ガンディーやタゴールも訪れたコロンボYMCAビルディング
日本で初めて体育館や屋内プールを作ったのはYMCAだと言われていますが、スリランカ国内初の体育館を作ったのもYMCAであり、スリランカ初の図書館、スリランカ初のビリヤードクラブもYMCAによって作られました。
YMCAスリランカは全土に37の支部があり、現在のYMCAコロンボ支部が置かれている建物が、YMCAセイロンの本部として建てられたコロンボYMCAビルディングです。
スリランカ初の体育館・図書館・ビリヤードクラブが創設された場所であり、オランダ時代の紋章も保存されています。
本記事では、コロンボYMCAビルディングについて紹介します。
コロンボYMCAビルディングとは?
YMCAは、1844年にジョージ・ウィリアムズら教派を異にする12名のキリスト教青年によって、ロンドンで創設された奉仕組織です。
ジョージ・ウィリアムズたちは、田舎からロンドンの生地屋に働きに出て、過酷な条件下で働いている若者を目の当たりにして、犯罪に手を染めないよう、生地屋仲間を中心に青年組織を作ったのが始まりとされています。
ボランティア活動、アウトドア活動、生涯教育、体育教育などの草分け的存在で、バレーボール考案者であるアメリカ人のウィリアム・G・モーガンと、バスケットボール考案者であるカナダ人のジェームズ・ネイスミスはいずれもYMCAの体育教師でした。
コロンボにYMCAが創設されたのは1882年です。
1894年からスレイブアイランドのデ・ソイサ・ビルディング(2021年に解体)に場所を定め、その後にペターのRacquet Court building (現在のスリランカ税関)に移転しています。
セイロン政府はRacquet Courtに穀物倉庫を建設するために、YMCAに兵士ビル、水兵ビルがあったフォートの土地を提供します。それが現在のコロンボYMCAが立っている土地です。
現在のコロンボYMCAビルディングは、アメリカとカナダのYMCA国際委員会から人材を受け入れ、建築費用の支援も受けて建築されたそうです。
ちなみに、スリランカの国技が圧倒的に人気なクリケットではなくてバレーボールなのは、コロンボYMCAの体育教育の理事であった R. W. Camackが1916年にスリランカにバレーボールを紹介したことが影響していると思われます。
1904年9月16日にイギリス領セイロン総督によって設置されたと書かれていますので、建設の開始が1904年なのでしょう。
1982年と記載されたプレートもあります。開館したのは1924年2月22日だそうです。
最初に建てられた際の古い柱がエントランスに残されていますが、現在の建物は1982年に改修されたものが基本になっているのでしょう。
コロンボYMCAの会長には、以下のような錚々たる顔ぶれが着任しています。
ココナッツココナッツ農園と黒鉛の採掘で財を成したヘンリー・ローソン・デ・メル
Kadirgamar and Wilson法律事務所、Colombo Proctor’s Associationの会長、 Law Society of Ceylonを創設したSamuel Kadirgamar I
セイロン人初の副総督を務め、第3代セイロン総督を務めたOliver Ernest Goonetilleke、セイロン全国結核予防協会を創設したJ.H.F. Jayasuriya
歴史家でセイロン貿易長官、地方判事、スリランカ王立アジア協会会長を歴任したPaul Pieris
セイロン商工会議所、バートリート・グループの会長を務め、国営セイロン・ホテルズ・コーポレーションの創立会長を務めMallory Evan Wijesinghe
今も続くスポーツ活動
スリランカ初の体育館やビリヤードクラブがここ、コロンボYMCAビルディングに作られていますが、現在もスポーツ施設として運営されています。
私が訪れたのは日曜日でしたが、平日であれば若者たちがスポーツをしているそうです。
ゲストハウス
ゲストハウスとして現在も運営されています。私は2016年にゲストハウス部分を見学させてもらったことがありますが、今回は他の施設を色々と見せていただいたので、見学を遠慮してしまいました。また訪れた際にアップデートしたいと思います。
オランダ時代の紋章
中庭には、オランダ時代の紋章が保存されています。
レッドトライアングル図書館
スリランカの最古の図書館だそうですが、未訪問です。
レッドトライアングルの名は、YMCAのロゴの形から名付けられています。
YMCAフォーラム
ガンディーやタゴールがスピーチを行ったYMCAフォーラムも伝統のある活動です。
館内には1927年11月15日のマハトマ・ガンディーのスピーチの写真、1934年のラビンドラナート・タゴールのスピーチの写真もあるそです。
また、以下のような大物がYMCAフォーラムでスピーチを学んだそうです。
セイロン第4代首相ソロモン・バンダーラナーヤカ、
スリランカ第2代大統領ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ
全セイロン・タミル会議の創設者G. G. Ponnambalam
広告会社を創業し、国務大臣や北西州知事を歴任したAnandatissa de Alwis
貿易・海運大臣、国家安全保障大臣、国防副大臣、農業・食糧・協同組合大臣、教育大臣を歴任し、民主統一国民戦線を結成したLalith Athulathmudali
参考)
the SUNDAY TIMES:Step into a building with many firsts
Sri Lanka YMCA公式サイト
World YMCA:Sri Lanka
ウィキペディア:キリスト教青年会
Wikipedia:Sri Lanka Volleyball Federation
Ministry of Sports and Youth Affairs
roarmedia:150-year-old De Soysa Building In Slave Island Collapses
Vivekananda Abroad A Postcard Pilgrimage:First lecture at Floral Hall
Daily FT:YMCA: Down memory lane
roarmedia:Seven Little Known Facts of Colombo Fort in the Olden Days
Wikipedia:G. G. Ponnambalam
Wikipedia:Lalith_Athulathmudali
Wikipedia:Samuel Kadirgamar I
Wikipedia:Oliver Goonetilleke
Daily News:Tomorrow is the 23 rd death anniversary of Dr. J. H. F. Jayasuriya : Founder of the CNAPT
Wikipedia:Paul Pieris
Wikipedia:Mallory Evan Wijesinghe
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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