高原にコロニアル建築が点在する小さな観光地「バンダラウェラ」
バンダラウェラはバドゥッラ県内でバドゥッラに次ぐ、第二の都市です。
観光地としてはバドゥッラ県内ではエッラが最も地名が高いですが、エッラに住む人たちが買い物に行く町でもあり、丘陵地隊の主要な町の一つです。
英国領セイロン時代に建てられたバンダラウェラホテル、ジェフリーバワが設計にグットシェパード女子修道院の礼拝堂などがあります。
バンダラウェラの標高は1,000mのエッラよりも高く1,200m。涼しい気候と山の景色が美しいスリランカの人たちが観光で訪れる町です。
エッラからは12kmほどで車で25分ほどにあります。
エッラの観光のついでに、立ち寄るのもいいでしょう。
外国人観光客を積極的に受け入れている街ではありませんので、オシャレなカフェやレストランはあまりなく、ホテルの数も限られています。
本記事では、そんなバンダラウェラを紹介します。
目次
バンダラウェラへの行き方
グーグルマップで地図をバンダラウェラはコロンボとバドゥッラを繋ぐ幹線道路沿いにある町で、北西にあるウェリマダ、ヌワラエリヤ にもつながる道が走っているのが分かります。交通の要衝となっています。
町の中心にはヌワラエリヤ 〜エッラを結ぶ鉄道が走る、バンダラウェラ駅があります。
駅に隣接して、各方面に向かうバスが集まるバスターミナルがあります。
バスは以下のような方面に向かいます。
コロンボ行き:ハプタレー、ラトゥナプラ、アヴィッサウェッラなどを経由 ※路線による
パッサラ行き:エッラを通る
バドゥッラ行き:エッラには行かないので注意
ヌワラエリヤ行き:ウェリマダ、ハッガラなどを経由
ティッサマーラーマ行き:ハプタレー、コスランダ(ディヤルマ滝がある)、ウェッラワヤ(ブドゥルワーガラ遺跡がある)などを経由
バンダラナイケ国際空港やコロンボから最も早いアクセスは車で南部高速道路でマッタラ・ラージャパクサ国際空港の方まで行った後に北上して向かうルートです。
コロンボからバスであればバドゥッラ行きに乗って6時間ほど。
鉄道であれば同じくバドゥッラ行きに乗り、8〜9時間かかります。
鉄道は絶景とされる路線ですので、時間にゆとりがある人は景色を楽しみながら行くのもいいでしょう。
バンダラウェラのホテル
バンダラウェラホテル
イギリス統治時代に建てられたバンダラウェラホテルは町のアイコン的存在です。
ジェフリーバワ建築のホテルを3つ(ヘリタンス・カンダラマ、ヘリタンス・アフンガッラ、ヘリタンス・アーユルヴェーダ)を所有・運営するエイトケン・スペンスが運営をしています。
歴史を感じさせる看板と石作りのスロープを登ると、小さなイングリッシュガーデンが広がっています。
その先に横に長い、2階建のホテルが見えてきます。
内装は木が使われており、飾られている古写真とともに、歴史の長さを感じさせてくれます。
客室は33部屋と限られていて、客室は中には囲うようにレイアウトされており、ブティックホテルのような雰囲気があります。
町を代表するホテルではありますが、1部屋4,000円ほどと、とてもリーズナブルに泊まることができます。
名称:Bandarawela Hotel
公式HP:https://www.aitkenspencehotels.com/bandarawelahotel/
Ovitiyas Bandarawela
レストハウス
スリランカの各地に歴史を持つレストハウスが残されていますが、外国人向け・富裕層向けに近年になって改装されたレストハウスは高級ホテルですが、国内マーケット向けに長年運営されてきたレストハウスは贅沢な滞在はできませんが、立地と立派な建物からすると、コスパよく滞在できます。
バンダラウェラのレストハウスは国内マーケット向けの運営です。
一泊一部屋2,500円弱です。
名称:Rest House Bandarawela
カフェ、レストラン
これといったレストランやカフェはなく、ローカルのお店で済ますような町です。
良いところといえば、バンダラウェラホテル内のレストランぐらいでしょう。
唯一あるのが以下のムレスナ・ティー・センターです。
ムレスナ・ティー・センター
フレーバーティーで知られるムレスナのショップ兼カフェがあります。
ただ、こちらはフードメニューはなく、店内で楽しめるおは紅茶のみです。
他のカフェを併設したムレスナのショップ(キャンディ市内、キリバスクンブラ(Kiribathkumbura)、タラワケレではフードメニューもありますが、こちらは紅茶を買うショップのメインといった店構えです。
歴史ある教会群
ジェフリーバワ設計の礼拝堂があるグットシェパード女子修道院
デイヴィット・ロブソン著『Geoffrey Bawa: The Complete Works』にジェフリーバワ、ウルリクプレスナー、バーバラサンソーニ、イナデシルヴァ、ラキセナナヤケが設計に関わったと紹介されている礼拝堂(ナザレ・チャペル)がある修道院です。
1962年に建てられた礼拝堂で、内部にはDon Roche Ranasingheが建築したと写真が置かれていました。
設計がジェフリーバワたちで、建築を指揮したのがDon Roche Ranasingheが行ったということなのか、現状調べた限りでは分かりません。
教会は町外れの静かな丘に位置しています。
キリスト教徒が祈りに行く教会ではなく、修道女が居住する女子修道院ですので、内部を自由に見られる訳ではありません。
黒レンガの外観は見ることができますが、内部を見たい場合は修道女に許可を得て見学するようにしてください。
礼拝堂の内装は、中庭に面したガラス窓に並ぶ大きな十字架が印象的でした。
名称:Nazareth Chapel of the Good Shepherd Convent
グランドの横に立つ昇天教会
バンダラウェラ公立グランドの道向かいに立つ教会で、シンハラ語で「Gal Palliya」(Galは石、Palliyaは教会という意味)、英語で「Stone Church」とも呼ばれる石造りの綺麗な教会です。
1908年に建設され、 1936年と1938年に拡張され、 塔は1952年に作られたものだそうです。
バドゥッラにある聖マークス教会の教区牧師だったイギリス人のRev. W.J.P. Walthamが政府から土地を購入し、自身のバンガローを1907年に建て、翌年にバンガローの2部屋を教会にしたことから始まっています。
1911年に祭壇や家具などを作り礼拝堂が拡張して礼拝室が作られ、1931年に人々が祈る会衆席が拡張され、1936年に新しい祭壇が作られ、1952年に塔(Waltham Tower)が増築と、拡張が繰り返されています。
正式名称のChurch of Ascensionは昇天教会と言われ、Ascensionはキリストの昇天を意味します。
エルサレム東部のオリーブ山に同名の教会があり、イエス=キリストがこの山から昇天したという場所に建ち、内部の岩に昇天の際に付いたとされる足跡が残っているそうです。
名称:Church of Ascension
住所:Welimada Road, Bandarawela
聖アンソニー教会
商店が並ぶバンダラウェラの賑やかな通りに立つローマ・カトリック教会の聖アンソニー教会。
花崗岩で作られた外観がとても立派です。
名称:St. Anthony’s Church, Bandarawela
モスク、仏教寺院、ヒンドゥー寺院
バンダラウェラモスク
大きなモスク、仏教寺院、ヒンドゥー寺院が町中にあります。
バス通りや駅から黄色の大きなドームが目に止まるモスク「Bandarawela Jummah Masjid」。
バンダラウェラホテルの向かいにあります。
名称:Bandarawela Jummah Masjid
バンダラウェラ仏教寺院
大きな仏教寺院は商店が並ぶバス通り沿いの高台の上にあります。
大きな鳥居があり、鳥居をくぐって階段を登った際に寺院があります。
名称:Bandarawela Temple
バンダラウェラムルガン寺院
バンダラウェラ仏教寺院の裏手の高台にムルガン神を祀る大きなヒンドゥー寺院があります。
改装中でシーツに覆われいたため、写真は町の北側の丘の上にある小さいヒンドゥー寺院「Sri Bathrakaliamman Temple」です。ちょうどプジャー(お祈り)をしているタイミングでした。
時間の女神とされるBhadrakaliを祀っています。Ammanは女神を意味します。
名称:Bandarawela Murugan Kovil
日本軍の空爆を避けて移転した学校群
ウィキペディア英語版のバンダラウェラのページにはコロンボ の名門学校Royal College、St. Thomas’ College、Visakha Vidyalayaは日本軍の空爆を避けて、バンダラウェラに移転をしたと記載があります。
それがきっかけでバンダラウェラには学校がたくさんあるそうです
たしかに町を歩いていると学校を多く見かけます。
日本海軍の空爆を避けて移転したと明確に記載があるのがRoyal Collegeのバンダラウェラ分校のBandarawela Central Collegeです。
名称:Bandarawela Central College
町を見渡す2つのビューポイント
バンダラウェラ・タウン・ビュー
バンダラウェラ駅の南側の丘を登ったところに、小さな展望台があります。
駅から徒歩5分ですので、気軽なハイキング気分で景色を楽しむことができます。
名称:Bandarawela Town View
Porawagala View Point
バンダラウェラのバスターミナルから東に3.5km、車で10分ちょっと山の上にあるビューポイントです。
こちらは訪問していませんが、ウィキペディア英語版のバンダラウェラのページでは観光スポットの一つとして紹介されています。
名称:Porawagala view Point
小さな滝「Ellatota Ella」
Ellaとは滝、totaは港や停泊地を意味する言葉です。
この滝はグーグルマップ 上で見つけた滝で、そこまで有名なスポットではなく、バス通りを歩いて近くまで行きましたが、標識があるわけではなく、どこから降りていいか分かりづらいです。
滝の入口で車の修理工場を経営しているおじちゃんに教えてもらい、滝を見終わった後に滝の近くの家で朝ご飯をご馳走になり、家に泊まっていけ!と誘われました 笑
掘立小屋まではいかないにしても、小さな手作りの家で、泊まるのはなかなかの冒険だと思います。
階段を降りて、川までたどり着くと、そこは岩場です。
岩を乗り越えて滝のすぐ近くまで行くことができます。
バンダラウェラ郊外にあるインスタスポットとして有名なディヤルマ滝のようにわざわざいかなくてもいいですが、ゆっくり滞在するのでしたら、散歩がてら行くのもいいでしょう。
私は朝の散歩ついでに行きました。
名称:Ellatota Ella, Waterfall
日曜・水曜マーケット
地球の歩き方によれば、バンダラウェラでは毎週日曜日と水曜日にマーケットが開かれているようです。
今回の取材では曜日が合わず、見ることができませんでしたので、次回、訪問してアップデートしたいと思います。
まとめ
バンダラウェラの町は観光地化されていませんので、車で30分ほどのエッラに行くと、その差にびっくりします。
その分、滞在コストはかなり抑えられます。
とはえい、それなりの規模の町ですので、滞在するのに不便はありませんので、気候の良いところで過ごす一つの選択肢としてお勧めできます。
バンダラウェラ観光マップ
バンダラウェラへの旅行をアレンジする
バンダラウェラへはバンダラナイケ国際空港やコロンボから遠く、カーチャーターで高速道路を使って向かうのが最速の手段です。
バンダラウェラの道のりにはビーチ、遺跡、インスタスポットとして有名な滝などがあります。
バンダラウェラの後に他の観光地に行く際にも車があると便利です。
鉄道に乗りたいという方のサポートもしております。
バンダラウェラへの旅をご検討されている方、ご相談をご希望の方は以下のフォームよりお問い合わせください。
関連ページ
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
# 関連キーワード
新着記事
-
スリランカの食文化に見る多様性とヴィーガン事情
スリランカに滞在して約2か月半、この国の食文化の多様性に驚かされています。その背景には、仏教、ヒンズー教、イスラム教といった多様な宗教が影響していると感じます。宗教ごとに異なる食の規律が存在し、それが食の選択肢を豊かにし…
2024年11月23日 -
“スリランカにおける現代ファッションを徹底調査”
年間を通して高温多湿の南国、自然豊かで「インド洋の真珠」とも呼ばれるスリランカ。日本とは全く異なる気候に住むスリランカの人々が普段どのような服を着ているのか、どのような服を好むのか知っていますか? 欧米諸国の人々のファッ…
2024年11月14日 -
世界遺産ゴール・フォートの中にある“好立地”ホテル「The Fort ...
私は今回、世界遺産ゴール・フォートの旧市街の中にあるホテル「The Fort House」に宿泊してきました。 ゴールには数多くの宿泊施設がありますが、世界遺産である旧市街の中にあり、散策しやすい場所にある「The Fo…
2024年11月13日