教育里親制度・日本語学校・幼稚園などを運営する「スリランカ日本教育文化センター」
私はスリランカ日本教育文化センター(SNECC)の教育里親制度を支援するHappy Factoryを通じて、一人の子どもの教育費を5年間サポートしています。
SNECCは初めてスリランカを訪れた2016年に見学させていただきましたが、里親になったのはコロナ禍の2020年でしたので、里親になって初めての訪問です。
本記事では、SNECCについて紹介します。
SNECCとは?- その発展の歴史
スリランカの首都コッテの湖の東側を走る道「Sri Lanka Nippon Avenue」にあるスリランカ日本教育文化センター(SNECC:Sri Lanka Nippon Educational & Cultural Centre)は、1986年に設立されています。

事務局長「チャンダシリ僧侶」
現在地にSNECCがあるのは、1978年にミーガハテンナ(Meegahathenna)出身のチャンダシリ僧侶がコロンボ大学教育学部に入学することになったことがきっかけです。
チャンダシリ僧侶はミーガハテンナで12歳の時に出家。コロンボ大学に進学するにあたり、チャンダシリ僧侶を仏門に招いたサラナンカラ僧侶らが、SNECCの現在地にあったマッドハウス(土で作られた家)と土地を28,000ルピーで購入して、チャンダシリ僧侶にマヒンダラーマヤ寺院として与えたそうです。
チャンダシリ僧侶はコロンボ大学を卒業して、1982年にモナラーガラの高校教員として働き始めます。
1984年に修士号取得のためコッテに戻り、コロンボの高校で教員をしながら修士号を取得。
コロンボの高校には9年間勤め、後半の4年間は副校長を務められたそうです。
校長先生も経験後に、SNECCに専念するようになります。

2011年にチャンダシリ僧侶はスリジャヤワルダナプラコッテの最高責任僧侶に就任し、以後、歴代のスリランカ大統領(マヒンダ・ラージャパクシャ、マイトリパーラ・シリセーナ、ゴーターバヤ・ラージャパクシャ)が挨拶に訪問されています。

チャンダシリ僧侶
参考)
Happy Factory:2021年11月活動報告
スマンガラ僧侶と日本スリランカ文化協会
文部省奨学金で大谷大学に留学していたチャンダシリ僧侶の先輩であるスマンガラ僧侶が、日本スリランカ文化協会、大阪のお坊さんの協力を得て、1986年にSNECCを設立します。
一般社団法人日本スリランカ文化協会は、以下のような錚々たる顔ぶれが会長・理事・監事に名を連ねています。
名誉会長:福田康夫(元内閣総理大臣)
会長・代表理事:佐々木幹夫(三菱商事株式会社 元会長)
理事:小倉忠(株式会社ノリタケカンパニーリミテド 代表取締役会長)
理事:小林章一(株式会社アルビオン 代表取締役社長)
理事:中部隆(尾道造船株式会社 代表取締役社長)
理事:平野啓司(大成建設株式会社 専務執行役員国際支店長)
理事:菅沼健一(元在スリランカ日本国大使)
監事:福田善夫(東洋建設株式会社 取締役 / 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ 取締役)
監事:今田公久(元株式会社ジェーシービー 常務執行役員)
日本が本部の日本スリランカ文化協会に対して位、
スリランカが本部であることから「スリランカ日本教育文化センター」と、スリランカを前に持ってきて命名されたそうです。
その後、1988年、チャンダシリ僧侶は初めて来日し、1989年には京都の佛教大学で日本語を学び機会に恵まれたそうです。
教育里親制度の草分けC.P.I. JAPANとの協働
日本で教育里親制度をいち早く始め、スリランカとインドネシアで長く教育里親制度を続けるC.P.I. Japanと組んだことで、教育里親制度が急拡大したそうです。
数人から始まった教育里親制度が、C.P.I. Japanによって、2000人まで日本で教育里親を獲得でき、それによって教育里親制度を運営する地区センターをスリランカ全土に展開します。
最盛期はスリランカ全土に地区センターが118ヶ所あったそうですが、今年は96ヶ所だそうです。子供たちをしっかりと管理してない場合はセンターとして解約となって閉鎖になったり、地区センターの運営を引き継ぐ人が見つからずに閉鎖になることもあるとのことです。

外務省による支援でSNECC本部とC.P.I.スリランカ事務所が完成
1993年、日本の外務省の支援で現在のセンター本館(SNECC本部、C.P.I.スリランカ事務所、日本語学校教室・パソコン教室)が完成。
この年、1993年にチャンダシリ僧侶は休職していた高校教員をやめて、SNECCの運営に専念されるようになります。

SNECCを設立したスマンガラ僧侶は現在、アメリカで活動されているそうです。

日本語学校教室

パソコン教室
Sri Lanka Nippon Avenueの整備

本館の完成後、SNECCまでの道の整備を外務省の支援及びコッテ市の協力によって、国道0号線(A0)からSNECCまでの道「Sri Lanka Nippon Avenue」が整備されています。
参考)
Happy Factory:2020年11月活動報告
保育園「Nippon Preschool」が完成

1998年に、日本スリランカ文化協会、郵政省国際ボランティア貯金寄付金によって、センター本館の隣に保育園が建てられています。

幼稚園の教室。

幼稚園は現在、スリランカ全土に24つ運営されているそうです。
釣鐘が落成
2002年に、日本とスリランカの国交50周年を記念して、薄井ランカ教育基金の創立者である薄井一美氏によって落成された釣鐘。
八幡綾子メディカルセンターが完成
2004年12月26日のスマトラ沖地震の被害を受けて、教育里親をされていた八幡誠さんが、母親(八幡綾子さん)の遺産等でスリランカに「八幡綾子基金」を設けて、SNECC内に「八幡綾子メディカルセンター」を設立しています。運営は基金の利子で賄っているため、診察・投薬も全て無料だそうです。

ゲストハウスが完成

教育里親がスリランカを訪れた際の滞在場所として、八幡綾子医療センターの隣に、3階建て3ベットルームのゲストハウスが完成。
1階はエントランスになっていて、右手のドアで、八幡綾子医療センターと繋がっています。

1階の右手奥に洗濯機があり、洗濯物を干すこともできます。

洗濯機の奥の屋外には、なんとお風呂があります。
屋外なので、露天風呂です!火を起こしてお風呂を炊くのは楽しそうです。

1階の左手にはツインベットルームがあります。

2階にはツインベットルーム、キッチン、リビングスペースがあり、wifiも完備しているとのこと。
階段を上がると、1階と同じ場所にツインベットルームがあります。

ベットルームにはクーラーがあり、備え付けのバスルームはお湯が出るそうです。

こちらの部屋にはベランダもあります。
湖に面しているので、緑の景色が楽しめます。

リビングスペースには、ソファーとテレビがあります。

リビングにはwifiがあるので、バッチリ作業できます!

その奥にはキッチンがあります。

ダイニングテーブルもあるので、テイクアウトして持ち帰って食べることもできます。

3階にはツインベットルームと、ファミリーベットルーム(4つのシングルベット)があります。


ファミリーベットルームは広いです。

ホットシャワー用のタンクも大きめです。

屋上からは湖と周辺の緑を見渡せます。

屋上に座るスペースもあります。

ゲストハウスの入口の前は池があります。

SNECCの周囲は公園があり、コッテ王国の都が置かれた場所もすぐ近くで、現在の国会議事堂もすぐ近くです。
自然と歴史と文化を感じられる場所だと思います。
ゲストハウスの宿泊料は以下の通り。
1泊3食込み3,000円(1,110円)
1泊素泊まり2,000ルピー(740円)
学生の場合1泊3食込み2,000ルピー(740円)
宿泊をご希望の方は、お問い合わせください。
京都の鞍馬寺の支援で平和祈念堂が完成

SNECC開設20周年を記念して、京都の鞍馬寺の支援で池に浮かぶ平和祈念堂(Mahindarama Seema Malakaya)が完成。

平和祈念堂の本尊
日曜学校教室・日本語図書室・演劇ホールが完成

2019年に鞍馬寺(鞍馬基金)、USUI BRUSH(薄井ランカ教育基金)、片岡グループ基金、細部基金の支援によって、日曜学校教室・日本語図書室・演劇ホールが完成しています。




センター内を見学
日曜学校の様子

今回は日曜日に訪れましたので、子どもたちがたくさんいました。
日曜学校は8:00〜12:15に開校されています。
経済危機前は1,300人の生徒が日曜学校に通っていたそうですが、経済危機でバス代が倍以上になり、通学が困難になってしまった生徒がいて、今は800人が通っているとのこと。
ランチをいただく

歴代の大統領がセンターを訪れた際の写真が飾られています。
チャンダシリ僧侶はスリジャヤワルダナプラコッテの最高責任僧侶であり、大統領が訪問されています。
この部屋でランチをいただきました。

お腹いっぱいになり過ぎてしまいました 。
僕はアポなしで急にお邪魔しましたが、日本人が来ることがわかっていれば、辛くないカレーも作ってくれるそうです。

大きなワンちゃんがいて、名前は「太郎」だそうです。日本的です!笑
日本語学校の様子
日本語学校は12:30~14:00で開校されています。

ホワイトボードが4つ並び、その前に机が並んでいます。
1つのホワイトボードに先生と生徒が集まり、それが一つの教室となっています。

上の写真のお二人は、子供の時に日本語学校に通い、現在は日本語を教える先生としてSNECCに関わっているそうです。
日本語の先生は現在7人いるそうです。
ダンス教室
毎週土曜日にはダンス教室が開校されているそうです。
SNECCでは例年、日本を訪れてスリランカの伝統舞踊を披露しています。
SNECCの「文化」の部分を担う一つが伝統舞踊なのでしょう。
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SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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