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コロナ禍に立ち上がったスリランカ企業③アラックメーカーの「ロックランド社(Rockland Distilleries)」

2020年6月10日

コロナ禍に立ち上がったスリランカの第三弾はスリランカの蒸留酒アラックを製造する「ロックランド(Rockland Distilleries)」をご紹介します。

スリランカではコロナウイルスにより始まった3月後半のロックダウンから2ヶ月ほどお酒の販売が認められていませんでした。

そんな中、ロックランド社は所有するブランドの「セイロン・アラック(Ceylon Arrack)」の製造ラインで消毒液を作り、スリランカの国立感染症研究所と国立病院に寄付したことを4月9日に発表しました。

イギリスBBCにて、セイロン・アラックは国際的な評価を受けている高級アラックとして報じられています。

今回の記事ではアラックはどんなお酒なのか、ロックランド社、セイロン・アラック、今回の消毒液の製造に関するニュースについてご紹介していきます。

アラックとは?

ロックランド社の主要なアラックブランド

アラックは南アジアや東南アジアで樹液を発酵させて作る蒸留酒で、その材料は地域によって果物、サトウキビ、穀物など様々です。
17世紀以前にイギリス東インド会社がインドからイギリスに持ち帰り、イギリス周辺でよく飲まれたパンチ(パンチにフルーツを入れたものがフルーツポンチ)はアラックに砂糖、レモン汁、水に、紅茶やスパイスを入れて作られいました。

イラク、シリア、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノンなどの西アジアの伝統的なお酒であるArak(Araq)が語源だとも言われています。西アジアや北アフリカではナツメヤシやブドウからArakを作っています。

スリランカではココナッツの未開化の花の蜜を発酵させたヤシ酒(Toddy)を蒸留させてアラックを作ります。
ヤシ酒を作っている地域も世界には多く、カリブ海、南アメリカ、アフリカなど多地域で生産されています。

スリランカでは暑さを避けて、夜明けにヤシの木に上り、ヤシ酒を取ります。
一つのヤシの木から1日2リットルのヤシ酒がとれるとも言われています。

ロックランド社のアラック

ヤシの木には足をかけが取り付けられていて、それをよじ登ります。
ヤシの木の高さは60mほどにもなり、そこまで登って採取するのです。

木と木を結ぶロープがあり、それを伝って採取します。
セイロン・アラックの700mlボトルを一本作るには4〜6本のヤシの木から花の蜜を採取する必要があるそうです。

スリランカ産のアラックはイギリス統治時代にペナン、シンガポール、マラバール海岸(インド南西部の海岸)、コロマンデル海岸(インド南東部の海岸)に輸出されていました。

現在、スリランカはヤシ酒を世界に輸出する主要国で、コロナ禍でのニュースになったセイロン・アラックは国際的なブランドとして認知されています。

アラックはストレートで飲んだり、ジンジャービアー、コーラ、ソーダ、ライムジュースなどで割って飲まれます。
また、ラムやウイスキーと一緒にカクテルに使われることもあります。

高級アラック「セイロン・アラック」とは?

高級アラックの「セイロン・アラック」

アラックは3つのカテゴリーに区分けされています。

1)プレミアム・エイジド:数年〜15年ほど熟成されたもの
2)プレミアム・クリアー:味をまろやかにするために何度か蒸留あるいはろ過したもの
3)コモン:糖蜜から作られた他のアルコールなどと混ぜ合わせて作られたもの。

セイロン・アラックはプレミアム・エイジドにあたる高級アラックです。
スリランカのアラック市場の7割はコモンだそうです。
コモンの中にはヤシ酒が3%しか使われていないものもあるそうです。

セイロン・アラックはもちろん100%ヤシ酒で作られており、ヤシ酒の採取は一つ一つ職人の手で行う昔ながらの製法で作られています。

セイロン・アラックはロンドンの有名インドレストランの「Dishoom」やロンドンのスリランカレストランの「Hoppers」などで提供されており、今やスリランカよりもイギリスでの消費量が多く、シンガポール、ドイツ、日本でも取り扱われているそうです。

Asia’s 50 Best Barに2017〜2019と3年連続で選ばれている シンガポールのバー「Native」でもカクテルに使われているそうです。

コロンボの酒屋「Premasiri Super Market」ではセイロン・アラック700mlのボトルは11,500ルピー(約6,670円)で売られており、同じロックランド社のロックランド・オールド・アラックが750mlで1,800ルピー(約1,044円)と比べてる価格が随分と異なりました。

ロックランド社(Rockland Distilleries)とは?

ロックランド社のドライジンとラム

スリランカでアラックを製造するのは代表的な会社は以下の4社です。

  • DCSL (Distilleries Company of Sri Lanka)
  • IDL (International Distilleries Ltd)
  • Rockland Distilleries (Pvt) Ltd
  • Mendis

ロックランド社は1924年に設立されて以来、上質なアラックを製造する会社として脈々と引き継がれています。

アラックの他にスリランカ産のジンやラムなど15のブランドを持ち、ワインやスピリッツの輸入も行っています。

ロックランド社は「グリーン蒸溜所(Green Distillery)」として環境問題にも積極的に取り組んでおり、米国グリーンビルディング審議会からLEED(環境性能評価システム)認定を初めて受けた蒸溜所の一つ。
※環境に優しいことで有名なヘリタンス・カンダラマが認定を受けたのもLEEDです。

 

180mlボトルのアラック

具体的な取り組みは以下の通りです。

①.環境汚染の原因となる蒸留廃液は、嫌気性消化法(酸素を必要としない)と好気性消化法(酸素を必要とする) の二つでバクテリアにより無機物になるまで分解されます。蒸留廃液は綺麗な水へと生まれ変わり、Eco-Pond(所有する池)へ流れていきます。

②.Eco-Pondには様々な生き物たちが生息していて、時にはペリカンが魚を狙いに来ることもあるそうです。生態系を守るためにも、定期的に国の産業技術機関が川の水質チェックを行っています。

③.廃液を生分解する工程ではバイオガスが発生します。そのバイオガスは燃料となり再び蒸留の工程の際に再利用されます。

④.蒸溜所の事務所は換気の良い作りになっているため、従業員たちはエアコンなど一切使用せずファンだけで十分快適に働くことができます。

⑤.蒸留酒を製造する際、蒸気を集めて冷却し、液体に戻す過程があります。従来ならば冷却する際に使用した水は熱湯となりそのまま廃棄されていましたが、熱湯を冷まし再利用できるシステムを作りました。これにより3万リットル/日の水を節約することが可能です。

⑥.トリンコマリーの木を植える活動を行っています。これらの木は最終的に、蒸留酒を熟成させるために利用する樽へと変わります。

コロナ禍の対応「消毒液の製造」

冒頭でご紹介した通り、4月9日にセイロン・アラックの製造ラインで消毒液の製造を開始したことを発表しています。

ロックランド社が製造した消毒液

消毒液は物品税局監修の下に製造されており、スリランカの国立感染症研究所と国立病院に寄付されました。

製造された消毒液は個人への販売は行っておらず、これからも他の病院や施設への寄付を目標に製造を続けていくとのことです。

ロックランド社の公式ホームページでは様々なカクテルのレシピを公開しています。
スリランカ産のアラックを使って、カクテル作りをしてみるのも楽しいかもしれません。

>>参照サイト

Ceylon Arrack公式Facebook
RockLand Distilleries公式ホームページ
セイロン・アラック公式ホームページ
How Sri Lanka’s arrack coconut spirit went upmarket (BBC NEWS)
Arrack (Wikipedia)
Arak (Wikipedia)
Palm Wine (Wikipedia)
The Story Behind Ceylon’s Arrack (Roar Media)
フルーツポンチ(ウィキペディア)

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