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バーガーキングや世界のアパレルブランドを展開するソフトロジック(Softlogic)

2020年6月06日

スリランカの大企業を紹介する第二弾はコングロマリットの「ソフトロジック(Softlogic)」を紹介します。

アパレルブランドでシェア1位、携帯電話販売業者としてもシェア1位、家電でシェア3位と消費者市場でのポジションを確立しており、消費者市場向けのコングロマリットとしてはスリランカ最大の規模を誇ります。

スリランカの定番お土産スポットとして有名なオデール(ODEL)を傘下に持ち、バーガーキング、バスキンロビンズ(サーティーワン・アイスクリーム)、スイスのムーベンピックのスリランカでのフランチャイズ展開をしていることでも知られています。

今年のニュースとしては、2020年1月21日に完全子会社のSoftlogic Brands (Pvt) Ltd.が有名アパレルブランド、DieselのショップをOne Galle Face Mallにて営業し始めたことが報じられています。

また、コロナウイルスが蔓延する中、役員報酬を20〜30%カットする一方で、50,000ルピーを下回る従業員の給料は現状維持する方針であることも報じられています。(ボーナスや時間外労働賃金の支払いは見合わせているようです。)

ソフトロジック(Softlogic)とは

ソフトロジックはスリランカを代表する巨大コングロマリットの一つです。

1991年にアショーカ・パティラゲー(Ashok Pathirage)氏によってソフトウェアデベロッパーとして12人の従業員と共に発足し、現在では750億ルピーの売上高と11,000人超の雇用を生み出すまでの大組織に成長しました。
創業者のパティラゲー氏は現在、代表取締役 兼 会長を務めています。

主要事業はリテール(小売)事業、ヘルスケア事業、金融事業の3つで、小売業は事業全体の実に50%を占めています。
特にスリランカ国内で有名なODELという高級百貨店ブランドを買収、運営していることでも知られています。

下記の図はソフトロジックの事業別の売上高割合になります。

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softlogic社のAnnual Report 2018-2019よりスパイスアップで作成

また2011年にコロンボ証券取引所に上場もしており、今後もますます成長発展が見込める大組織と言えるでしょう。

小売事業

グループの売上の50%を占める小売業から見ていきます。
小売業の中でも特徴的なのがファッションブランドに強いことです。

多数の世界的なファッションブランドの販売を行う

ソフトロジックは140を超えるインターナショナルブランドの代理店になっています。
その中でも多いのがファッションブランドの取り扱いです。

2019年にオープンしたスリランカの最新モール「ワン・ゴール・フェイス・モール(One Galle Face Mall)」のグランドフロアー、1stフロアーを中心にソフトロジックが取り扱うブランドショップが多数入っています。

ワン・ゴール・フェイス・モールに入っているソフトロジックが扱うブランドショップには以下のようなお店があります。

チャールズ&キース、トミー ヒルフィガー 、アディダス、リーボック、プーマ、ナイキ、スケッチャーズ、ディーゼル、ゲス、フルラ、スワロフスキー 、アルマーニ・エクスチェンジ、マンゴ、ユーエスポロ、ヤママイ、カルバン・クライン、ヴェロモーダ、カルピッサ、ロンジン、ティソ、モスキーノ、アルドなど。

中にはスリランカ初出店となるブランドの店舗もあります。

アパレルブランド以外にもバーガーキング、バスキンロビンス、クリスタルジェイドの飲食ブランドもソフトロジックがフランチャイズをしており、ワン・ゴール・フェイス・モールにも出店しています。

国内ブランドでもデパートメントストアの「オデール(ODEL)」、「コットン・コレクション(Cotton Collection)」をその傘下に持っています。

コロンボ7にあるオデールの旗艦店は日本人をはじめ外国人観光客がショッピングや食事をする場所としてよく知られています。
オデールブランドのお土産ショップ「LUV SL」も観光客に人気のショップです。

ショッピングモールへの積極的な出店

上記にある通り、2019年にオープンした最新モールに積極出店しています。

オデールはワン・ゴール・フェイス・モールには3フロアーを構え、各フロアーはエスカレーターで行き来できるようになっています。
このオデールの店舗ではスリランカ初となるポルトガルのSacoor Brothersによる紳士服の取り扱いを始めるという力の入れようです。

2018年にオープンした(現在2番目に新しい)ショッピングモールの「コロンボ・シティー・センター」にもオデールをはじめ、積極出店しています。

そして現在、オーデルの旗艦店の隣の敷地にオデール・ショッピングモールを建設中です。
2020年開業予定でしたが、コロナウイルスの影響で変更になるかもしませんが、2018年のコロンボ・シティー・センター、2019年のワン・ゴール・フェイス・モールへの積極出店に続き、自社でショッピングモールを運営するという積極的な展開を行っています。

家電ブランドの展開

家電ブランドも多く取り扱っています。
アップル、パナソニック、サムスン、ノキア、デル、エイサー、ゼロックス、アメリカのワールプール、イタリアのキャンディ、中国のTCLなどの代理店であり、ショップ「Sogtlogic」で販売しています。

また、近年は大型店の「Softlogic MAX」の運営も始めています。

レストランブランドの展開

レストラン、飲食ブランドは以下の4つのフランチャイズ権を取得して、展開しています。
-バーガーキング
-バスキン・ロビン(日本ではサーティーワンアイスクリーム)
-100カ国以上に展開するフランスの「デリフランス(Delifrance)」
-シンガポール拠点の「クリスタル・ジェイド(Crystal Jade)」

家具ブランド

タイの家具会社の「SB Furniture」や「Koncept」、イギリスの「Able」などいくつかの家具ブランドを扱っていますが、最も代表的なのは、イタリア最大の家具会社の「Natuzzi」の展開です。

コロンボ4(バンパラピティヤ)にNatuzziの4階建てのショールームを運営しています。

オンライン通販の展開

オンライン通販サイト「my softlogic.lk」で販売店になっているブランドを始め、スマートフォンからファッション、オフィス製品まで取り扱っています。

小売事業を中心に多数のブランドを展開するソフトロジックの強みを活かした事業展開と言えそうです。

ヘルスケア事業

アシリ・ヘルス(Asiri Health)を買収し、ヘルスケア事業に参入しています。

アシリ・ヘルスは複数の病院と研究所を保有しています。
(アシリ内科病院、アシリ外科病院、アシリ中央病院、アシリ病院キャンディ、アシリ病院ゴール、アシリ病院マータラ、アシリ研究所、アシリ血液バンク)

スリランカでは近年高齢化が加速しており、その結果、医療保険の拡充や生活習慣病の民間医療への移行などが進められてきました。

そんな背景もあり先進技術や専門家の配備、快適性を重視するなどしたアシリブランドは国内外問わず高い評判を得てています。

外国人がよく行く病院の一つとしても知られており、外務省のウェブサイトのページ「世界の医療事情 スリランカ」にも取り上げられています。

金融事業

2005年4月に投資会社のCapital Reach Holdings現 Softlogic Capitalを買収して金融事業に参入しています。

その中でもマーケットポジションを確立しているのがSoftlogic Life Insuranceです。
2019年時点でスリランカ全土で66に支店を保有しています。
ソフトロジックは多数の事業を展開していますが、実際にスリランカの町を歩いていて一番多く見かけるSoftlogicのロゴはSoftlogic Life Insuranceです。

Softlogic Life Insuranceは第19回アジア保険アワードでイノベーション・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。
また、スリランカの自動車保険業界に革新をもたらしたとして、2015年のナショナル・ビジネス・エクセレンス・アワードの保険部門で金賞、大企業部門で銀賞を獲得しています。

ICT(情報通信)事業

ソフトロジックはソフトウェア開発会社としてスタートし、現在はスリランカ最大の携帯電話販売業者となっています。

ソフトロジックは今ではファッションを初め多数の国際ブランドの代理店をしていますが、デルの代理店をすることから始まっています。
その経緯からパソコン及び周辺機器の取り扱いは業界をリードする立場にあります。
これを担当するのがSoftlogic Computersです。

続いて代理店として取り組んだのがスリランカ通信業界最大手のDialogとのGSMパッケージの販売です。
これを担当するのがSoftlogic Internationalです。

Dialogの次に、2000年にノキアと独占契約で代理店になります。
ノキアとの契約により、スリランカ全土で2,000カ所の販売網を構築し、スリランカ最大の携帯電話販売業者となります。
ノキアのモバイル端末の販売がソフトロジック社の躍進に一役買ったようです。
その後、携帯端末の取り扱いはサムスン、HTCと取り扱いブランドを広げています。

ICT事業で特徴的なことの一つに、オーストラリアのヘルスケア業界向けにソフトウェアソリューションを提供するソフトロジック・オーストラリアがあります。

自動車事業

自動車事業では日本のダイハツ工業株式会社と提携し、2008年にはダイハツのテリオスを4年かからず1,000台の販売実績を記録しています。

中国最大のバス車両メーカーである金龍客車(ジンロンきゃくしゃ、King Long)の代理店となっています。
ラグジュアリーなバスやヴァンを大手旅行会社やバス運営会社に販売しています。

スズキ、フォードの代理店も担っています。

レジャー事業

シンガポールの旅行業界向けに予約システムなどを提供しているAbacus Internationalのシステムを扱う「Abacus International Lanka」が傘下にあります。
「Abacus International」はアジアにおける旅行業界向けにITソリューションを提供する代表的な会社で、アジアの航空会社連合が所有し、アメリカの航空・鉄道・ホテルの予約システムを提供する「Sabre」社のバックアップも受けている会社だそうです。

タイのコングロマリット「Central Group」の傘下にあるホテルチェーン「Centara Hotel and Resort」との提携で、ベントタの半島に建てられたホテルを買収、166室を有する4つ星ホテル「Centara Ceysands Resort & Spa」としてリニューアルオープンしています。
海とベントタ川に挟まれた半島に位置し、川の対岸からボートでホテルに渡りチェックインすることができる特徴的なホテルになっています。

スイスの世界的ホテルチェーン「モーベンピック(Movenpick)」と提携し、5つ星ホテル「モーベンピック・コロンボ(Movenpick Colombo)」を2017年1月にオープンしています。
設計を担当したのは、世界的にも知られている建築設計事務所「DiLeonardo」です。

終わりに

この記事の情報は主にSoftlogic社のホームページやIRを参考にしています。
下記にこの記事に関連するホームページのURLを載せましたのでぜひご覧下さい。

参照
Softlogic Annual Report 2018-2019
Softlogic ホームページ
Softlogic anchor tenant at One Galle Face Mall
急伸するスリランカ・小売業の主役「ODEL」の戦略とは?
Sri Lanka’s Softlogic group cuts salaries 20-30-pct as Coronavirus hits
世界の医療事業 スリランカ(外務省)
スリランカ投資セミナーの実施報告(ストライダーズ)

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