1931年完成の修道院「アディシャム・バンガロー」
ハプタレー郊外にあるチューダー様式のカントリーハウス「アディシャム・バンガロー」は、スリランカの人が写真撮影にも訪れるスポットです。
修道院で作られるジャムは絶品と言われ、お土産品としても有名です。
本記事では、アディシャム・バンガローについて紹介します。
アディシャム・バンガローとは?
アディシャム・バンガロー(アディシャム・ホールとも)は、サー・トーマス・リスター・ヴィリアーズによって、1931年にハプタレー郊外に建てられたカントリーハウスです。
ハプタレーの中心地から4キロ少し、車で15分ほどのところにあります。
周囲は「タンガマレ保護区域(Thangamale Sanctuary)」と呼ばれる森に囲まれています。
丘の上にあり、周囲の山々が見える好立地になります。
ハプタレー駅からは坂道を登っていくと、たどり着きます。
トーマス・リスター・ヴィリアーズの父は、ロンドンのセント・ポール大聖堂のプレベンダリーであったヴィリエ家のヘンリー・モンタグ・ヴィリエ牧師、母はイギリス首相を2度務めた初代ラッセル伯爵ジョン・ラッセルの娘です。
つまり、トーマス・リスター・ヴィリアーズはジョン・ラッセルの孫にあたります。ちなみに、ジョン・ラッセルの孫の一人は、ノーベル文学賞を受賞したバートランド・ラッセルです。
出身地がイギリスのケント州アディシャムであり、自身の出身地からその名をとり、アディシャム・バンガローと名付けています。
ケント州のリーズ城をモデルにして、チューダー様式、ジャコビアン様式で建設されています。

サー・トーマス・リスター・ヴィリアーズは、イングランドからセイロンに渡り、ディンブラ地区のボガワンタラワ(Bogawantalawa)のエルベッデ茶園(Elbedde Estate)のプランター見習いとして働きます。
エルベッデ茶園主の娘と結婚して、ブラジルに4年間住んだ後に、ディンブラ地区の茶園「ディックオヤグループ(Dickoya Group)」を買収。
その後に、現存するスリランカ最古の会社であるジョージ・ステュアート(現在も紅茶を販売しています。)に入社し、会長に就任します。
ジョージ・ステュアート会長時代に別荘として建設したのが、アディシャムバンガローです。
サー・トーマス・リスター・ヴィリアーズは引退後にケント州に戻り、アディシャムバンガローを売却します。
アディシャムバンガローを購入したのは、スリランカ初の女性閣僚になったヴィマラ・ウィジェワルデネの夫で、セダワッテ茶園のオーナーであったドン・チャールズ・ウィジェワルデネと、その娘ルクミ・ウィジェワルデネです。
その後、ルクミはアディシャムバンガローを、イタリア人ベネディクト会の修道士に売却。この頃、ルクミの母ヴィマラはキリスト教に改宗しています。
ヴィマラは、ソロモン・バンダラナーヤカの暗殺の際に取り調べを受け、無罪とされましたが、それがきっかけで政治家としてキャリアを終えていますが、ちょうどその頃にアディシャム・バンガローが売却されています。
イタリア人ベネディクト会修道士は、アンピティヤのベネディクト修道院にアディシャムバンガローを寄贈し、現在はベネディクト会の修道院として使われています。

敷地内には、西方教会における修道制度の創設者と言われる「ヌルシアのベネディクトゥス」の像があります。

バンガロー内部
バンガロー内部は見学できますが、内部は写真撮影禁止です。
屋根はビルマ産チーク材の平らな板で覆われていますが、ドア、窓、羽目板、階段、床もすべてビルマ産のチーク材で作られています。
親族であるクラレンドン家とベッドフォード公爵家の肖像画が飾られた大階段の精巧な柱状の踊り場は、4本の頑丈なイングリッシュオークでできています。
居間、書斎、図書館、ダイニングルーム、寝室などがあります。
ヴィリアーズがイギリスから輸入した高級家具、リネン、カーペット、磁器、銀器、ガラス製品なども展示されています。
イギリス式庭園
敷地内は綺麗に管理されていて、イギリス式庭園が見られます。

段々畑のようなになっていて、芝生、花壇、果樹園があります。

修道院の維持管理費用、庭園の維持管理費用は修道院自らが賄う必要があり、売店で販売するジャムの材料となるフルーツも栽培されています。


売店
フランスの修道院で作られるワイン、ベルギーの修道院で作られるビールなど、修道院では美味しいものが作られているイメージがありますが、ハプタレーのこの修道院ではジャムが美味しいと評判です。

敷地内で育てた果物で作るジャムが色々と売られています。この写真は2019年7月に撮影したもので、現在は価格は大きく変わっているはずです。

この時は、ストロベリージャムとブルーベリージャムが特に人気だと聞いて買いました。

日本へのお土産に手荷物に入れていたら、スリランカで搭乗するときは、瓶を一個ずつ確認されて、ストロベリージャムとブルーベリージャムはOK!と通してもらいましたが、乗換地のバンコクでは瓶の機内持ち込みが一切禁じられていますので、食べずに捨てることになってしまいました。
以前、私はスパイス会社の創業オーナーさんにお会いして、スパイスの瓶詰めをいただき、その時も大事に手荷物に入れて、スリランカではOKでしたが、バンコクで捨てるはめになりました。
瓶は預け荷物が基本ですね。
そして、アディシャム・バンガローは土曜日・日曜日・祝祭日のみ、一般公開されていますので、こちらを訪れたい人はハプタレーを週末などに訪れるといいでしょう。
参考)
Lakpura:St Benedicts Monastery Adisham Bungalow
Amazing Lanka:Adisham Bungalow – ඇඩිශම් බංගලාව
I love Sri Lanka:Adisham Bungalow
Wikipedia:Adisham Hall
Wikiepdia:Thomas Lister Villiers
ウィキペディア:セント・ポール大聖堂
ウィキペディア:ジョン・ラッセル (初代ラッセル伯爵)
ウィキペディア:リーズ城
ウィキペディア:チューダー様式
コトバンク:ジャコビアン様式
Wikipedia:Vimala Wijewardene
ウィキペディア:ベネディクト会
ウィキペディア:ヌルシアのベネディクトゥス
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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