LTTE戦没者追悼式「マーヴィーラル・ナール(英雄たちの日)」
毎年11月27日は、一部のタミル人によって祝われているマーヴィーラル・ナール(英雄たちの日)です。
2021年もスリランカ国内や海外タミル人のコミュニティーがあるイギリスやニュージーランドなどで式典、イベントが行われ、ロンドンではYoutubeでイベントの様子が中継されています。
本記事では、マーヴィーラルナールについて紹介します。
マーヴィーラル・ナールとは?
マーヴィーラルナールは、スリランカ内戦で亡くなったタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の兵士たちを追悼する日です。
マーヴィーラル(タミル語:மாவீரர்、英語表記:Maaveerar)は「偉大な英雄たち」、ナール(タミル語: நாள்、英語表記:Naal)は「日」を意味します。
グロリオサの花がシンボルになっています。
1989年11月27日、LTTEリーダーのプラバカランが、LTTE幹部の最初の殉職者は、1982年11月27日の18:05に亡くなったシャンカール(別名:スレッシュ)だとし、ムッライティーブ県マナル・アルのニチカイクラムにLTTEの幹部約600人を集めて始めました。
11月27日の18:05から、プラバカランによる年次方針声明として30〜40分の演説が行われました。
LTTE は 偉大な英雄たちが眠る場所(Maaveerar Thuyilum Illangal)と名付けた墓地を各地に作り、パビリオンを建設していきます。
1991年、LTTEは11月21日から27日までの1週間を「偉大な英雄たちの週」として制定しています。
年々記念行事はより手の込んだものになり、会議、宗教的な儀式、行列、展示会などが行われ、亡くなった幹部や兵士の切り抜きやポスター、チラシなどが配布・掲示されていきます。
ハイライトは演説と点灯式が行われる最終日の11月27日の夜。
夕方6時過ぎからのプラバカランによる年次方針声明は、LTTEの支配地域や海外のLTTE系列のラジオやテレビで放送されました。
LTTEの幹部がリレー形式で松明を運び、記念碑に「犠牲の炎(Eegai Chudar)」を灯します。
犠牲の炎からトーチ、オイルランプ、ロウソクに点火されて、参列した人々によって光の回廊が作られます。
マーヴィーラルナールがタミル人の間に浸透していく中で、リーダーのプラバカランの誕生日が11月26日であることから、殉職者たちの追悼式ではなく、プラバカランの誕生日を祝う日だという誤解が広がります。
プラバカランは、自分の誕生日に関連した行事を取り締まり、「偉大な英雄たちの週」は、亡くなった英傑たちのための週であり、11月27日が大切な日であることを改めて強調しています。
マーヴィーラル・ナールのその後と現在
1995年、スリランカ政府軍はジャフナ半島を奪還した後、LTTEが作った各地の墓地を破壊します。
2002年、ノルウェー政府が仲介した和平プロセスでスリランカ内戦が停戦すると、LTTEは戦没者墓地を再建します。
2004年、タミル民族同盟(TNA)の議員は、マーヴィーラル・ナールを記念して国会前でオイルランプを灯すことが許されます。
2006年、スリランカ政府軍がLTTEキャンプ地を空爆によって戦闘が再開され、スリランカ政府はマーヴィーラル・ナールを禁止します。
2009年5月、スリランカ政府軍が内戦終結と勝利を宣言し、マーヴィーラル・ナールを禁止します。
2012年11月27日、ジャフナ大学の学生たちがオイルランプを灯してマーヴィーラル・ナールの式典を実施。
スリランカ政府の治安部隊がランプを壊し、学生たちを包囲しました。
2012年11月28日、ジャフナ大生たちは抗議デモを実施。
政府の治安部隊が学生たちを攻撃し、少なくとも20人の学生が負傷し、4人が逮捕されています。
2016年、シリセーナ政権のマーヴィーラル・ナールを許可します。
大臣のマノ・ガネサン(Mano Ganesan)が、JVP(Janatha Vimukthi Peramuna)の追悼式「il Maha Viru Samaruwa」が禁止されずに行われていることを挙げて、マーヴィーラル・ナールは、亡くなった人を追悼することは遺族の人権であると主張しています。
2020年、国防長官のカマル・グナラツネは、対立を扇動するような言説を避け、平和的に行う限りは祝賀行事は許可されると発表。
2021年11月27日、各地でマーヴィーラルナールは執り行われたようです。
参照)
NEW FRAME:Sri Lanka, where Tamils fear to tread
DBSJEYARAJ.COM:The Enduring Mystique of “Maaveerar Naal”: What Makes the “Great Heroes Day” Tick?
TAMIL GURDIAN:British Tamil youth commemorate Maaveerar Naal
TAMIL GURDIAN:Tributes paid at the home of Lt. Shankar on Maaveerar Naal
Wikipedia:Maaveerar Naal
Wikipedia:Weli Oya
Wikipedia:1984 Manal Aru massacres
Wikipedia:Glorisa superba
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SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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