お土産購入時に知っておくと便利な「紅茶のクラスとグレード」
スリランカに旅行に来て、お土産に紅茶を買う方は多いでしょう。
スリランカには7つの産地があり、産地ごとに茶葉の味・香りに特徴があると言われています。
スリランカの紅茶専門店やスーパーマーケット、お土産ショップに行くと、紅茶の産地とともに、クラスやグレードが書かれた多種多様な紅茶が棚に並んでいて、どれを買ったらいいのか迷ってしまうと思います。
そこで、本記事では、紅茶のクラスやグレードについて解説していきます。
紅茶のクラスとは?
紅茶のクラスは茶葉の大きさ(と形状)を分類したものです。
クラスは大きく4段階に分かれています。
茶葉をカットしていない一番大きいのが「ホールリーフ」、最も小さいのが「ダスト」です。
茶葉は細かいほどに味や色が濃く出るため、一般的にミルクティーに向いているのは茶葉が小さいもので、大きい茶葉はストレートで飲むに適していると言われています。
ダスト(dust)には、”ほこり”という意味があるため品質が悪いもののイメージが湧いてしまいますが、”粉・粉末”という意味もあり、その意味の通り、粉末状の細かい茶葉がダストです。
WISDOM英和辞典によれば、dustの原義は「舞い上がる細かい粒」です。
つまり品質の高い茶葉のダストもあれば、そうでないものもあり、クラスはあくまで茶葉の大きさ(と形状)を意味します。
紅茶のグレードとは?
一方、品質を示すものを「グレード」と言います。
グレードは各クラスごとにあります。
茶葉の大きいクラスのホールリーフにも通常品、上等品、特上品があり、
茶葉の小さいクラスのダストにも通常品、上等品があります。
茶葉の名前
茶葉は茶畑から摘み取る際、1番上から5番目までは以下のように名前がついています。
1番上:FOP(フラワリー・オレンジ・ペコ)、またはTip(ティップ)※芯芽のこと
2番目:OP(オレンジ・ペコ)
3番目:P(ペコ)
4番目:PS(ペコ・スーチョン)
5番目:S(スーチョン)
このうち、2番目のOP(オレンジ・ペコ)の大きさを元に、クラスに名前がつけられています。
紅茶の4つのクラス
以下、大きい順にクラスを見ていきます。
ホールリーフ
カットしていない茶葉のクラス。
茶葉の大きさは、7〜30mmほど。
お湯で紅茶を淹れた後に、茶葉は開き、茶畑に生えていた時の形状に戻ります。
オーソドックス製法でのみ作られるクラスで、CTC製法ではこのクラスはありません。
CTC製法はブロークンリーフ以下のクラスが製造可能です。
基本のグレード名は「FOP(Flowery Orange Pekoe)」です。
上等なものには前に修飾語がついて、どんどん名前が長くなります。
上等のFOP:TGFOP(Tippy Golden Orange Pekoe)
特上のFOP:FTGFOP(Fine Tippy Golden Orange Pekoe)
ホールリーフの水色は薄めです。
ブロークンリーフ
2〜3mmの大きさにカットした茶葉のクラス。
茶葉はカットされているため、お茶を淹れた後でも、葉の形には戻りません。
基本のグレード名は「BOP(Broken Orange Pekoe)です。
ホールリーフと同様に、上等なものには前に修飾語が付きます。
上等のBOP:TGBOP(Tippy Golden Broken Orange Pekoe)
特上のBOP:FTGBOP(Fine Tippy Golden Broken Orange Pekoe)
水色はホールリーフよりも濃くなります。
ファニングス
1〜2mmの大きさにカットした茶葉のクラス。
ティーバッグに使われることが多いサイズです。
ファニングス(Fannings)は、扇風機・ファンを意味するFanの動名詞だと思います。
扁平で小さなサイズであることからの名称のようです。
基本のグレード名は「OF(Orange Fannings)」。
芯芽(ティップ、フラワリー・オレンジ・ペコ)を含む割合によって名前が変わります。
芯芽を含まないもの:OF(Orange Fannings)
芯芽を含む上等品:GOF(Golden Orange Fannings)
芯芽を多く含む特上品:BOPF(Broken Orange Pekoe Fannings)
ダスト
1mm以下の粉末状の茶葉のクラス。
こちらもティーバッグに使用されることが多いサイズです。
基本のグレード名は「D(Dust)」。
繊維が含まれる割合で上等かどうかが分かれます。
繊維量が多いローカルマーケット品:D2(Dust 2)
繊維量が通常のスタンダードな品:D(Dust)
繊維量が少ない上等品:D1(Dust 1)
D1のように、他のクラスにも名前の最後に”1″がついている場合は、上等品であることを示しています。
クラス名は業界で明確に決められたものがあるわけではなく、茶園ごとにオリジナルつける名前もあるため、無数にあります。
基本的に上等なものほど、修飾語が増えて名前が長くなる傾向があります。
名前の付け方のルールが分かると、大体どんな紅茶なのかが分かるかと思います。
オーソドックス製法とCTC製法
コロンボなどには紅茶会社直営のショップがありますが、そこに行くと各茶葉のクラスとともに、CTCと書かれているものを見ます。
これはCTC製法のことです。
紅茶の製法は大きく伝統製法である「オーソドックス製法」と、近代製法の「CTC製法」があります。
世界最大の紅茶生産国はインドで、世界最大の紅茶消費国もインドです。
インドで最も紅茶を生産しているのはアッサム地方で、そのアッサム地方で1930年代に開発された製法がCTC製法です。
Cruch(押し潰す)・Tear(引き裂く)・Curl(丸める)という加工から名前が付いています。
CTC専用機械によってCTC製法の茶は作られます。
オーソドックス製法に比べて、製造時間が約半分で、安く・早く・大量の紅茶を作ることができます。
茶葉の加工過程で茶葉の細胞が押しつぶされるため、味と香りの抽出が早く、濃くて強い風味があると言われています。
CTC製法は萎凋後に茶葉をカットしてから、Cruch(押し潰す)・Tear(引き裂く)・Curl(丸める)するプロセスに入るため、ホールリーフの紅茶はCTC製法では作れません。
CTC製法が生まれたアッサムで作られる紅茶の9割がCTC製法です。
世界2位の紅茶生産国で、世界1位の紅茶輸出国であるケニアをはじめ、東アフリカの紅茶生産国(ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、マラウィ)も多くはCTC製法です。
一方で、ダージリン、スリランカ、ネパールはオーソドックス製法の工場の方が多数派です。
参照)
日本紅茶協会:紅茶の等級
紅茶喫茶園:紅茶のグレード
日東紅茶:紅茶のマメ知識
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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