です。
ゲート
ククル・オヤ・ロードが東に曲がるところに、サマーディセンターのゲートがあります。
この石造りの門はキャンディ王朝時代のものだそうです。
門をくぐると、アンティークやアートが置かれているスペースがあります。
このスペースからさらに階段があり、その際にもアンティークの扉があります。
階段を上がったところにダイニングがあります。
朝食や夕食はこちらでいただきます。
ダイニングの奥にチェックインをするロビーがあります。
バスタブ付きのラグジュアリールーム
主な客室は、丘の斜面に点在して建てられた13棟のパヴィリオンにあります。
ダイニングやロビーがあるところから、石階段を登って客室がある丘の上に向かいます。
石階段は雰囲気があって素敵ですが、地元の石工職人さんによって作られたものだそうです。
このリゾートができたことで、庭師や木工職人、ジュエリー職人など地元に雇用が生まれています。
階段の左側にある黒いものは松明です。
森の中なので、夜になるとあたりは真っ暗になりますが、松明に火がつけられます。
以下の写真は、キャンドルで灯された夜のゲートの写真ですが、火の光が灯されるわけです。
階段を登った後は、丘を横に走る石畳の道を行きます。
パヴィリオンの入口は、アンティークの扉になっていて宝箱を開けるような大きな鍵で開け閉めします。
なんだかゲームの世界のようです。
ハネムーンスイート
丘の最上階にあるのがハネムーンスイートです。
360度の山と森の景色が楽しめます。
広くて開放的なベランダがあります。
ベッドルーム1室、リビングルーム1室、バスタブ付きのバスルームがあります。
マウンテンパビリオン
ハネムーンスイートの下の階にあるのがマウンテンパビリオンです。
ベッドルームが2部屋あります。
この部屋には簡易キッチンがあります。
ナックルズパビリオン
マウンテンパビリオンの下に、ルーフトップレストランがあり、さらにその下の階にあるのがナックルズパビリオンです。
ナックルズ山脈を望む360度の眺望が特徴です。
ベッドルームが2部屋あります。
ソファーのあるリビングエリア、8人掛けのダイニングテーブル、キングサイズのアンティークバス付きの広いバスルーム、フランス窓の先に広いテラスがあります。アンティークの家具とシアターカーテンで装飾されています
トリパラパビリオン
ナックルズパビリオンと同じ階にあります。
ダブルベッドルームが3室あり、最大6人で泊まることができます。
バスタブ付きのバスルームが2室あります。
ダイニングには6人掛けテーブル、ソファ、チェアー、書棚などがあります。
広いテラスもあります。
ペインターズパビリオン
ナックルズパビリオンの下の階にあります。
私が最初に泊まったのは、ペインターズパビリオンでした。
その名の通り、画家の絵が飾られた部屋です。
窓側(通路側)にデスクがありました。
キングサイズのベットがベットルームに2台置かれていたので、どちらで寝るか迷いましたが、山の中なので蚊帳がついている奥のベッドで寝ました。
手前に4人掛けのダイニングテーブルが置かれています。
バスルームには、アンティークのバスタブが置かれています。
センスの欠片もない私は最初、バスタブが汚れているのかと思ってしまいました。
ダメージジーンズを縫い付けてしまうような自分の感覚に恥ずかしさを覚えつつも、この広いバスルームでゆったりをお風呂に入りました。
部屋の前の通路からは、木々の先に山が見えました。
テラス、アンティークバス付きの広いバスルームがあります。ナックルズ山脈と森の景色をお楽しみいただけます。内装は、地元の画家によるアートが中心となっています。4名様までご宿泊いただけます。
ダブル $235(宿泊費込み) 追加人数 $120(宿泊費込み
テキスタイル・パビリオン
ペインターズパビリオンと同じ階にあります。
その名の通り、アンティークのテキスタイルが飾られた客室です。
キングサイズのダブルベッドが2台あり、4人まで泊まることができます。
リビングエリアには、ソファとコーヒーテーブルがあります。
ダイニングルーム、屋外テラス、バスタブ付きのバスルームがあり、180度広がる森の景色が楽しめます。
2回目に泊まった部屋
2回目に泊まった部屋の名前が分かってないのですが、確認次第アップデートします。
ちなみに、2回目に泊まったのは、12月31日〜1月1日で、年越しはダンサーなどを招いてパフォーマンスを見たようですが、僕は到着が深夜になってしまって、「さっきパフォーマンスは終わってしまったよ!」と言われてしまって見られませんでしたが、何かイベントごとがある時に泊まると、楽しみが増えるかもしれません。
ロックハウス
2階建ての客室で、客室の名は1階にある大きな岩に由来します。
1階にはデスクがあります。
階段で2階に登ると、ベットルームになっています。
四柱式のアンティークベット。
ベットの奥には、キリスト像、シヴァ神像、仏像などが置かれています。
ベットルームの隣には、バスルームがあります。
アンティークのバスタブからは、窓越しに森の景色が見渡せます。
ラムヤパビリオン
ダイニングエリアから歩いて5分のところにあります。
つまり階段を上がった丘の上にはありません。
ダブルベッドが2台あり、4人まで泊まることができます。
バスルームは、アンティークのバスタブ付きです。
ベランダ付きの大きなリビングとダイニングエリアが1つあります。
リーズナブルな客室
マッドハウス No.10+11
スリランカ伝統的な、牛糞を混ぜた泥壁で作られたマッドハウスをコンセプトにした客室です。
マッドハウスには、小さめの客室が2つ、共同のバスルーム、広いテラスがあります。
マッドハウスNo.12+13
ダブルベッド2台とシングルベッド1台、バスルームがあり、最大で大人4人と子供1人が泊まれます。
スーリヤーパビリオン
ダブルベッド1台とシングルベッド1台がある、最大3人が泊まれる部屋です。
フルガンガパビリオン
ゲートから出て、敷地を流れる小川ではなく、大きな川のフルガンガに面した、ダイニングエリアから100メートルの場所にあります。
ダブルベッド1台とシングルベッド1台があり、最大3人まで泊まれます。
窓は伝統的な絨毯で覆われていて、180度のパノラマビューが楽しめます。
バスルームは、他の部屋と比べると小さめです。
敷地から一旦出るため、小さなお子様連れには不向きだそうです。
フルガンガブリーズ
フルガンガパビリオンの下にあります。
ベットルームには窓がありませんが、ベランダはL字型になっており、360度の森と川の景色を眺めることができます。
敷地から一旦出るため、小さなお子様連れには不向きだそうです。
オーガニックファーム
敷地内には野菜、フルーツ、ハーブ、スパイスを有機栽培している農園があります。
こちらのリゾートでは料理教室を受けることができますが、私の友人は農園から食材やスパイスを収穫するところからやりたい!とお願いして、料理教室でスリランカ料理を習ったそうです。
小川で涼む
敷地のすぐ横を流れている小川(ククルオヤ)のせせらぎは、丘の上の客室を繋ぐ石畳の通路でも聞こえますが、丘を降りて小川まで降りていくことができます。
食事
朝食と夕食は、優しい味のスリランカ料理のビュッフェでした。
農園で見た果物が置かれています。
アクセサリー工房とショップ
サマーディーセンターに隣接して、アクセサリー工房があり、アクセサリーを購入することもできます。
参考)
The Kandy Samadhi Centre
Geoffrey Bawa Trust:2016/2017 : Cycle 4
Sunday Times:Reawakening pride and spirituality
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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