日本で出店が続くスリランカの紅茶ブランド「Mlesna(ムレスナ)」とは?
スリランカには大手の紅茶ブランドはいくつもありますが、ブランド名を掲げたカフェ・ショップを日本に展開しているのはムレスナ(Mlesna)だけでしょう。
ムレスナの日本の店舗は兵庫の西宮で始まり、京都、滋賀、大阪、徳島、東京と増えています。
2021年5月に東京・代々木上原に新店舗が開店し、2021年8月8日に吉祥寺に新たに開店予定です。
ムレスナジャパンは日本人が立ち上げ、日本独自のフレーバーを開発。
ムレスナジャパンの直営店は総本店の西宮、系列店が京都にありますが、それ以外は経営主体が異なり、複数のブランド名(店舗名)が存在しています。
日本のムレスナを知るためには、まず、スリランカを代表する紅茶ブランドになった本国スリランカのムレスナを知ることから始めましょう。
ということで、本記事ではスリランカのムレスナについて紹介していきます。
日本のムレスナについては、こちらの記事を参照ください。
目次
ムレスナ(Mlesna)とは?

アンセルム・ペレラ(Anselm Perera)が1983年にスリランカに創業した紅茶会社及びそのブランドがムレスナです。
Anselmを後ろから読むと、Mlesnaとなります。
アンセルムの名は、アンセルムスの日(St. Anselm’s Day)である4月21日に誕生したことに由来するそうです。
アンセルムさんは、1969年に18歳でイギリス本社のブルック・ボンドにティーテイスターとして入社し10年勤めます。
1979年、インド本社のショーウォレスに転職し、1年半後にティーディレクターに就任します。
1983年、アンセルムさんはユーロ・スキャン(Euro Scan)を創業し、白い芯芽が残っているヌワラエリヤのFBOPに注目します。
当日はあまり注目されていなかったこの茶葉の独自の甘味に価値を見出します。
1985年、コロンボにオープンした最新ショッピングモール「リバティー・プラザ」にムレスナのティーショップ一号店を開店し、紅茶ブランド「ムレスナ」をスタートさせます。
スリランカの紅茶ブランドで有名なディルマの創業は1988年ですので、ムレスナの方が創業が数年早かったようです。
スリランカの紅茶はコモディティとしてバルクでヨーロッパなどに大量輸出され、イギリスなどの大企業のブランドで世界に販売されていました。
それではスリランカ産の紅茶の価値がしっかりと認められません。
そこで、ハイエンドな紅茶をパッケージングして、スリランカのブランド名で世界に直接販売することを目指したのです。
現在、リバティー・プラザには2軒のムレスナのティーショップがありますが、リバティー・プラザは新しいショッピングモールがどんどんとできるまでは、コロンボを代表するショッピングモールでしたので、2店舗を構えたのでしょう。
ターゲットは、コロンボに住むスリランカ人富裕層や外国人、そして、観光客としたのでしょう。
ティーショップはコロンボに集中し、観光地には店内で紅茶が飲めるティーセンターを開店しています。
日本でムレスナティーを販売する各社のページによれば、アンセレムさんが見出したヌワラエリア産F.B.O.P茶葉をムレスナは創業以来仕入れ続け、現在もほぼ独占状態にあるそうです。
アンセルムさんはムレスナの創業者社長であるだけではなく、スリランカの紅茶業界において主要な役割を担ってきた方です。
私はセイロンティー生誕150周年記念にあたる2017年に、記念イベントを運営する会社から以下の3人を紹介してもらいました。
スリランカ紅茶局のチェアマン:ロハン・ペティヤゴダさん
コロンボ・ティー・トレーダーズ・アソシエーションのチェアマン:アンセルム・ペレラさん
コンベンション・コミッティーのチェアマン:マイケル・ゾイサさん
ティー・トレーダーズ・アソシエーションは、ロンドンやコロンボなどの主要な町にあるティーオークションを行う協会組織です。
アンセルムさんは会長を務め、スリランカの紅茶産業に発展に取り組まれたようです。
ショップのみのティー・センター

ムレスナストレートティーや代表的なフレーバーティーは、スリランカの大手スーパーやスリランカ紅茶局でも販売されています。
スーパーで販売されているのは紅茶ブランドはティーバッグがメインですが、スーパーで販売されている商品でもリーフが多いのがムレスナの特徴です。
ムレスナの直営ティーセンターでは、スーパーには置かれていない多数のフレーバーティーを含む様々な茶葉が販売されています。
ムレスナのティーショップはコロンボに多く、以下のショッピングモールに店舗を構えています。
リバティー・プラザ(2店舗)
クレスキャット・ブルバード
マジェスティック・シティー
アーケード・インデペンデンス・スクエアー
ジェフリーバワ建築のアーユルヴェーダ施設「ヘリタンス・アーユルヴェーダ」近くのゴールロード沿い(ベールワラ)にも、ムレスナのティーショップがあります。
参考)
カフェ併設のティー・センター
紅茶の販売に加えて、店内でも紅茶や軽食が楽しめるのがティーセンターです。
キャンディ店

最もアクセスがいいのが、キャンディの中心地にあるティーセンターです。
1階がティーショップ、2階がカフェになっています。
紅茶も軽食も日本人からすると破格の値段ですので、キャンディ観光の休憩スポットとしてもお勧めです。
紅茶とケーキか何かを注文したことがありますが、メニューをみて「激安!」と思ったのを覚えています。
店内は空いていて、キャンディの中心地にある有名紅茶ブランドの直営店なのにゆったりできるなんて、穴場スポットだな!と思いました。
注文した内容と金額については、忘れてしまいましたので、再度訪問した際にアップデートしたいと思います。
バンダラウェラ店

ウバ地区にあたるバンダラウェラにもティーセンターがあります。

こちらは軽食は出しておらず、紅茶のみ注文ができます。

バンダラウェラには観光客向けのカフェやレストランがなく、観光客が入りやすいのはバンダラウェラホテルぐらいなので、バンダラウェラ店でも軽食を出してほしいものです。

店内では様々な種類の紅茶や茶器が販売されています。
ムレスナ・ティー・フォートレス
コロンボとキャンディを繋ぐキャンディロード(A1)沿い、ペラデニヤ郊外のキリバスクンブラにあるムレスナティーフォートレス(Mlesna Tea Fortress)は、コロンボからキャンディへ車で向かう際の休憩スポットとしても便利です。
もうすぐキャンディという距離であり、キャンディに到着してから市内でランチしたいと思うところですが、時間帯によってペラデニヤからキャンディは大渋滞することがあります。
コロンボとキャンディを繋ぐ幹線道路のため、ティーフォートレスに到着する頃には疲れているかもしれません。
トイレ休憩をしたい場合にも便利です。
私は鉄道やバスで移動することが多く、車でお客様を何度か案内した時に立ち寄ろうかと思いましたが、タイミングがあわず、未だ訪れていませんので詳しいことは、訪問してから追記したいと思います。
YAMUのレビューを見ると、軽食だけではなくフライドライスなどしっかりとランチも楽しめるようです。
ムレスナ・ティー・キャッスル

ムレスナ・ティー・キャッスル(Mlesna Tea Castle)は、ディンブラ地区のセント・クレアー(St. Clair)にあります。
ヌワラエリヤとハットンの間にあります。
デヴォン滝を見ることができますが、それ以外には分かりやすい観光スポットはなく、少しヌワラエリヤから離れますので、紅茶好きな方か旅行のルート上に通る方がいく場所になるかと思います。

屋上から見たデヴォン滝

紅茶好きでセイロンティートレイルズに泊まる方や、アダムスピークに登る方は、ヌワラエリヤにも行くようであれば、その途中にあるので立ち寄られてみてください。
ちなみに、スーパーマーケット「アーピコ(Arpico)」を傘下に持つリチャード・ピエリス&カンパニーが所有する紅茶ブランド「St. Claire」は、この土地の名前から取られています。

入口にはセイロンティーの父「ジェームス・テイラー」の像があります。
スリランカのブランドとして世界のマーケットに紅茶を売ることにしたアンセルムさんのジェームス・テイラーへのリスペクトを感じます。

紅茶に関係する古い絵が飾られた店内。

紅茶工場で見られるローリングマシーンなども置かれています。

ティーカップなどの茶器も販売されています。

ティーキャッスルの周囲は紅茶畑になっています。
建物の屋上部分にはブランコがあり、茶畑が見渡せます。

訪れたのはお店の閉店間際の夕方でした。
早い時間に来ると、こちらでも茶摘みの様子が見られそうです。
工場
紅茶工場は茶園に隣接して建てられていることがほとんどですが、ムレスナは茶園を自社で保有せず、茶園から茶葉を買い付けて自社ブレンドの紅茶を作っています。
そのため、工場は中央高地ではなく、コロンボ郊外のヌゲゴダにあります。
2017年にアンセルムさんにお会いした時に、工場はいつでも見学ウェルカム!と言ってもらったものの、行き損ねていますので、見学させていただいた際に、記事を別途書きたいと思います。
※通常はムレスナの工場では見学を受け付けていません。
それでは、次の記事では日本におけるムレスナについて紹介していきます。
参照)
Mlesna公式サイト
Wikipedia:Mlesna
BUSINESS TODAY:Anselm Perera
ウィキペディア:アンセルムス
Wikipedia:Brooke Bond
Wikipedia:Shaw Wallace
Wikipedia:Liberty Plaza, Colombo
MLESNA TEA HOUSE:スリランカの紅茶王
The tee TOKYO supported by MLESNA TEA:ムレスナティーとは。
salen de galere CHOUCHOU:MlesnA Tea Japanのご紹介
Ciao planning Inc:MlesnA Tea House
株式会社MOTHERS:MLESNA TEA
History of Ceylon Tea:INTERVIEW WITH ANSELM PERERA
YAMU:Mlesna Tea Fortress
>関連ページ
https://spiceup.lk/ceylontea/
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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