利用者2,000人超えのスリランカタクシーサービスを運営する夫婦にインタビュー
ファミリーでノマド生活をしながら、スリランカでタクシーサービス、スリランカ人紹介人材サービス、宮古島での宿·ボートシュノーケリングツアーを行い、ノマド生活をYoutubeで発信するYongi & Sena 夫妻へのインタビュー記事をお届けします。
スリランカタクシーサービスは、3年間で2,000名を超える人が利用し、ウェブサイトには200名を超える利用者の声が掲載されています。
スリランカをはじめ、旅行した各地の動画が投稿されているYoutubeチャンネルは登録者が1万人を超えています。
旅先で見つけたビジネスチャンスをスピーディーに形にする2人のお話をご覧ください。
目次
ノマド生活に至るまで
ノマド生活を実現させたプロセスを教えてください。
会社を辞めて独立するのは簡単ではありませんが、その解決策は副業だと思います。
お客様がいるわけですから「副業」という言い方はあまり好きではなく、「複業」の方がニュアンスに近いかもしれません。
小さく事業を始めて、それが育てば独立する目処が立てられます。
最初の事業はウェブサイトを作るところまでやったのですが、事業化には至りませんでした。
その後、2017年~2018年の年末年始にスリランカ旅行に行った際に、スリランカでのタクシービジネスを思いつきました。
スリランカには魅力的な観光地が点在していて、車の手配が欠かせません。
ドライバーと話してみると、利用者が払う高い金額いに対して、ドライバーが受け取る報酬はごくわずかであることが分かりました。
お客さんの利用料金を抑えて、ドライバーへの支払いを増やして、最初の事業で学んだウェブサイトで集客してみることにしました。
2月にウェブサイトをオープンしたところ、3月に最初のお客さんが決まりました。
ゴールデンウィークに向けてお客さんが増えはじめ、8月になると単月で売上が60~70万円になり、100万円を超えるようになりました。
安定的に売上が立つようになったことを受けて、2019年9月末に夫婦ともに会社を退職しました。
安心のスリランカ旅をサポートするタクシーサービス
最安値保証を掲げて、固定の料金プランをオープンにし、日本語の現地ヘルプデスクを置き、安心して旅行ができるようには設計しましたが、正直ここまでニーズがあるとは思ってもいませんでした。
ルート変更による追加料金を会社が負担するのは、スリランカ人本来のホスピタリティーを引き出しそうですね。
ドライバーにはお客さんからお金を取ることは絶対にしないように伝えていますし、お客さんにもドライバーからお金を求められたらすぐに連絡するように伝えています。
繁忙期は外から臨時のドライバーを雇うことがあり、当初はそのようなドライバーがルールに則らないこともありました。
ただ、うちはドライバーの条件が良いので、ドライバーはまたうちから仕事をしたいと連絡をしてきます。
多くのドライバーがうちの仕事を希望するようになって、こちらはその中から質の良いお客様満足度の高いドライバーを選べます。
ドライバーの条件を上げたことで、時間の経過とともにドライバーのクオリティーも上げる効果がありました。
ドライバーの顔写真とプロフィールが掲載されているのも安心感がありますよね。タクシー事業を行う中で悩ましいことはありますか?
スリランカは各観光地が離れていますので、お客さんが無理な移動スケジュールを希望されることがあることです。
スリランカの道路事情は、日本とは大きく異なります。
ドライバーからそのことを説明しても、お客さんにはドライバーがサボる口実を言っているように見えてしまうことがあるようです。
また、ドライバーの体力を考慮しない強行スケジュールは、お客さん自身の安全にも関わってきます。
色んなところに行きたい気持ちも分かるのですが、移動時間ばかりになって各地を堪能できないのは、せっかくの旅行が勿体ないです。
あとは、ホテルを予約する前にご相談いただけたらと思うことがあります。
ホテルの予約日を確認してみると移動が困難なスケジュールになっていて、結果としてキャンセルすることになってしまうこともあります。
私たちは旅前の事前相談にも対応しています。
旅の初めから終わりまで責任を持って、安心できるご旅行をサポートしていくのが私たちのサービスだと思っています。
九州国立博物館、クボタ、読売新聞と法人取引もあるようですが、出張で利用いただいているのですか?
はい、取材·撮影·調査などの出張でご利用いただきました。
コロナ禍で流れてしまいましたが、他にも大手企業さんからのご依頼がありました。
色んな業界の企業さんからお問い合わせがあり、スリランカを訪れる仕事にも色々なものがあるのだなと感じています。
他の観光地と比較して、旅行先としてのスリランカの特徴はなんだと思いますか?
スリランカは、リゾート·遺跡·都会·自然など、色んな景色·シーンがコンパクトに集まっているのが特徴だと思います。
私たちの宣伝みたいになってしまいますが、色んな景色を限られた日数で見るには、車を手配するのがスリランカ旅行を楽しむコツです 笑
第二の拠点「宮古島」
次のビジネスの場所を宮古島にしたのはなぜですか?
ノマド生活を始めて半年もしないうちにコロナ禍になってしまったため、世界ではなく日本国内を巡りました。
その中で私たちが一番気に入ったのが宮古島だったんです。
島から見る海の風景、透き通った海中の景色、白い砂浜が続くビーチの景色と、宮古島の南国としてポテンシャルはとても高いと思います。
単純に自分たちが日本にいる時は宮古島で過ごしたいと思ったんですよね。
宮古島で行うのは、宿とボートシュノーケリングツアーです。
こだわりの一棟貸し宿
宿のこだわり、差別化ポイントはありますか?
私たちの宿のこだわりは、2ベッドルーム・2バス・2トイレであることです。
バスとトイレはベットルームに接続させています。
リビングはシェアして過ごし、ベットルームに入ってしまえばお互い干渉しなくて済むという海外で見られる設計です。
最初は条件に合う物件を買うつもりでしたが、島にあるのは昔ながら日本式の住宅が多くて見つかりませんでした。
カップル同士·友達同士のグループや、おじいちゃんおばあちゃん子供がいるワンファミリーでのご利用を想定して、宿を設計しました。
民泊では食器や家具·アメニティーがいまいちなこともありますが、私たちが気に入った質の良いものを揃えています。
絶景の海に案内するボートシュノーケリングツアー
ボートシュノーケリングツアーにも特徴があるのでしょうか?
ボートシュノーケリングツアーは、宮古島の北にある日本最大級のサンゴ礁である八重干瀬(やびじ)にご案内します。
宮古島生まれ宮古島育ちで、ダイビングガイド歴40年の島で最もガイド歴が長いベテランガイドさんとパートナーシップを組みました。
年間の潜水本数が600本を超える彼のツアーのクオリティーは圧倒的で、案内の仕方から物の扱い方まで抜群です。
シュノーケリングはゴーグルの扱い方を知らないとすぐに曇ってしまいます。
ところが、彼はゴーグルが曇らない使い方を丁寧に教えてくれます。
泳ぎ方のコツも教えてくれますので初心者でも安心して楽しめます。
こういった細部が実はとても大事なんです。
パートナーさんはお一人でツアーの仕事をされていて、60歳を超えたのでそろそろ廃業を考えているということを聞いて、「それはもったいない!私たちがサポートするので是非続けてください!」とお話をして、ご一緒させていただくことになりました。
私たちは小さい子供がいますので、ファミリーフレンドリー、キッズフレンドリーなサービスを作っていきたいとも思っています。
小さい子供でも乗船料を取られる場合もありますが、それは違うと思うんですよね。
日本や各国でダイングツアー、シュノーケリングツアーに参加してきましたが、各地で感動したこと、嬉しかったことはたくさんありました。
それぞれのいいとこ取りをした、お客様に喜んでもらえるツアーを作っていきたいと思っています。
これまで参加したツアーで感動したこと、嬉しかったこととは具体的にどんなことですか?
子供用の浮き輪や子供向けグッズを用意してくれたりなど、ファミリーフレンドリーな対応はとても嬉しかったですね。
あとは、船の上で温かいお茶やお菓子を出してくれるなどのおもてなしは、こんなことまでしてくれるんだ!と感動しました。
船で雰囲気の良い音楽がかかっていたり、水中を楽しんでいる様子をスタッフさんが動画や写真に撮影してくれて、後でデータを渡してくれたのは良い思い出になりました。
私たちはドローンを持っていますので、撮影してあげたらお客さんにお喜びいただけるかなとも思っています。
スリランカ人を紹介する人材ビジネス
人材ビジネスの状況を教えてください。
日本の有料職業紹介事業のライセンスを取り、すでに日本に住んでいるスリランカ人の紹介実績を作りました。
主にやりたいのは特定技能です。
特定技能は、技能テストと日本語テストが必要ですが、スリランカ側での技能テストが始めると動き出します。
技能テストがそろそろ実施される予定ですので、人材ビジネスの現地側パートナーとともに準備を進めているところです。
スリランカ人の評判はどうですか?
真面目で良く働いてくれると評判です。
私たちが紹介したスリランカ人を雇っている経営者の方もそうですし、すでにスリランカ人を雇用している企業に話を伺っても評判がいいですね。
もっと採用したいというお話をいただくので、お応えできるようにしていきたいいですね。
特定技能での来日実績が多い国から来る人たちの質が下がってきているという話も聞きます。
それは韓国や台湾での募集条件や、自国内での労働条件が良くなり、日本に来る人の質が相対的に低下しているということのようです。
これから特定技能が始まるスリランカについても、早めに始まることで良い人材を確保していきたいと思っています。
登録者1万人超えのYoutubeチャンネル
Youtubeチャンネルのコンセプトを教えてください。
ガイドブックの動画版を目指しています。
初心者にも分かりやすい基本的な情報から、あまり知られていない秘境まで紹介しています。
旅行した風景を撮影したVlogではなく、旅に役立つ情報を盛り込むようにしています。
地図を出して場所を把握しやすくしたり、値段や実際に利用してみた感想を伝えています。
あるファミリーが、私たちの動画をガイドブックのように使ってくれて、お礼のメッセージを送ってくれました。
宮古島のモデルコースを紹介した動画をなぞるように旅をしたら、とても良かったそうです。
そのファミリーがまさにペルソナになって、その後は動画を作る際に「この場所は本当にあのファミリーが時間を割いて訪れて喜んでくれる場所だろうか?」と、何を取り上げて、何を取り上げないかを、二人で確認し合っています。
旅行される人が探したり検討したりする手間·時間を省いてあげるのが、私たちの役割だと思っています。
貴重な旅行の時間を無駄にしてしまわないように、良くないものは良くないと伝え、誠実に動画作りをしたいと思っています。
誠実にやるというのは、タクシーサービスなど他の事業についても同様ですね。
スリランカのモデルコースの動画もアップしていただきたいです!
実はスリランカ中を回って撮り溜めた動画がたくさんあるんです。
コロナ禍になってスリランカの動画があまり見られていませんので、コロナが落ち着いたら、スリランカの動画をアップしていきます。
またスリランカに行きたいので、もう一度各地を取材した上で撮り直したものを作りたいですね。
参考)
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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