収入0からの事業拡大、きっかけは一体何?~岡山浩之さんにインタビュー!~
スリランカで飲食店を経営し、その後も多角的に事業を展開してきた日本人経営者、岡山浩之さん。コロナ禍のロックダウンの状況から5年が経ち、事業はどのような方向に進んでいったのでしょうか。今回はコロナ後の動きにフォーカスを当てながら、岡山さんの事業についてインタビューをしてきました!
目次
プロフィール・前回の記事の紹介

岡山浩之(おかやま ひろゆき)さんプロフィール
1975年生まれ。東京出身。早稲田実業高校、早稲田大学では硬式野球部に所属。大学卒業後集英社に入社し、雑誌流通部門に従事。29歳で父親が経営する飲食店の一部を引き継ぎ、飲食業の道へ。
前回の記事では、コロナ禍の状況やこれまでの飲食業について語ってくれました。
今回はその後の動きについて聞いていきます!
コロナ禍を経て
色々あった飲食業
コロナ前までは、スリランカで飲食店をフードコート中心に5店舗運営し、日本食を安価で日常的に食べられる存在にする戦略を図っていました。しかし、そんな中、コロナが流行。飲食店は営業を停止せざるを得ない状況となってしまいます。ここで収入が0。そんな中携帯を失くし、携帯すらも買えず友達に借りていた時期もあったそう。
それでも何とかUbereatsなどデリバリー業を行い、ビジネスを続けていました。実はもともと早めにスリランカに参入していたこともあり、飲食業とともに、より川上の事業をしたいとも考えていました。しかしコロナの到来による外貨不足により輸入卸業も現実的でなくなってしまいました。そこで食材の製造卸業にチャレンジすることになります。ラーメンの麺などほぼ小麦粉なのに関税が高く気軽に食べられません。「作れるものは自分で作って安価に提供しよう」。ここからいよいよ製造卸売業パートの始まりです。
高いならば作ってしまえ!の製造卸売業
そんな使命のもと、ある店から製麺機を譲り受けます。今まで自分が関わってきたお店やもともと一緒に働いていたスタッフがいるお店を合わせると15店くらいあるため、そことの繋がりを考えれば麺の卸ができるのでは、と考えました。そこで、営業、製造、請求書作成、配達、経理など会社運営を一から全部一人で始めることにします。今まで自分がスリランカで行ってきた仕事は、オーナーであり社長ではありましたが全体のほんの一部であったと感じていたため、一から全部やったらもっと色々なことが分かると思ったからです。
今ではレストランやスーパーなどお客さんの数も増え、300~350店くらいになり、麺以外にも餃子やソース、味噌なども売るようになりました。



しかし、このような事業を行っていると、必然的にルピーで仕入れ、ルピーで売っているため、日本で、もしくは世界的に通用しないスリランカルピーだけの生活になってしまいます。ルピーだけで稼いでいると、またインフレが起きて紙切れになったら怖いな、と思うようになり、「外貨も稼がなければ!」と思って始めたのが人材業です。
日本とスリランカを繋ぐ人材業
日本では年々人手不足が深刻化しています。人手不足を外国人に頼ることは賛否両論ありますが、飲食業各社においても人手不足の解消は事業を継続するにあたって解決しなければならない喫緊の課題です。そこで、日本とスリランカ両方での飲食業経験がある自分だからこそできる人材事業を始めようと考えました。いざ事業を始めると、介護や運転手など様々な業界からも、人材を探している声がかかり、スリランカ側からも「資格があるから働きたい」という声もあり、だんだんと広がっていきました。
しかし、ここで問題が発生します。
送り出したはいいものの「日本語能力が不十分」「すぐ仕事を辞めてしまう」という事案が発生。ここで、岡山さんは、「じゃあ長く人材を見れるよう学校から始めたらいいのでは」と考えるようになりました。
日本就職を応援!スリランカでのアドバイザー
日本で働くためには、日本語ができる以外にも会話力や面接練習などが必要です。また挨拶、返事の仕方やごみの分別まで教える必要があります。岡山さんは学校の授業プログラムの考案や先生の採用などを行っており、今では様々な学校でアドバイザーとして人材育成に貢献されています。
いくつか特に力を入れている学校の中の一校が、まもなく開校するようです。その学校は合宿形式の40日間集中レッスンで、日本で就職するための最低要件をクリアしようというプログラムで行われます。岡山さんがここまで深く関わるのも初めての試みであり、「これでどこまで生徒さんたちが上達できるかが楽しみ」と話していました。

今後の抱負
最後に今後の抱負を教えてもらいました!
『まず、食品関係については、スリランカ国内にブランドとして認知されるようなメーカーになりたいと思っています。また数年内にスリランカで作った日本食材、例えば味噌や醤油などをスリランカから近い中東や南アジアのマーケットに送り出したいと思っています。
そして、人材に関して言うと、今は外国人労働者については賛否両論あります。だけど、スリランカでビジネスさせてもらっていて、スリランカに恩返しをしたい、という思いもあります。日本・スリランカ両国に貢献していきたい、と思う中で、スリランカ人材をしっかり育てて、「スリランカ人に来てもらえて良かった」「日本で働けて良かった」と思えるような事業にしたいと思います。そして、やるからにはもっと拡大して、この業界でのリーディングカンパニーになりたいと考えています。』
最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
様々な業界にチャレンジし、事業を多角化している岡山さん。一見繋がりのなさそうな飲食店・卸売業・人材・学校。しかし、これらはそれぞれが関わりあってそれぞれの事業の展開に繋がっていることが分かりました。
新しいことに挑戦することは不安も伴いますが、岡山さんは心なしかそれを楽しんでいるように感じます。そのチャレンジ精神と大きな目標がスリランカでの事業の多角化に繋がっているのだと思いました。
岡山さんの経営しているデリバリーのお店のメニューは以下のURLから見れます。ぜひチェックしてみてください!
都留文科大学4年生。夏休みを利用してSpice Upでライターとして活動中。
早寝早起き得意です。スリランカでの好きな食べ物はスイカジュース。
# 関連キーワード
新着記事
-
スリランカのサイクロン影響と最新状況|観光・鉄道【12月4日・随時更新...
スリランカを襲ったサイクロンにより発生した洪水・地滑りで、犠牲になられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、御遺族に対し謹んでお悔やみを申し上げます。被害に遭われた方々の早期の御快復をお祈りし、心よりお見舞い申し上げます。 …
2025年12月01日 -
スパイスアップスリランカ【デジタル版】|vol.19 アルガムベイ特集
目次1 スリランカ唯一の日本語情報誌『スパイスアップ・スリランカ』デジタル版を公開!2 2025年10月発行 vol.19「アジア屈指のサーフスポット 東海岸アルガムベイ」特集号2.1 vol.19目次3 vol.19デ…
2025年11月20日 -
ウナワトゥナのブティックホテル「Sergeant House」|ゴール...
スリランカ南海岸・ウナワトゥナのブティックホテル「Sergeant House(サージェント ハウス)」は、19世紀の邸宅を改装したプライベートな隠れ家。風の通るテラス、緑に包まれたプール、そしてわずか5室の上質な客室が…
2025年11月03日
