東海岸の主な観光地
スリランカで透明度の高い海は東海岸だと言われます。
南西海岸にも透明度の高いビーチはありますが、南西海岸よりは観光開発が行われていない東海岸には綺麗な海が残されています。
東海岸は、南北に長い東部州の海岸を指しています。
南西海岸と南海岸はビーチリゾート地が断続的に続きますが、東海岸は大きく4つの地区に分かれ、地区はそれぞれ離れています。
本記事では、4つの地区の概要を紹介します。
目次
トリンコマリー地区:クジラ、ダイビング、シュノーケリング、ヒンドゥー寺院、オランダ要塞

東海岸は東部州の海岸部分を指しますが、東部州の州都であり、トリンコマリー県都なのがトリンコマリーです。
スリランカでクジラが見られる代表的な場所は2つあり、南海岸のミリッサ、そして、東海岸のトリンコマリーです。
シュノーケリングが楽しめるほどに海が綺麗なのもトリンコマリーの特徴です。
トリンコマリーの北の郊外にあるピジョン島(Pigeon Island)は、スリランカにある3つの海洋国立公園の一つです。
南西海岸にある海洋国立公園であるヒッカドゥワもシュノーケリングが楽しめますが、ヒッカドゥワとトリンコマリーがシュノーケリングの2大スポットと言えるでしょう。
ヒッカドゥワの南西海岸で海が穏やかで綺麗なのが、日本の冬(12月〜3月)。
トリンコマリーの東海岸が海で穏やかで綺麗なのが、日本の夏(6月〜9月)。
日本の夏にスリランカを訪れる場合、綺麗な海を求めている方は、トリンコマリー地区がお勧めです。
また、トリンコマリーはジャフナと並び、タミル・ヒンドゥー文化の歴史が息づく地域です。
トリンコマリーは英語名で、タミル語では「ティルコーナマライ」と言います。
ティル(Thiru)は聖なる、コナ(Kona)は岬を意味する古語あるいは東を意味するクナ(Kuna)、マライ(Malai)は山・丘という意味。
半島の岬にあるコネスヴァラム寺院、半島にあるパティラカリアンマン寺院、カンニヤ温泉などヒンドゥー遺跡が多く残されています。
トリンコマリーは、天然の良港としても知られ、ポルトガル、デンマーク、オランダ、フランス、イギリスが奪い合った土地でもあります。
スリランカ最大の要塞「フレドリック要塞(Fort Frederick) 」は、オランダが最初に占領したポルトガルの要塞です。
また、スリランカ海軍の基地があり、海軍の博物館もあります。
第二次世界大戦では、日本軍が軍港トリンコマリーを空爆していますが、空爆によって亡くなった連合国軍の兵士などが埋葬されている墓地がトリンコマリーの郊外にあります。
郊外には仏教の古代遺跡も残されています。
ギリハンドゥサーヤヴィハーラは、ブッタが生存中に建てられたと言い伝えられています。
ブッタが悟りを開いた後に食べ物を与えて最初に弟子になった商人の兄弟が、食べ物のお礼にブッタから8本の髪をもらい、それを納めるために建造したとされています。
同じ言い伝えがあるのが、ミャンマーのヤンゴンにあるシュエダゴンパゴダ、アフガニスタンのバルフにあったとされるナラヴィハーラです。
ヴェルガムラージャマハーヴィハーラは、仏教伝来時のデーワーナンピヤティサ王(在位 紀元前307-267年)の時に作られたとされています。
セールワーウィラマンガララジャマハーヴィハーラヤは、ブッタの額の骨を納めたカヴァンティッサ王(在位 紀元前205〜161年)の時代に建てられた仏塔だと言われています。
バッティカロア地区:ビーチリゾート地「パーシクダー」、オランダ要塞

バッティカロア県の県都バッティカロアがこの地区の中心地です。
バッティカロアは英語名で、タミル語では「マッタカラプー」と言います。
マッタは「平な」、カラプーは「ラグーン」を意味します。
バッティカロア県には3つのラグーンがあり、最大のバッティカロアラグーン内にはいくつもの島があります。
バッティカロアの中心地は、そのうちの一つプリヤン島(Puliyanthivu)
thivu(ティーブ)は島という意味です。
プリヤン島には、オランダがスリランカで初めて占領した要塞であるバッティカロア要塞があります。
代表的なリゾート地はバッティカロアの北35キロにあるパーシクダーです。
パーシとは藻、クダーとは湾を意味し、「藻類の湾」が由来だと言われています。
パーシクダーには、白い砂浜が続く湾曲したビーチと、遠浅の海があります。
政府からリゾート開発地として指定され、大型のリゾートがビーチに並んでいます。
リゾート以外はありませんので、町歩きはバッティカロアで楽しみ、パーシクダーは、ゆったりとビーチリゾートでのステイを楽しむ場所です。
アンパーラ地区:ボートサファリ、仏教遺跡
イギリス領セイロン時代は、狩人の憩いの場であったのがアンパーラです。
初代スリランカ首相D・S・セナナヤケによる、1949年からのガルオヤ開発計画で、アンパーラの町が作られていきました。
ガルオヤ国立公園には、スリランカ最大の貯水池であるセナナヤケ・サムドラヤがあり、ボートサファリとジープサファリができます。
ボートサファリでは、貯水池の中にあるバードアイランドと呼ばれる鳥が群がる島へ上陸することができます。
ジープサファリでは、5kmと13kmのコースがあり、ゾウやヒョウを観察することができます。
歴史ある仏塔や寺院も残されています。
ディーガワーピ仏塔はブッタが訪れたと言い伝えられている紀元前3世紀に建てられたとされる仏塔です。
ディーガワーピはパーリ語で「長い貯水池」を意味します。
ムフドゥマハーヴィハーラヤは、ルフナ王国の王カヴァンティッサ(在位 紀元前205〜161年)の頃に建てられてと言われています。
カヴァンティッサ王と結婚したケラニアのヴィハーラマハーデヴィ妃が上陸した地点に建っているとされています。
ガルマドゥワプラナ寺院はアヌラーダプラ時代の王サッダ・ティッサ王(紀元前137年〜紀元前119年)の頃に建てられたものであると言われています。
サッダ・ティッサ王はルフナ王国の王子で、現在のアンパーラ辺りを治め、兄からアヌラーダプラを都とするラージャラタの王位を継承しています。
ブッダンガラ寺院はアヌラーダプラ時代の王カッサパ5世(914-923)の頃に建てられたものであると言われています。
アルガムベイ地区:サーフィン、ジープサファリ、仏教遺跡
スリランカのサーフスポットとして最も名高いのがアルガムベイです。
アルガムベイは、スリランカで唯一の国際サーフィン大会の開催地であり、世界的なサーフスポットの一つとしても評価されています。
アルガムベイは英語名で、タミル語では「アルカムクダー」という言います。
「ギョウギシバ(海藻)の湾」という意味があるそうです。
この地区の中心地は、アルガムベイから北5キロにあるポットゥヴィルです。
ポットゥヴィルはムスリムが多い町です。
アルガムベイは、クマーナ国立公園(2006年9月にヤーラ東国立公園から改称)、ラフガナ・キトゥラーナ国立公園のベースとなる町でもあります。
クマーナ国立公園は、バードウォッチングでも知られ、1938年にクマーナ・バード・サンクチュアリが、クマーナ国立公園内に作られています。
クマーナ・バード・サンクチュアリでは、国内400種の鳥類のうち、255種が確認されています。
マングル仏塔、ニィーラギリセーヤ仏塔など仏教遺跡も郊外にあります。
マングル仏塔は、ルフナ国のカヴァンティッサ王(在位 紀元前205〜161年)が、ケラニアの王ケラニティッサの娘ヴィハーラマハデーヴィと結婚した時に建てられたと考えられています。
マングルは結婚式を意味します。
ニィーラギリセーヤ仏塔は、ルフナ国のカヴァンティッサ王(在位 紀元前205-161年)またはバティカバヤ王(在位 紀元前20-9年)によって建てられたと考えられています。
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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