マイケルジャクソン著『世界の一流ビール500』に載ったライオンスタウト
ビール作家のマイケルジャクソン氏は2007年に他界されていますが、2005年に発行されたのが『世界の一流ビール500(原題:GREAT BEER GUIDE – 500 CLASSIC BREWS)』です。
1ページに1銘柄がビール瓶と、ビールが注がれたグラスが並べられた美しい写真とともに紹介されています。
世界27カ国、アジアからは4カ国のビールが選ばれいますが、南アジアから唯一選ばれたのがライオンスタウトです。
本記事では、世界の一流ビール500の概要と、ライオンスタウトがどのように紹介されたかを見ていきます。
目次
本書の構成
まえがき:2ページ
グレートビールのA〜Z:250ページ
ビールの注ぎ方:2ページ
ビールの味わい方:2ページ
味と香りに関する表現:2ページ
ビールを飲む時:2ページ
食べ物とビール:2ページ
ビールで作る料理:2ページ
用語集:3ページ
ユーザーガイド:3ページ
発刊に寄せて:1ページ
まえがき
まえがきを読むと、この本のビールの選択基準が分かります。
2ページと短いですが、そこにビールに関するエッセンスがまとめられています。
まえがきは、以下の一文で始まります。
世界的に有名なビールは、ほとんど味がしない。確かによく売れるが、多くの人気商品と同様に印象が薄みものである。
良いビールについては、以下のように書かれています。
すべての良いビールは、大麦モルトとホップの味がする。ミュンヘンの伝統的なラガーのようにモルトの甘みが強いものもある。また、素晴らしいピルスナーのようにハーブの香り豊かなホップが強調されたものもある。良いラガーは、雑味のない、モルトとホップの特徴がよく出る。小麦のビールの中には、自然にスパイスの味がするものもあるし、スパイスや果汁を加えたものもある。エールの生産に使われる酵母が、自然に果物の風味を作り出す。ポーターやスタウトは、トーストのような味や焦げ味がある。(中略)素晴らしいビールは香りで始まり、次に口当たりと味わいが現われ、最後に「フィニッシュ(後味)」が来る。
ビールの味わい方
ビールの味わい方は、ビールを工程を「見る」「回す」「嗅ぐ」「すする」の4つに分け、テイスティングの状況について開設されています。
まえがきに記載されている良いビールの条件と同じような説明文が冒頭に記載されていますが、各種類のビールの特徴がわかりますので、以下に引用します。
良いビールは必ず、モルトとホップの味がする。本当に澄んだラガーならば、それ以外の味はほとんどしないはずである。良いエールはこれらの要素以外に、上面発酵の酵母により果実風味もやや現れる。良いポーターやスタウトは、ローストしたモルトによりチョコレートやエスプレッソのような風味を持つ。良いウィート・ビールは、酸味があり、のどの渇きをよく癒してくれる。
ビールの注ぎ方
エール、スタウト、ピルスナー、ウィートの4つのビールの注ぎ方が解説されています。
掲載国数
掲載国数は27カ国。
その内訳はヨーロッパ16カ国、アジア4カ国、アメリカ大陸3カ国、オセアニア2カ国、アフリカ2カ国。
国別掲載ブランド数
1位:ドイツ106
2位:アメリカ85
3位:ベルギー70
4位:オランダ29
5位:カネダ9
5位:オーストラリア9
7位:日本8
8位:オーストリア7
8位:ニュージーランド7
10位:チェコ6
11位:アイルランド5
12位:デンマーク4
12位:エストニア4
14位:イタリア3
15位:フィンランド2
15位:南アフリカ2
17位:スウェーデン1
17位:ノルウェー1
17位:ロシア1
17位:ポーランド1
17位:マルタ1
17位:ポルトガル1
17位:メキシコ1
17位:中国1
17位:タイ1
17位:スリランカ1
27位:ナミビア
掲載ブランド
4ブランド掲載の醸造会社
BERT GRANT’S(アメリカ)
CANTILLON(ベルギー)
Hoepfner (ドイツ)
Petrus(ベルギー)
Samuel Smith(イギリス)
YOUNG’S(イギリス)
3ブランド掲載の醸造会社
ALFA(アメリカ)
ANCHOR(アメリカ)
AUSTRALIS(ニュージーランド)
AYINGER (ドイツ)
BERLINER BURGERBRAU(ドイツ)
BLACK SHEEP(イギリス)
BRIDGEPORT(アメリカ)
BROUGHTON ALES(アメリカ)
BURTON BRIDGE(イギリス)
CALEDONIAN(イギリス)
Carlsberg(デンマーク)
Celis Brewery(アメリカ)
Das feine Hofmark(ドイツ)
DE LEEUW (オランダ)
DOCK STREET(アメリカ)
ELDRIDGE POPE(イギリス)
FULLER’S (イギリス)
Gambrinus(チェコ)
GREAT LAKES(アメリカ)
HB(ドイツ)
Heineken(オランダ)
JEANNE D’ARC(フランス)
King & Barnes(イギリス)
LA CHOULETTE(フランス)
Liefmans(ベルギー)
LINDEMANS (ベルギー)
MACLAY(イギリス)
MARSTON’S(イギリス)
NUSSDORFER(オーストラリア)
PAULANER (ドイツ)
PINKUS MULLER(ドイツ)
Rodenbach(ベルギー)
SHEPHERD NEAME(イギリス)
STOUDT’S (アメリカ)
UNIBROUE(カナダ)
VERHAEGHE(ベルギー)
Weihenstephaner (ドイツ)
Wurzburger Hofbrau(ドイツ)
2ブランド掲載の醸造会社
ALASKAN(アメリカ)
BANKS’S(イギリス)
BASS(イギリス)
BAVIK(ベルギー)
BELHAVEN(イギリス)
BIG TIME(アメリカ)
BOON(ベルギー)
BOSTON BEER WORKS(アメリカ)
CHILTERN(イギリス)
CHIMAY(ベルギー)
Christoffel BIER(オランダ)
COOPERS BREWERY(オーストラリア)
DE RIDDER(オランダ)
DOMUS(ベルギー)
EVERARDS(イギリス)
GORDON(イギリス)
GREENE KING (イギリス)
Frolsch(オランダ)
GULPENER(オランダ)
HALE’S(アメリカ)
HARVEYS(イギリス)
Herrenhauler(ドイツ)
Hoegaarden(ベルギー)
HOPBACK(イギリス)
HUYGHE(ベルギー)
JOPEN(オランダ)
KALTENBERG (ドイツ)
J.W.LEES(イギリス)
Maisel’s Weisse(ドイツ)
MALT SHOVEL James Squire(オーストラリア)
MATILDA BAY(オーストラリア)
MITCHELL’S(南アフリカ)
モクモク(日本)
OASIS(アメリカ)
THE PINK ELEPHANT(ニュージーランド)
Pyramid(アメリカ)
RED HOOK(アメリカ)
SAISON(ベルギー)
SAKU (エストニア)
サッポロ(日本)
SCHEIDMANTEL(ドイツ)
SCHLOSS EGGENBERG(オーストリア)
SCHNEIDER(ドイツ)
SCHWABEN BRAU(ドイツ)
SOUTHAMPTON PUBLICK HOUSE(アメリカ)
SPATEN MUNCHNE (ドイツ)
STEINER(ドイツ)
SUNNER(ドイツ)
TABERNASH(アメリカ)
TOMINTOUL(イギリス)
TRAQUAIR (イギリス)
Uerigers(ドイツ)
USHERS(イギリス)
VICTORY(アメリカ)
WADWORTH(イギリス)
Weltenburger Kloster (ドイツ)
WESMALLE (ベルギー)
WESTVLETERN(ベルギー)
アジアの掲載ブランド
アジアの4カ国は日本、中国、タイ、スリランカです。
日本の掲載ブランドは、「アサヒスタウト」「エチゴトリプル」「モクモクビスケットバイツェン」「モクモクスモークエール」「オホーツクマイルドスタウト」「小樽ビール・ヘレス」。
エチゴトリプルはエチゴビールのブランドだったようですが、ラインナップに見つかりません。
モクモクもいくつかのビールを作っていますが、本書に掲載されている2つの味は現在は販売されていないようです。
中国は青島ビール、タイはシンハ、スリランカはライオンスタウトが取り上げられています。
ライオンスタウトについて
500のビールの中に、南アジアから唯一選ばれているのがライオンスタウトです。
以下に一部を抜粋して紹介します。
芳醇なストロング・スタウトはいくつかの国で造られているが、その中で最も美味しいのはスリランカのセイロン醸造所が造るこのビールなのかもしれない。
スリランカ関係者としては嬉しい書き出しの文章です。次に以下のように続きます。
ライオン・スタウトは長年にわたり樽内熟成を用いる手法で生産されたが、フィルター濾過されないものの、低温殺菌処理が行われるようになった。最近に起きたもう一つの変化は、上記の通りにアルコール度が引き上げられたこともである。
さすがビール作家と思わせる一文で、製造方法やアルコール度数の変化もおさえています。
続いて、ライオンスタウトの味の説明です。
プルーンとモカ・コーヒーのような香りと味が強く、最後にビターチョコレート風味の強烈なフィニッシュへの展開を見せる。
その後、こんな一文が続きます。
スリランカでは、ココナツから造られた地元の酒であるアラックで味付けされることもある。
これはスリランカに戻ったら、確認をしてみたいと思います。
最後にスリランカでスタウトが占める売上比率や醸造所について書かれています。
これは現在は状況が変わっていそうですので、ライオンブルワリーを始め、現地で醸造会社に取材をしてみたいと思います。
地元では、ラガーよりも、スタウトの方が人気があり、なんと売上の75%を占めている。(中略)全国に醸造元が3つしかないが、スリランカは、すべての醸造所がスタウトを生産している唯一の国かもしれない。
参考)
アサヒビール公式サイト:アサヒスタウト
エチゴビール公式サイト
モクモク直販:ビール
オホーツクビール公式サイト
小樽ビール公式サイト
サッポロ黒ラベル公式サイト
サッポロビール:YEBISUk公式ページ
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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