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1時間で完売するシナモンロール専門店「hari」が10周年

2022年8月25日

シナモンの中でも最高品種とされるセイロンシナモンの中から、さらにスリランカで厳選された上質なもののみを使う、田園調布にあるシナモンロール専門店「hari」が2022年8月で10周年を迎えました。

2022年8月現在、10周年限定のメニューと記念グッズが販売されています。
※限定メニューは8月26日(金)まで

開店時間前から行列ができ、1時間で完売することも多い人気店「hari」にお伺いしました。

完全一人体制の小さなお店

2012年に登戸(向ヶ丘遊園駅)にオープンしたシナモンロール専門店「CEYLON」は、区画整理のため現在地に移転し、店名が「hari」に変わっています。

「hari」はシンハラ語で、「とても」という意味で、「ハリ・ラッサナイ(とても綺麗)」「ハリ・ラサイ(とても美味しい)」「ハリ・ホンダイ(とても良い)」などと使います。「hari hari」と2回続けて言うと、「OK!」という意味になり、首を振りながら「ハリ・ハリ」といえば、スリランカ人気分になれるナイスワードです!

登戸のお店はオレンジ色の看板が印象的でしたが、田園調布のお店はアーティストによる廃材を活かした温かさを感じる内装になっています。

お店の場所は、東急(東横線/目黒線/多摩川線)多摩川駅と東急池上線雪が谷大塚駅の中間、田園調布警察署がある環八と中原街道の交差点から中原街道を多摩川方面に行くとあります。

1日120個限定、日ごとに変わるメニュー

10時過ぎにお店に伺うと、ちょうどお客様がシナモンロールを買われているところでした。

そして、ショーケースを見ると、もう最後の一箱です。平日の10時だというのに。

その後、来店されたお客様が最後の一箱を購入して目の前で完売となりました。そのまま私が店内でお話を伺っていたため、10:30から11:15ぐらいまで断続的に5人のお客様が来店されて、「今日は終わってしまいまして、次は金曜日です。」と店主の麻里子さんがご対応されていました。

hariの営業日は火・水・金・土曜日の週4日です。
現在はコロナ対策で、長い行列ができることを避けるために【土曜日のみ予約制】になっています。
※予約方法などの詳細は公式インスタでご確認ください。臨時休業や臨時営業のお知らせもあるので要チェックです!)

徹夜の仕込み作業、石臼で挽くシナモン

麻里子さんは、開店時間に美味しく出来上がった状態で店頭に並べるため、前日22時に仕込みを開始。

季節、湿度、天気によって生地の状態が変わるため、いつもの口溶け・硬さになるように調整し、メニューも天候に合わせて選択して、材料の刻み方や大きさも最適なものにしているそうです。

つまり、営業日の朝に、その日に合わせた色んな味のシナモンロールが120個限定で並ぶわけです。開店1時間前に並ぶ人もいるそうですが、欲しい味を確実に手に入れたい人がいるということが想像できます。

日々完売しているからでしょう。購入点数に関わらず、一つの値段が520円で統一されています。

短時間で完売したらお休み!ではなく、そのまま夕方18時まで翌営業日の仕込みの準備。そして、夜22時から開店時間に向けて発酵、成形、焼成と作業が始まります。

高級な抹茶は摩擦熱で焼けてしまわないように石臼で挽きますが、シナモンのフレッシュな香りを大切にしているため、週末に10時間かけてシナモンを石臼で挽いているそうです。

キューブ型のシナモンロール

シナモンロールというと、その名のごとく丸い形を思い浮かびますが、シナモンキューブとも呼べそうな形をしています。

四角い形だからこそ各面から均一に水分が抜け、理想の食感が作り出せることから、特注した型で焼き上げているそうです。

箱にすぽっと入る形で持ち運びにも適した形です。

リベイク(予熱オーブンで1分 or 電子レンジで15秒)すると、より食感が楽しめるそうです。オススメ通りリベイクすると、シュッとしたような感じを受けました。

今回購入したのは「グリーンティー生地の自家製餡のセサミ&アズキ」と「旬のベリーとカスタード」です。

まずは、「セサミ&アズキ」から!

小豆の甘みに程よいアクセントを感じました。これは、香りと甘味が上品な「セイロンシナモン」だからこそかもしれません。

シナモンは大きく分けると「セイロン・シナモン」「カシア・シナモン」「ニッキ」の3種類があります。

一般的なシナモンロールには赤茶色で、少しピリッとした香りと辛味がある「カシア・シナモン」が使われています。カシア・シナモンは別名「シナ・ニッケイ」とも呼ばれ、中国南部原産で、世界のシナモン生産の多くを占める中国産、インドネシア産、ベトナム産のシナモンは、このカシア・シナモン(シナ・ニッケイ)です。

このカシア・シナモンが日本に伝わり、樹皮ではなく根の部分を使うのが、八つ橋など和菓子に使われてきた「ニッキ」です。

セイロン・シナモンはスリランカ原産で、生産量が限られて高価ではありますが、上質な香りと味が重宝されています。カシア・シナモンには肝臓に負担がかかるクマリンが多く含まれていますが、セイロン・シナモンにはごくわずかです。また、毛細血管を開くことから、アンチエイジングや高血圧にも良いとされています。

セサミやアズキの味とぶつからないのは、この優しい味のセイロンシナモンならではかもしれません。

麻里子さんによれば、「セイロンシナモンは色が白っぽい」そうですので、グリーンティー生地の色合いとのマッチもセイロンシナモンが良さそうです。

続いて、「ベリーとカスタード」です!

こちらはベリーをアクセントに感じました。

2種類食べてみて、このアイシングされた外側はしっとりしつつも、中は歯切れの良い食感が特徴なのだろうなと思いました。

この食感は、水ではなく豆乳で仕込んでいるからこそなのだそうです。

シナモン香る「シナモンクッキー」

シナモンロールと合わせて買ったのがシナモンクッキー!

僕がセイロン・シナモンの香りを最も強く感じたのが、このクッキーでした。

スリランカに住んでいると、セイロン・シナモンに慣れているためか、日本に帰ってきてカシア・シナモンが使われたお菓子やドリンクを口に入れると、「これはカシアだ!」とすぐに気付きます。

一方で、香りと味が強いカシアに比べて香りと甘みが優しいからか、スリランカに戻って「これはセイロンシナモンだ!」と感じることはなく、自分で砕いてセイロン・シナモンを使う時に、「いつもの香りだな!」と思う程度でした。

今回、シナモンロール2種類とシナモンクッキーを食べると、セイロン・シナモンの香りに敏感になり、翌朝に再度食べようとすると、ふわっとセイロン・シナモンの香りを感じました。

セイロン・シナモンとカシア・シナモンのそれぞれの香りや味を感じられた方が、飲食の時間をより楽しめると思いますので、是非セイロン・シナモンを存分に味わってみてください。

入手困難な最高品質のシナモン

麻里子さんがシナモンロール店を始めたのは、セイロンシナモンの良さを知ってもらうためだったそうです。

パティシエだった麻里子さんは、青年海外協力隊の料理専門家として、スリランカのエンビリピティヤに2年間赴任。

食品加工研修所で、村の売店主を対象に商品開発をしたり、食品衛生の授業や研修所スタッフの育成をするなかで、有機セイロンシナモンに出会ったそうです。

兼業で栽培されることが多い他のスパイスと違い、スリランカのシナモン農家は代々家族経営の専業農家が多いとのこと。

シナモン農家は得意先に販売を絞る傾向があるため、麻里子さんは品質を確認しながら一軒一軒農家を訪ねて関係を築いて、現在では仕入れ先は40軒ほどあるそうです。

セイロンシナモンは8つのグレードに分けられますが、同じグレードでも品質は異なるため、時にはトラックを運転して農家を回ったりするそうです。

コロナ前は現地を毎年2回訪れて農家を回り、シナモン自体も店頭で販売されていたそうですが、コロナ禍で輸出が安定しないため、現在はシナモンの店頭販売を中止されているとのこと。

創業105年の染所が染色した記念手ぬぐい

伝統工芸に認定されている創業105年の染所さんに染色してもらったという、10周年記念のオリジナル手ぬぐい。

シンハラ語が書かれた手ぬぐいは、相当レアものだと思います。

「シナモンロール専門店にお米?」と不思議に思いましたが、あまりお米を食べなかったという麻里子さんがお米をたくさん食べるきっかけになったのが、ご友人にお薦めしてもらったこのお米だそうです。

食感にこだわる麻里子さんを射止めたお米なので、食感が良いのかもしれません!

本日のシナモンロールのメニューに、「スリランカコーヒーのカフェラテ風」がありましたが、熊本のナチュラルコーヒーさんのスリランカコーヒーも販売されています。

お店情報

簡単に買えないからこその買いに行く楽しみと、持ち帰ってリベイクする楽しみがあるシナモンロール専門店「hari」。是非行かれてみてください!

店名:Cinnamon Roll hari
住所:東京都大田区田園調布1丁目ー4ー2
営業日:火・水・金・土
開店時間:9時
※9時オープンは、サマータイム営業の今だけ。またコロナ禍の為、開店時間は状況に応じて変わるので公式インスタグラム公式facebookページなどでご確認下さい

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