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スリランカのスタートアップ①配車アプリ&フードデリバリーの「PickMe(ピックミー)」〜コロナ禍に立ち上がったスリランカ企業①〜

2020年5月14日

スリランカのスタートアップを紹介する第1弾。
そして、コロナ禍に立ち上がったスリランカ企業を紹介する第1弾。
今回は配車アプリ、フードデリバリーのPickMe(ピックミー)をご紹介します。

3月20日にスリランカ全土に外出禁止令が発令され、スリランカでは食料品の買い物の外出も制限される厳しいロックダウンが行われてきました。
5月11日から外出禁止令は緩和されたとはいえ、まだ制限が多い状態が続いています。

そんな中、配車アプリ、フードデリバリーサービスのPickMeはサービスを拡充し、その利便性とドライバーの収入確保を実現していきました。

PickMeとは?

Uberのスリランカ版といえば分かりやすいでしょう。
Digital Mobility Solutions (PVT) Ltdが開発するPickMeは配車サービス、デリバリーサービスなどを提供しています。

アプリではトゥクトゥクや車、10人で乗れるヴァンまで幅広く配車することできます。
引越しで使える7トンや10トンの大型トラックなども配車可能です。
またそれぞれの車種は2時間〜15時間の時間単位で手配することもできます。
最近ではフードデリバリーサービスのPickMe Foodがよく使われています。

PickMeはスリランカをベースに2005年に開発されて以来、300万ドルの投資を受けるなど注目を浴び、急成長を遂げました。
スリランカを代表する企業がこれまでPickMeの経営に参加しています。
スリランカ最大のノンバンク金融機関の「LOLC Holdings」、南アジア最大のランジェリーメーカーの「MAS Holdings」、スリランカ・バングラディシュ・ベトナムに工場を持つアパレルメーカーの「Hirdramani」の3社の名前が挙げられています。

PickMeは災害時も積極的に活動を行ってきました。
2017年にスリランカの南西部で発生した大洪水では、PickMeの技術を使い、ボートを集めるサポートして軍隊の救助活動の後押しをしています。

そんなPickMeは今回のコロナ禍でも、いくつもの対応をしています。

コロナ禍の対応1「ホットラインの設置」

ホットライン(緊急電話番号)を設置し、病院への勤務が必要な医療従事者のために、緊急時の移動に対応できるようにしました。

コロナ禍の対応2「生活必需品の配達システムを早期に構築」

3月24日の外出禁止令の一時解除の翌日、政府はハイリスクエリアでの一時解除を今後は行わないことと合わせて、食料品などの生活必需品の配達の仕組みを構築することを発表しました。

それにすぐに対応したのがPickMeでした。

政府系スーパーマーケットのLanka Sathosa、LPガス会社のLitro Gasと提携し、宅配を開始しました。

サービス開始当初はコロンボ1〜12のみが対応エリアでしたが、徐々にスリランカ各地にサービス範囲を拡大していきました。

 

コロナ禍の対応3「玄関先の置き配、複数注文の導入」

続いて、玄関先で直接受け渡すのではなく、玄関先への置き配の仕組みも導入し、ユーザーが直接受け取るか置き配にするか選択できるようになりました。

さらに、それまでPickMe Foodは一度に一つの注文しかできませんでしたが、複数の注文を同時に行うことができるようになりました。
これにより利便性がかなり高まりました。

コロナ禍の対応4「銀行(Sampath Bank)と提携し、ATMから現金を運ぶサービス」

これは銀行業界では未だかつてない試みだそうです。
Sampath BankとPickMeのアプリにアクセスし、顧客は銀行から届いた承認コードをSMSでドライバーと共有するだけで、現金が手元に届くというシステムです。
安全面を確保するため、事前に研修を終えたドライバーが担当するだけではなく、ドライバーがATMで承認コードを3回間違えると通貨取引にロックがかかるようになっていま
す。

コロナ禍の対応5「ドライバーの検温とガイドラインを作成」

「ドライバーの健康状態が心配…」という不安も払拭できるように、毎朝ドライバーの検温も行っているようです。
PickMeを利用する際にドライバーの体温をアプリから確認できるようになっています。

 

そしてPickMeは5月11日から、3つのガイドラインを設けながら今まで通りの配車サービスを再開しました。

  • 一台に乗車できる人数は運転手を除き2人まで
  • 必ず後部座席に乗車すること
  • 必ずマスクを着用すること

そんな中、PickMe Foodの事業責任者がフォーブスの2020年 30歳未満のアジア部門にノミネートされています。

 

矢継ぎ早に新しいサービスを展開するPickMeからは、アイディアとテクノロジー、実行力で困難の中にも可能性を見出し、チャンスに変えるエネルギーを感じます。

そして、PickMeのドライバーとして働く人たちの中には、PickMeからの収入が家計を支えているという家庭もあったようですが、一連の取り組みにより、外出禁止下で人々が移動しなくなっても、働くことができているという状況を作ったのは素晴らしいことだと思います。

>>>参照サイト

Sri Lankan Start-Up Offers  a Lifeline During Crisis 
About PickMe
Sampath Mobile Cash
PickMeのInstagramアカウント
シバタランカ 木田泰光のスリランカライフ

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