有名企業への高い就職実績を継続する埼玉工業大学のアジアでのリーダーシップ研修
東洋経済オンライン「有名企業への就職に強い大学」トップ200校に2年連続ランクインし、埼玉県内で1位、東京都を除く東日本の私立大学で1位、就職率5年連続97%以上と高い実績を出している埼玉工業大学。
キャリア支援センターが設立される前は、有名企業への就職は年に1名いるかいないかの状況であったとのこと。
学生一人一人と向き合う徹底したサポートを行うキャリアセンターのユニークな取り組みが、春休みと夏休みにアジア諸国(ベトナム、スリランカ、カンボジア)で行なっているリーダーシップ研修です。
キャリア支援センター長の西田優さん、キャリア支援センター助教の藤田拓勧さんにお話を伺いました。
高い就職実績を生み出す「肝」とは?
学生本人たちが大手企業に入りたいと思っていることでしょう。
偏差値が高くない大学の学生の多くは、大手企業に入社することは無理だと思っています。
本学では、入学後すぐに新入生就職ガイダンスを行い、キャリア形成科目の講義を開いています。
この講義で繰り返し伝えていることは、大手企業に入ることは可能だということです。
有名大学ではない学生の中には、コンプレックスを持っている子が多いように思います。
その思い込みを取り払い、目線を上げて、チャンスを掴みにいく意識づけをしています。
厳しい就職戦線で望む結果を得るには、まずは自分の殻から出て歩み出させないといけません。
講義で興味を持ってもらい、面談に定期的に訪れてもらう関係を築き、学生個々人に合わせたキャリア支援を行なっています。
リーダーシップ研修の狙いや効果とは?
研修では、各自がリーダーシップを発揮して、チームに貢献することを経験してもらいます。
多くの人は社会に出たら組織に所属して働きますが、海外研修ではチームにミッションを与えて、成果が求められる環境を作っています。
メンバー同士で時にはぶつかり合い、チーム一丸となって成果に向かって活動をしていくことで、学生たちは一皮も二皮も剥けます。
チームでミッションに取り組む中で、多くの学生が壁にぶつかります。
・チームに今、必要なことは何なのか?
・自分ができることは何なのか?
・チームを超えて、仲間たちから求められていることは何なのか?
壁にぶつかった学生を時には厳しく指導し、壁を乗り越えるサポートをし、自分が変われるということ、人に役立つ貢献ができるということを心と体で実感してもらいます。
人は一人ではなかなか変われませんが、仲間からの刺激やサポートは、壁を乗り越えるための大きな力になります。
周りのメンバーが変わっていく姿を見ることで、自分が客観視され、自分では見えていなかった壁を認識して、それを乗り越えていくということもあります。
また、普段の大学生活で見えるのは学業など、一部分でしかありません。
これまでうまくいかなかった分野にばかり目を向けるのではなく、自分の特性を知り、自分だからこそできるチームへの貢献方法を見出していくことも大切です。
海外で1週間共に過ごすことや、事前研修から事後研修を含めた合計1ヶ月半というプロジェクト期間を通して見えてくる学生個々人の特性を掴み、じっくりとサポートしています。
海外研修地としてのスリランカとは?
本学は仏教精神を基盤とする日本で唯一の工業大学で、もしかすると世界でも唯一かもしれません。
スリランカは仏教信仰が色濃く残る長い歴史を持つ国であり、その意味では本学の基本理念と通ずるところがあります。
また、親日国で実施することも大切にしています。
日本にとって、また現在の日本の学生にとって、親日国とは将来的に深い関係を持つ可能性が高いと考えています。
さらに、スリランカは歴史的に東西をつなぐ立地にあり、日本の学生がアジア世界とそれ以外の世界、グローバル社会の一端を感じることも期待しています。
親日の仏教国であるスリランカで実施することに、大きな意味を感じています。
コロナ禍での取り組みとは?
海外渡航が難しかったことから、オンラインで海外の学生と交流する研修や、オンラインで日本が得意とする生産技術を学ぶ研修など、色々と試行錯誤しました。
結果として、最も効果的だったのは、日本にいる外国人留学生とチームを組んで行う対面型研修でした。
これまで研修を実施してきた国々で共に過ごした現地の学生たちの多くは、日本に留学しています。
その繋がりから、本学での対面型研修に参加してくれる留学生が集まってくれました。
説明の類はオンラインは効率的ですが、議論や交流はやはり対面が効果的だと分かりました。
普段の環境から離れて異文化の中に身を置くことは非常に効果的ですので、渡航が無理なくできるようであれば、海外での実施を再開したいと思っています。
就職実績以外の効果とは?
海外研修に参加した学生のうち、3年以内の離職率はたったの3%です。
自分ができることとできないことを認識し、組織や仲間に過度な期待をせず、地に足のついたキャリアを形成していくことにつながっているように思います。
転職や独立することが悪いことではありませんが、現実味のない夢を追うことや、置かれた環境の不満ばかりを言っていては道は拓けません。
現場で主体性・リーダーシップを発揮し、実績と経験を積み重ね、自分が進む道を明確にしていってもらえたらと思っています。
活躍している卒業生が在校生をサポートしてくれることも大きいです。
また、卒業生が活躍していることで、企業さんと採用について前向きにお話ができています。
渡航した国に友人ができ、身近な国が増えることで、視野が広がる効果も大きいと感じています。
参考)
埼玉工業大学:キャリア支援センター
東洋経済ONLINE:最新!「有名企業への就職に強い大学」トップ200校
日経産業新聞:就勝就喝!「海外研修で視野広げる」
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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