紅茶王リプトンの絶景ビューポイントと茶園・茶工場
スリランカの朝日のベストビューポイントは、世界遺産のホートンプレインズ国立公園、もしくは、リプトンズシートだと言われています。
朝日は天候によりますが、変わらずにそこにあるのは茶畑の絶景です。
本記事では、紅茶王トーマス・リプトンのゆかりの地、リプトンズ・シートとダンバテン茶工場について紹介します。
※本記事で掲載している写真は2017年3月、2019年7月の訪問時のものです。
目次
リプトンズ・シートとは?
リプトンズ・シート(Lipton’s Seat)は、世界的な紅茶ブランド「リプトン」を創始したトーマス・リプトンが荒廃したコーヒー農園を買い取り、茶農園に転換した山々を見渡す高台にある展望台です。
Seatとは固定した座席のことを言い、高台にはリプトンの等身大の像が座る石の固定された椅子(シート)があります。
日本語で言うと「リプトンの展望台」でしょう。
世界三大銘茶の一つ「ウバ茶」を生産地であるウバ州(シンハラ語ではウーワ州)にあります。
リプトンズ・シートへの途中には茶工場、茶園、リプトンが住んだバンガローなどが今も残れています。
起点はハプタレー、バンダラウェラ、エッラ
リプトンズ・シートへはハプタレーやバンダラウェラ、エッラなどから向かいます。
ハプタレー駅から15キロ、車で1時間弱、
バンダラウェラ駅から16.5キロ、車で1時間強
エッラ駅からは25キロ、車で1時間20分です。
この地域の中心的な町はバンダラウェラで、バンダラウェラにはバンダラウェラホテルなど数軒のホテルと、ゲストハウスが何軒かあります。
エッラは小さな町でしたが、2010年代からメジャーな観光地となり、多くのホテルやレストランが開業したため、この地域では最もホテルやレストランが充実しているのはエッラです。格安・中級・高級クラスのホテルがあります。
ハプタレーは小さな町で、町の周辺はゲストハウスが中心です。離れたところには中級ホテルや農園主のバンガローを改装した高級ブティックホテルなどもあります。
この3つの町の中で、観光の拠点として最も充実しているのはエッラですので、エッラに数日滞在して、滞在中のオプション旅行としてリプトンズ・シートに訪れる人が多いかと思います。
スリランカの良いところの一つが、格安のゲストハウスでも清潔で、家主がフレンドリーで、食事は手作りしてくれるところが多いことだと私は思っていて、ハプタレー、バンダラウェラ、エッラでそれぞれ泊まりましたが、どこでも楽しめると思います。
最も近いハプタレーは絶景のスカイラインが走る街で、絶景景色が楽しめる激安カフェが点在しているので、バイクレンタルがお勧めです。
ハプタレーであれば、トゥクトゥク、バイク、バスと交通手段が選べて、道中にリプトンが建設したダンバンテ茶工場やバンガローがあります。
アクセス方法
トゥクトゥクのチャーター、バイクレンタル
霧が出る前に朝早めに行くことが推奨されていて、特に朝日が素晴らしいとされていますので、朝日を見るには車やトゥクトゥクをチャーターして行く、あるいはバイクや車をレンタルしていくことになります。
断崖絶壁の景色を楽しむホートンプレインズ国立公園も、霧が出る前の早朝が推奨され、朝日が素晴らしいと言われているのと一緒ですね。
トゥクトゥクでハプタレー〜リプトンズ・シートの往復は2,000~3,000ルピーぐらいです。
バイクレンタルは1日3,000〜4,000ルピーほどです。
ハプタレーの町では、バイクをレンタルしないか?と話しかけてくる人がいます。
ハプタレーはスカイライン、修道院、滝など見るべきところが離れていて、良いレストランやカフェもスカイラインの道に点在しているため、トゥクトゥクで回るよりもレンタルバイクは遥かに安いです。
ただ、慣れていない国での運転は危ないですし、免許も必要です(確認されることはあまりありませんが)。
また、私は2回目の訪問時に夜明け前に茶園を運転していて、道を間違えて、山の中に迷い込んでしまいました。
地元の人に運転してもらう方が安心だと思います。
バス
ハプタレーからダンバンテ茶工場に向かい、その後、リプトンズ・シートにバスは走ります。
リプトンズ・シートの入口でバスを降りて、入口で入場料を払って、茶園の中を登っていく1.5キロの山道行くと頂上につきます。
どれぐらいの頻度でバスが出ているか分かりませんが、そんなに多くはないはずです。
ハプタレーからリプトンシーツへ
ハプタレーからトゥクトゥクで向かった時の様子を紹介します。
ハプタレーの町からは、Haputale-Dambetenne Roadを走ります。
道を少し行って振り返ると、ハプタレーの町が見えます。
建物よりも緑の方が多く、小さな町であることが分かるかと思います。
もうしばらく行くと、町が小さくなってきます。
山がずっと続いています。
目線を下に落とすと、茶畑が見えます。
目指すリプトンズ・シートは以下の写真の先の方にあります。
途中から急な山道に変わります。
茶畑の中におじちゃんが!
ダンバテン茶園
グリーンフィールドティーという日本でも販売されているオーガニックティーを製造する茶工場、リプトンが建設したダンバテン茶工場を過ぎると、ダンバテン茶園に到着します。
朝日を見にきた場合、早朝ですので、茶園には人がいません。
8時や9時頃に来ると、茶園で働いている人たちの姿が見られます。
茶摘みは女性が行っています。
男性たちは別の仕事があるようです。
夜明け前に訪れた茶園は、空が段々と青白くなってくる景色が素敵でした。
茶園がずっと続いているのが分かります。
リプトンズ・シートへ
ダンバテン茶園をしばらく行くと、リプトンズ・シートのゲートがあります。
入場料300ルピー、車両代50ルピーを払って、最後の坂道を登っていきます。
下の写真の手前の青い屋根は頂上にある小さなお店で、紅茶と軽食(ロティ、サモサなど)、スイーツなどを販売しています。
観光地価格ではなく、スリランカローカルプライスですので激安です。
簡易のトイレもあります。
男性用トイレは、まあ、なんとか大丈夫という程度で、女性用トイレは分かりませんが、綺麗なトイレは期待しないでください。
2019年に訪れた時のリプトン像はだいぶ痛んでいました。
本記事の冒頭の写真は2017年3月に撮影したもので、上の写真は2019年7月ですので、2年半弱でだいぶ痛んでいます。
2019年7月はバイクを借りていたので、夜明け前にバイクで出発しましたが、ダンバテン工場のところで、間違えて曲がってしまい、「こんな道だったっけ?」と思いながら、ガタガタ道を進み、これは違う!と思ったものの、そのまま行ったら、どっかに出ないものか?としばらく進みましたが、大変なことになりまして、引き返しました。
そんな寄り道をしたため、すでに夜が明けてしまいました。
以下がその時の頂上での写真です。曇りが出ているので、朝日に間に合っても、綺麗には見れなかったかもしれません。
以下、頂上からの景色です。
頂上は少し歩けるようになっています。
茶畑を間近で見ることもできます。
ダンバテン茶工場
2回も訪れているのに、なぜか外観写真がありません。。。すみません。
見学料250ルピーを払うと、工場内を案内してくれます。
紅茶の試飲をさせてくれる工場もありますが、ダンバテン茶工場では試飲はありません。
上の写真のボードには、1890年にトーマス・リプトンによって建設されたと書かれています。
リプトンは1890年にスリランカを訪れて、コーヒー農園跡地を購入し、茶園に転換して、茶工場を建設します。
建設した工場がこのダンバテン工場です。
リプトンは1892年までスリランカにいたそうです。
その間、セイロンティーの父と言われるジェームス・テイラーにも会ったそうです。
リプトンはコロンボに会社のオフィスを設置していますが、場所はコロンボ7のOdelの付近です。
現在はデ・ソイサ・サーカスと呼ばれているラウンドアバウトは、かつてはリントンズ・サーカスと呼ばれていました。
神保町にあるセイロンティー専門店「青山ティーファクトリー」の店主・清水さん、馬車道にあるカフェ「錫蘭紅茶本舗シンハ」の店主・石井さん、それぞれからダンバテンのリプトンが住んだバンガローは素晴らしいから見せてもらうといいですよ!と教えてもらったのですが、見学するのを忘れてしまいました。
現在もマネージャーバンガローとして使われていて、一般の見学は受け付けていないと思いますが、日本の紅茶専門専門店の店主さんが例年企画されているスリランカへの紅茶ツアーでは見学されていることもあるので、興味のある方は紅茶専門店のツアーにご参加されるといいでしょう。
私の場合は、雑誌やウェブサイトに掲載したい旨、ご相談すると見学させてもらえることが多いので、また改めて訪れたいと思います。
私と一緒に茶園エリアに訪れたいという方がいらっしゃれば企画したいと思いますので、リクエストしてください!笑
2017年にゼネラルマネージャーさんにお話を伺った際は、リプトンがこの場所を選んだのは、「この土地の気候が茶栽培に適した素晴らしい気候だからです。」とおっしゃっていました。
茶園内の村
茶園内に暮らす労働者のためのヒンドゥー寺院や教会、学校などがあり、子どもたちが歩いている様子も見かけます。
道は以下のように舗装されているところもあれば、
未舗装の道もあります。
2017年の訪問時は前日に話しかけてきたトゥクトゥクドライバーさんに朝、迎えに来てもらいましたが、2019年の時は前日にバイクをレンタルしたため、リプトンズ・シート訪問後は茶園の中をグルグルと走ってみました。
茶園の労働者の多くはインドのタミル・ナードゥ州から渡ってきたタミル人の末裔で、その多くがヒンドゥー教徒です。
一方で、渡ってきた人たちはカーストの低いたちのため、キリスト教に改宗した人たちも一定数います。
そのため、茶園の中には教会も見かけます。
上の写真の教会は、ダンバテン茶園ではなく、近くのグリーンフィールドティーの茶工場の入口付近にある教会です。
まとめ
リプトンズ・シートの朝日をまだ見ていませんので、「頂上からの朝日が素晴らしい!」とまだ言えないのですが、私は今のところ、茶畑が間近に見られるダンバテン茶園の景色が素晴らしいと思っています。
バイクを借りて夜明け前の茶園を走っていた時に、ハリネズミが目の前を横切っていきましたが、大自然を感じられる環境でもあります。
是非行かれてみてください。
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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