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沖縄県立図書館でスリランカ子ども絵画展が開催中!

2022年7月23日

2022年7月13日(水)〜8月8日(月)で、沖縄県立図書館3階で「スリランカ子ども絵画展」が開催されています。

本絵画展は、NPO法人日本スリランカ次世代育成サポートが主催し、本NPOを設立した沖縄大学名誉教授のディリープ・チャンドララール先生がスリランカに設立した「Kibou International College」の開校1周年を記念した取り組みです。

本記事では、スリランカ子ども絵画展、Kibou International Collegeについて紹介します。

会場の沖縄県立図書館

沖縄県立図書館は、2018年9月に完成したカフーナ旭橋A街区の3階〜6階にあります。
カフーナ旭橋は、ゆいレール旭橋駅の隣接した再開発地で、A街区からE街区まであります。

図書館が入っているカフーナ旭橋A街区の1階には沖縄本島の交通のハブである那覇バスターミナルがあり、2階は歩行者デッキでゆいレール旭橋駅と繋がっています。

カフーナ旭橋A街区3階の図書館入口を入った正面にある展示コーナーにて、スリランカの子どもたちの絵画が展示されています。

展示コーナーの先に総合カウンターがあり、4階に一般図書エリア、5階に郷土資料室、6階が書庫になっています。

訪れた7月15日では、3階入口手前のエントランスホールに第7回美ら海図画コンクール入賞作品が展示されいて、日本の子どもたちの絵と、スリランカの子どもたちの絵を見比べることができました。

参考)
カフーナ旭橋
沖縄県:カフーナ旭橋A街区オープン
沖縄県立図書館公式サイト
ウィキペディア:沖縄県立図書館

開校1周年記念の絵画展

本絵画展は、チャンドララール先生が2021年1月にポルガハウェラに開校したKibou International College & Vocational Training Instituteの開校1周年記念としてスリランカで行った絵画展を、NPO法人日本スリランカ次世代育成サポートが沖縄県立図書館に依頼して開催されることになったそうです。

Kibou International Collegeに通う子どもたちだけではなく、ポルガハウェラに住む子どもたちからも絵を募集されたそうです。

以下のテーマで絵を募集したそうです。
・お母さんを手伝う様子
・介護をする様子
・私と友達
・おばあちゃんと私
・私の思い描く環境
・私の夢

「私の夢」にはあまり絵が集まらなかった一方で、作品が多く集まったのは「お母さんを手伝う様子」だったそうです。

以下の2つの絵は、スリランカでの審査員が選んだ優秀作品。

右の絵は「お母さんの後ろ姿を描いていること」がポイントだったそうです。多くの子どもたちは、人を正面から描いていますが、後ろ姿を描いているのは、この絵の特徴です。

左の絵は「主題であるお母さんを真ん中に大きく描いていること」が評価されたとのことです。

参考)
Kibou International College & Vocational Training Institute

スリランカの子どもたちの絵の特徴

チャンドララール先生と、沖縄在住のチャーナカ・ガマゲさんがスリランカの子どもたちの絵について解説してくださいました。

「手を長く描くのは、スリランカではよくあることです。私も子どもの時に、手を長く描いていました。」とチャーナカさん。

チャーナカさんから、上の絵も手が長く描かれていること、太陽は長い線と短い線を交互に描くこと、真ん中の木に描かれている実もスリランカでよく見る実を描くときの形だそうです。

鳥を黒い線で描くのもスリランカでよくある描き方だそうです。

改めて絵を見ると、鳥、太陽の描き方は共通しています。

ガマゲさんのパートナーである堀さんが「紫やピンクのマットがスリランカらしい!」と一言。

スリランカを知る人たちと一緒に絵を見ることができて、その特徴を知ることができました。

スリランカ子ども絵画展に合わせて、展示コーナーにはスリランカ関連書籍などが並べられていますので、この機会にスリランカの本を読むのもいいでしょう。

7月30日(土)15:00-16:30にトークセッション開催

7月30日(土)15:00-16:30に沖縄県立図書館4階の交流ルームにてトークセッションが開催されます。トークセッションでは、チャンドララール先生と、沖縄大学子ども文化学科の須藤義人先生がお話されます。

受験中心・知識偏重のスリランカの教育

チャンドララール先生が学校を設立したのは、「スリランカの教育は受験中心・知識偏重であり、問題解決能力や協働する力を育む日本式の教育を行う必要がある」という問題意識からだと言います。

チャンドララール先生は、「知行合一という言葉が日本にはありますが、スリランカでは知識ばかりが重視されて、行動できない人が多いように思います。」とも言いいます。

スリランカでは、起業家精神を育てることに反対し、「大学は学問するところだ!」と主張する人も多いそうです。

Kibou International では、稲作を行ったり、花や植物を植えるプログラムなど課外活動も行なっています。スリランカでは課外活動は珍しく「課外活動は成績向上につながらない、教育の低下につながる」と考える親も多いそうです。

自然との触れ合いや異世代との交流、体験を通した学びの価値を理解してもらい、将来的には陶芸教室・伝統芸能教室・演劇教室なども行いたいそうです。

また、生徒の自発性を生み出す授業運営ができる教員を採用して育成することにも課題が多いとのこと。

チャンドララール先生は大学で「言語コミュニケーション」を長年教えられています。そこで、スリランカ人と日本人がコミュニケーションする上で、気を付けるコツについてお伺いすると、以下のようにご説明いただきました。

「スリランカ人はセルフリスペクトを大事にしていて、自分をより良くアピールしようとします。一方で、日本では謙虚さが求められます。スリランカ人は聴くことよりも話すことを重視しますが、日本では人の話をよく聴いて共感することに重きが置かれているように思います。そのため、日本人が謙虚に答えたことに対して、スリランカ人はこの人は能力がないと判断してしまうことがあります。また、スリランカ人が誇張して話したことを、日本人がそのまま受け取り誤解が生まれてしまうこともあります。」

日本語には「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがありますが、これとは逆の意味の言葉がスリランカにあるか先生にお伺いしたところ、「赤ちゃんが泣かなければ、お母さんから母乳は出ない」という言葉があると教えていただきました。

ディリープ・チャンドララール先生プロフィール

最後にチャンドララール先生のプロフィールを紹介します。

◆現職
沖縄大学名誉教授
NPO法人日本スリランカ次世代育成サポート理事長
Kibou International College & Vocational Training Institute設立者
沖縄スリランカ友好協会会長

◆略歴
1952年7月5日生まれ。
1976年にケラニヤ大学人文学部言語文化学科を卒業し、ケラニヤ大学人文学部の講師になる。
1983年に国費留学生として日本に留学
1992年に神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、神戸大学大学院文化学研究科の助手になる。
1993年4月〜1998年3月で大阪府豊中市国際交流協会「豊中国際交流センター」評議員
1998年に沖縄大学短期大学部の助教授に就任。
2002年に沖縄大学人文学部の教授に就任。
2003年〜2005年で沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科の学科長
2005年4月〜2011年3月で沖縄県那覇市「サウンド・レインボー・アジアの人々とともに」実行委員会副会長
2007年〜2009年で沖縄大学の学生部長
2009年〜2010年で内閣府主催「アジア青年の家」プログラムコーディネーター・講師
2010年5月に書籍『王への道 エレファントロックの伝説』を出版
2010年7月に沖縄スリランカ友好協会を設立して会長に就任
2011年〜2016年で文部科学省委託事業「アジアの架け橋沖縄スリランカプロジェクト」〜「命と平和」を未来へ〜 実行委員長
2013年〜2017年で沖縄大学副学長 兼 図書館長
2018年から沖縄大学名誉教授
2020年1月に特定非営利活動法人日本スリランカ次世代育成サポートを設立し、理事長に就任。
2021年1月、ポルガハウェラにKibou International College & Vocational Training Instituteを設立。

参考)
沖縄大学:ディリープ・チャンドララール名誉教授
特定非営利活動法人日本スリランカ次世代育成サポート
沖縄スリランカ友好協会

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