【Global Japanコラム11】不純なる語学①
日本語5級挑戦前ですが
18歳前後の学生が受けるスリランカ版の共通テスト(G.C.E. Advanced Level 試験) の科目 「日本語」の出題例はこちらです。
問題1(“走れメロス”から抜粋した長めの本文を読ませた後で)
本文中に「セリヌンティウスは何も言わずにうなずき、メロスを強く抱きしめた」とありますが、この時のセリヌンティウスが話していたら、何と言ったでしょうか。考えて回答しなさい。
採点者を揺さぶる回答を紡げそうですか、皆さん。その他にも、日本で最も一般的な結婚式の様式(神前式? 仏前式? 人前式?)を選択させてしまう、超高校級問題も散りばめられたりします。
不純
微分積分や西洋史をなにか不純な動機で勉強したりする人はあまりいないと思いますが、語学は結構不純な動機で始めた人もいるのでは、と推察致します。不純とはいいますが、その動機は人間の根本に根ざしているという意味ではものすごく純で、かわいいものです(とはいえパートナーが急に新しい語学を始め出したら注意が必要です)。語学を積み重ねて行く中で、自分の言葉で人が動いていくという小さな成功体験の数々は、純不純を通り越して、海外生活の白眉となっていきます。
とどのつまり
企業研修事業を手掛けるYKG Associates (Pvt) Limited (代表Yukthi Gunasekara氏)は、スリランカの大企業の上級管理職や中小企業の CEO 向けに、リーダーシップ集中強化プログラムを提供しています。「その国での成功術はその国のメンターにこそ教われ」といった方針の、政経塾的要素も備えた研修ですが、スリランカから他の南アジア諸国へ進出していく企業にも照準を当てており、クロスボーダー・リーダーシップを養うためのケーススタディおよびロールプレイを組み込んだ内容です。ご興味がある方や企業は3〜4日間の集中プログラムを組んでもらうのも良いかもしれません。
クロスボーダー・リーダーシップと言っても、別に世界を股にかけるビジネスを行っている必要はなく、そもそも母国以外の国と関係性をもっている、例えば私たちだってそれに当てはまるでしょうし、こんなに小さなセイロン島ですら、民族的多様性にまたがって生きる術が必要になってきます。そして、その術とはとどのつまり、相手に対するメッセージ性の強化、そうダイヤモンドのような言葉を紡げるかどうかにかかってくるのではないでしょうか。
リーダーたちの困惑
一方で、操る言葉というのはやっかいそのものです。各言葉にはその成立経緯はさておき、不便な特徴も多々あります。例えばタミル語は、G音とH音が同じ文字であったり(だからヤマハをヤマガ といいます) S音と Cha音も同様です(シャツを サッタイと言ったりチャッタイと言ったり、もう)。一方、シンハラ語 には Tsu 音やZ音が 存在せず(逗子駅はすし駅) 、ターッタは、タミル語ではおじいさんを意味し、シンハラ語ではお父さんを意味するため、なんらかの有事の際には混乱を招きそうです。ヒンディ語に至っては、カル⇒ 昨日 or 明日、パルソン⇒ おととい or あさって という、インド人独特の抱擁力?たっぷりの時間軸が、クロスボーダー・リーダー予備軍を困惑させてしまうはずです。
我らが日本語は、というと文脈によっては天皇陛下にも「わたくしはマグロでございます(例: 陛下が漁港ご視察時に、漁船の種類を聞き回られた際)」と言えてしまうほどの文法的大飛躍がある、教える側にも教わる側にも悩ましい言語です。
次号では、筆者の日本語教師経験、そして南アジアの言葉群にまつわる苦悩体験の中から、逆説的に「クロスボーダーでこそ活きる戦略的日本語」の可能性について考えてみたいと思います。 以上
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執筆者:吉盛 真一郎
慶応義塾大学経済学部卒。日本・香港・スリランカ・インドにて、日系企業の経理・財務・総務業務に約14年従事。スリランカでは、ODAプロジェクトにおける山奥での現場経験や、当時のCSR業務から派生したソーシャルビジネスの起業実績もあり、経営者としてスリランカ法人の管理業務の実績を数多く積んでいる。
会社案内
スリランカビジネス歴15年の日本人コンサルタントが、現地法人の設立や会計・税務、カンパニーセクレタリーや監査に至るまで各種コンプライアンスについてのご相談・ご要望に日本語でご対応いたします。
会社名 :Global Japan Lanka Consulting (Pvt) Ltd
住所 :No.33, Level12, Parkland Building, Park Street, Colombo02
Eメール :s.yoshimori@g-japan.com
担当 :吉盛まで
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