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ジェフリー・バワの復刻家具展示会「Design in the Moment」

2025年4月07日

2024年12月にオープンしたジェフリー・バワ財団の新事務所に併設された展示スペースにて、企画展「Design in the Moment: Furniture by the Geoffrey Bawa Practice – アパルナ・ラオとチャンナ・ダスワッタによるキュレーション展」が開催されています。

本展は、インド・ベンガルールを拠点とするクラフトデザインの家具メーカー「ファントム・ハンズ」の共同創業者であるアパルナ・ラオ氏と、ジェフリー・バワ財団理事長のチャンナ・ダスワッタ氏のコラボレーションにより実現しました。会場ではファントム・ハンズが2025年中の販売開始を予定しているバワ設計の椅子、デスク、照明、オブジェの復刻版が展示されています。

展示会開催の概要

会期 

2024年12月13日~2025年5月31日

開館日時

開館日:水曜~日曜

開館時間:12:00~18:00

会場

The Bawa Space

住所:42/1 Horton Place, Colombo 07

展示会場について

バワ財団の新たな拠点

展示会場はバワ初期の住宅作品であり、1959年から1961年にかけて弁護士のエイリアン・カンナガラ氏のオフィス兼住居として建設されたカンナガラハウスの1階。近年までブラジル大使館として使用されていたカンナガラハウスは、バワ財団の新たな拠点として生まれ変わりました。

これまでナンバー11にあった財団オフィスはカンナガラハウスの2階に移転し、かつてリビングルームとダイニングルームだった1階部分が本展の会場となっています。屋内プールを改装したエリアの奥には、バワ財団による書籍やグッズなどが展示されています。なお、これまでオフィスとして使用されていたナンバー11の部屋は、客室へと改装される予定です

入口すぐに見える階段。通常は2階へは上がれません。

「その瞬間のデザイン」各家具のストーリー

展示されている各家具には、バワによって設計された背景となるストーリーがあります。それはバワの元を訪れた友人からのプレゼントであったり、建築現場でのとある場面であったりとさまざま。

「その瞬間のデザイン」と題された本展は、輸入が厳しく制限された1960~70年代のスリランカにおいて、国産材料と地元の職人によって制作可能な家具を、建築に合わせて即興的にデザインした瞬間に焦点を当てています。材料や制作方法、短納期など、それら多くの外的制約を逆手にとり、開放的なアプローチにより生み出された家具たち。それらは単独の要素ではなく、各プロジェクトの建築空間や全体のコレクションの文脈と深くかかわりあっています。

今回の展示では、バワの作品の歴史を振り返り、それが現代の複製や再生産においてどのような意味を持つのかを考察しています。

復刻される家具

復刻される家具は、ナンバー11、ルヌガンガ、シナモンベントタビーチ、ヘリタンスカンダラマ、デサラムハウス、ジェットウィングライトハウス、ヘリタンスアーユルヴェーダのために設計された椅子、テーブル、照明、オブジェ。

ここではその一部をファントムハンズによる復刻版と各建築に置かれたオリジナル版の写真とともにご紹介します。

Kandalama Lounge Chair

ファントムハンズによる復刻版

バワは、オーストラリアの建築家兼デザイナーのラッセル・ホールの作った椅子を90年代初頭にルヌガンガに設置しました。その後、90年代半ばにオリジナルと対になる椅子を作成し、その後94年にカンダラマホテル(現ヘリタンスカンダラマ)で使用されています。

ルヌガンガの2脚 (2024/5/14撮影)

ヘリタンスカンダラマ (2023/5/28撮影)

Lunuganga Dining Table

ファントム・ハンズによる復刻版

1960年代、ジャフナ近郊の島にある考古遺跡を借りて暮らしていたエナ・デ・シルバとラキ・セナナヤケは、パラ・マラ(サマネア・サマン)材の巨大な木板を使って素朴な家具を製作していました。その試みに着想を得て、バワはルヌガンガ邸ガーデンルームのために本作を制作しました。

通常は家具材として不適とされるこの木材に、三角断面の鍛鉄スタンドを組み合わせることで、厚さ約3インチの天板の重みによる外向きの力に耐える構造となっています。

オリジナル in the Garden Room at Lunuganga (2023/7/7撮影)

Simple Wall Lamps

ファントム・ハンズによる復刻版

現代的で直線的な照明器具がほとんど存在しなかった時代、バワは光源を柔軟な板で覆うシンプルな壁掛けシリーズを開発しました。この手法が、現在スリランカで広く見られる三角形の照明器具のデザインにつながったと考えられています。元々は亜鉛メッキ鉄で製作されていましたが、現在ではアルミニウムで作られています。

Number 11のファサード (2023/7/8撮影)

De Saram Houseのバスルーム (2023/7/10撮影)

その他

会場で

展示会入口で配布されているパンフレットには各家具のストーリーと解説が記載されており、会場のスタッフも丁寧に説明してくれます。

椅子には実際に座れます!

展示されている復刻版の椅子は、ほぼすべてに座ることができます!ぜひ実際に座り心地を試してみてください。

バワ建築未体験の方も、よくご存知の方も!

これからバワ建築を訪れる人にとっては、それぞれの家具に宿るストーリーを予習した上で、オリジナルの家具を現地で見る楽しみが増えるでしょう。

また、すでにバワ建築を訪れたことがある方にとっては、かつて目にしたバワの家具との再会を通じて、その背景にある物語と復刻された家具を見て触って体験できる貴重な機会です。

筆者お気に入りの椅子

バワ財団による会場The Bawa Spaceのページ

不定期で開催されるチャンナ・ダスワッタ氏による解説ツアーの予約はこちらから(次回は4/25(金)開催予定。要予約。最新情報をご確認ください。)

バワ財団のInstagramでもツアー開催情報などをチェックできます!

@geoffreybawatrust

 

参照

Architectural Digest India / Phantom Hands produces reissues of Geoffrey Bawa’s highly contextual furniture

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