Spice Upでのインターンシップを経験して
You can’t get away from yourself by moving from one place to another.
(あちこち旅をしてまわっても、自分自身から逃れられるわけではない。)
私が過ごしたスリランカでの日々を語るには、ヘミングウェイのこの言葉がぴったりです。なぜならこの1か月間が、人生で一番といっていいほど自分自身に向き合う期間になったからです。もちろん、スリランカで新しい文化・価値観・人と出会い、大きな刺激を受けたのは間違いありません。しかし結局のところ、「どう生きたいか?」という自分自身への質問の答えは、スリランカに来る前から心の中にあったのだと気づきました。今回の旅で得た気づきこそが、ヘミングウェイが言いたかったことなのではないかと思います。帰国から早2か月が経ってしまいましたが、「Spice Up」ライター・星野桃子が書く記事の集大成として、今回のインターンシップの感想をシェアできればと思います。
私について
本題に入る前に、私という人間について少し紹介させていただきます。2003年2月4日生まれ、みずがめ座の星野桃子と申します。現在、早稲田大学・文化構想学部の3年生です。出身は愛媛県で、家族構成は父・母・弟・ペットです。好きなことはKPOPアイドルの動画を見ること、メイク、ファッションです。
私がどうしてスリランカに来たのか?
典型的な東京の女子大生だった私がなぜスリランカに来たのか?それは一言でいうと、就活をする中で「海外生活をしたことがない」という心残りがあったからです。高校生まではずっと海外に興味があり、いつかはグローバルな環境で働きたいと思っていました。しかし、大学生になってから日々の授業やバイトに忙殺されていたことに加え、完璧な英語を話す帰国子女の学生を見て自分に自信をなくし、このような夢を持っていたことさえ忘れていました。そんな中、大学3年生で就活を始めて自己分析をしたことがきっかけで、「自分はどんな人間か」「これからどう生きたいのか」ということについて考えるようになりました。そのとき頭に浮かんだのが、海外で様々な文化に触れ、国際人として働くという幼い頃からの夢です。私はやらずに後悔するのが嫌なタイプということもあり、いてもたってもいられず、インターンシップをすることに決めました。
またスリランカという国についてですが、正直に話すと特別この国がよかったというわけではありませんでした…!私がインターンシップをする国を選んだ基準は、「①アジア圏であること」、「②英語が公用語であること」、「③ライターの業務ができること」の3つです。そして、これらの条件に最も当てはまっていたインターンシップ先がスリランカのSpice Upでした。結果的に大正解だったので、この時の選択をした自分を褒めたいです。
渡航前のイメージ
渡航前、スリランカに対して持っていたイメージは、昔イギリスの植民地だったことと紅茶が有名なことくらいでした。
スリランカでの生活(衣食住)
次にスリランカ生活の感想ですが、私は衣食住すべてにおいて「我慢できないほどきつい」ということはありませんでした!まず”衣”についてですが、気温は1年を通して高いので、基本的にずっと夏服で生活していました。私が滞在していたのが雨季で湿度が非常に高かったこともあり、個人的には半袖にミニスカートが一番快適でした。ただ、とんでもなく日焼けするので気を付けてください。
続いて”食”について、ゲストハウスでほとんど毎日自炊していたため、食べるものには困りませんでした。しかし、外食では辛さ&量の多さ&油っぽさに胃をやられることがありました。そして、スパイスが苦手な人は食べられるものが限られるのでかなり大変だと思います。個人的には生野菜を食べられる機会が少ないのが残念なポイントでした。また、屋台の食べ物やローカルレストランの料理も食べたのですが、食当たりはありませんでした!
最後に”住”ですが、とにかく湿気がすごかったことが記憶に残っています。渡航してすぐは身体が湿度に適応できず、足先が火照ってなかなか寝付けないこともありましたが、人間の身体というのはすごいもので1か月経つと爆睡できるようになります。スリランカで快適な生活を送るための1つのポイントは、湿気に適応することかもしれません。
衣食住以外の点でいうと、「思っていたよりも英語が通じる」というのが大きな気づきでした。私たちは中心地のコロンボで暮らしていたのですが、レストランやバーではほとんど英語が通じたので、不便を感じることはありませんでした。
印象に残っているエピソード
滞在中は、ハラハラしたハプニングや心温まる出来事がたくさんあったのですが、その中でも印象的なエピソードを3つご紹介します。
①バスの時刻表が存在しない&すし詰め状態のバスに2時間
私と先輩インターン生の二人で世界遺産のシギリヤロックを訪れた際の出来事です。私たちはシギリヤロック観光後、二ゴンボのホテルに宿泊する予定だったのですが、そもそもバスに時刻表がなく、いつ来るか分からないバスを信じて待ち続けるということがありました。頼れるのは、地元の人が言った「バスは30分に1本くらい来るよ」というアバウトなアドバイスだけ。不安な気持ちで待っていたのですが、幸い二ゴンボ行きのバスに無事に乗ることができました。
ここで終わりかと思いきや、さらに衝撃的な出来事がありました。乗り換えたマイクロバスは乗車率200%のすし詰め状態だったのです。わずかなスペースにフィットするように、何とか身体を捻じ曲げた状態で約2時間走行。停留所でも誰ひとり降りることなく、新たに乗車してくる人ばかりで、「スリランカ人には断るという概念がないのだろうか」と思いました。まさかスリランカで東京の満員電車以上に過酷な経験をするとは思ってもみませんでしたが、今後どんな移動にも耐えられる自信がつきました。
②スリランカ式の誕生日パーティーに参加
渡航前から言語学習アプリで話していたスリランカ人の友達と会ったときの出来事です。その女の子にとって私は初めてできた外国人の友達らしく、滞在中も家族ぐるみで本当に良くしてくれました。ある日遊ぶ約束をしてその子を待っていると、弟2人とお母さんも一緒に登場。日本だと友達との予定に家族を連れていくことはめったにないので、最初はびっくりしました。そして、向かった先はショッピングモールのフードコート。さっき大量のビリヤニを食べたのにまだ何か食べるのかと思っていたら、なんと巨大なチョコレートケーキが出てきました。その日はお母さんの誕生日だったらしく、知らないうちにスリランカ人家族の誕生日パーティーに参加することになっていました。スリランカの誕生日パーティーでは、誕生日の人が手でケーキを一切れ掴んでみんなの口の前に持っていき、差し出された人たちはそのケーキを順番に一口ずつ食べていきます。私もお母さんから激甘チョコレートケーキを食べさせてもらったのですが、家族の一員になったようですごく温かい気持ちになりました。
③ナイトクラブのスリランカ女子が教えてくれた美の多様性
日本人シンガーがスリランカでステージを披露するということで、ナイトクラブを訪れたときの話です。私はここでも人見知りを発揮して、音楽がかかったフロアで踊っているスリランカ女子を見ていたのですが、彼女たちのなんとセクシーなこと。それは私にとって、ウエストは細くくびれている方がいい、太ももは細いほうがいい、などこれまで植え付けられてきた絶対的な美の基準を打ち砕くきっかけになりました。そして、セクシーさというのは内側からにじみ出てくる自信なのだと感じました。
自分自身の変化
最初に述べたように、スリランカでの1か月は未だかつてないほど自分に向き合った時間でした。そして、Spice Upでのインターンシップは自分自身に多くの変化をもたらしてくれました。
⓵完璧にできなくてもいいから、とにかくやってみようと思えるようになった
私はこれまで完璧を求めるあまり、挑戦することを怖がっていたところがあります。実際に、インターンシップに参加する前も「TOEICで〇〇〇点取ってからじゃないと」と考えたりしていました。しかし、Spice Up代表の神谷さんが「やってみて、ダメだったらもう一回やり直せばいいじゃん!」と口ぐせのようにおっしゃっているのを聞いて、最初から完璧を目指して挑戦しないのはやめようと思いました。むしろ「失敗してもやり直せばいい」というマインドでいた方が、様々なことに挑戦するハードルが低くなります。完璧を追い求め過ぎて、現実の自分との差に落ち込むことが少なくなったことが変化だと感じました。
②英語はただのコミュニケーションツールであることが分かった
「英語はあくまでツール」というのはよく聞く話だと思うのですが、私は本当の意味を理解していなかったと思います。スリランカに来てから 「英語が流暢=コミュニケーションが上手い」というのは必ずしも成り立たないことが分かりました。どれだけ文法的に正しくて、流暢な英語を喋ったとしても、それを相手が理解できなければ全く意味がありません。結局、言語は人と人が分かりあうためのツールとしての側面が大きいので、文法的な完璧を追い求めることは本質的ではないと思うようになりました。それに言語ごときでその人の人間性は変わらない、英語を喋れても喋れなくてもいい人はいい人で、悪い人は悪い人だという真理に気づきました。
③自分の気持ちを表現できるようになった
いついかなる時でも気持ちを察してもらえる日本とは違い、海外では自分の気持ちを表現しなければならない場面が多くあります。喜怒哀楽の感情を表すのが苦手な私にとって、それは大きなエネルギーを必要としました。しかし、何かしてもらって嬉しいときや、逆に嫌な気持ちになったとき、自分の気持ちを言葉で表現しなければ何もしていないことと一緒です。表現方法が上手いほど、良好な人間関係を築くことができるのだと思います。
スリランカ人は”好き”や”愛してる”という気持ちについて、言葉や行動で表現する人が多くて素敵だなと思いました。
④意外と人が好きなことに気付いた
私は自分のことを極度の内向型だと思っていましたが「意外と人が好き」だと気付いたのは非常に大きな発見でした。実は東京に引っ越してきたばかりのころに住んでいた大学の寮は共同生活のストレスが大きすぎて、契約期間を満了しないまま解約した過去があります。そんなこともあったので、最初はゲストハウスでの共同生活も不安に思っていたのですが、素敵なルームメイトたちのおかげもあり、楽しく過ごすことができました。
また、スリランカで個性豊かな人に出会ったことで、その人なりの考え方やこれまで歩んできた人生にすごく興味を持つようになりました。だからこそ、もっといろんな国に行って、いろんな面白い人に会ってみたいと思うようになりました。
日本にいたときは常にイヤホンで自分の世界に閉じこもって、「人とかかわることの面倒くささ」ばかりに目を向けていた私ですが、スリランカに来てから「人とかかわることの面白さ」を知ることができました。
最後に
就活で話すガクチカのネタにしようという軽い気持ちで参加したインターンシップが今、私の人生を大きく変えようとしています。私はスリランカを訪れて、日本では想像もできないような出来事を経験したり、様々な思いを持ったインターン生たちと話したりしたことで、ガクチカという狭い枠には収まらない「どう生きたいか?」というテーマに正面から向き合うことができました。そして、この経験から気づきを得ました。「海外に行く=外の世界を知る」ことであると同時に、自分自身について知ることなのだと。「どう生きたいか?」という質問の答えは、最初から心の中にあったのだと。旅人たちは遥か昔からそのことを知っていたみたいです。
もし今海外インターンシップに挑戦するか迷っている人がいれば、私は間違いなく背中を押します。今まで知らなかった新しい世界を発見し、自分という人間について知るという経験は、きっとこれから先のあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。
>インターンシップの詳細はこちらから
早稲田大学3年生。社会不適合気味のINFP。これまで訪れた国は、アメリカ・韓国・ベトナム・ミャンマーの4か国。9月末~10月末までスリランカでインターンシップを行う。記事ではスリランカのコスメとエンタメを取り上げる予定
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