1908年設立のダッチバーガーユニオンの「VOC Cafe」

オランダ人の血をひくダッチバーガーの人たちによって、1908年に設立されたダッチバーガーユニオンは現在も続いており、宿泊施設及びレストラン「VOC Cafe」を営業しています。
本記事では、ダッチバーガーユニオンとVOC Cafeについて紹介します。
目次
ダッチバーガーユニオンとは?
ダッチバーガーとは、オランダ東インド会社に勤めいたオランダ人を中心とするヨーロッパ人男性と、スリランカ人女性の間に生まれた人たちのことです。
オランダ語でバーガーとは「市民」「町に住む人」を意味し、フランス語の「bourgeois」、英語の「burges」と同じ語源とされています。
この頃のヨーロッパには、貴族でも農奴でもない中産階級が出現します。彼らは商人やビジネスマンで、町に住み、自由市民とみなされていました。これをオランダ語ではバーガーと呼びました。
オランダ領セイロンには、オランダ東インド会社(VOC)から給料をもらってカンパニーサーバント(従業員)と呼ばれる人々と、自由意志で移住してきた人々の2種類のヨーロッパ系住民がいましたが、バーガーと呼ばれたのはVOCに勤める前者のことを指しました。
VOC にはオランダ人だけでなく、ベルギー、ドイツ、デンマーク、オーストリア、フランス、スイス、イタリアの兵士も雇用されていました。
また、オランダよりも先にセイロンを支配していたポルトガル人男性とスリランカ人女性との間に生まれた人たちがいて、その人たちはカトリック・バーガーあるいはポルチギー・バーガーと呼ばれました。
イギリス領セイロン時代に、ダッチバーガーの人たちが集まり結成したのが、ダッチバーガーユニオンです。
建物の外観も、オランダっぽさがあります。
VOCカフェ
VOCカフェは、ダッチバーガーユニオン内にあるカフェです。
コロナ前はダッチバーガーユニオンのメインの建物の手前にある小さな建物に入っていました。
現在はユニオンのメンバーのみに公開されていたダッチバーガーユニオンの建物の一階部分のテラス部分がレストランの座席として開放されています。
以前のカフェはメニューが少なく、食事や飲み物はあまり美味しくありませんでした。
今回、新しくなってフードメニュー、ドリンクメニューが拡充され、それぞれ味もとても良くなりました。
店内の様子
一階は冷房の効いたベーカリーのショーケースが並んでいる部分と、オープンエアーなテラス席に分かれています。
ベーカリー
トイレがあるのは、ベーカリーのスペースの奥です。
ポルトガル人によってもたらされスリランカのバーガーの人たちに食べられてきたラブケーキも販売されていました。
テラス席
2階はユニオンメンバーのみ
2階部分はユニオンのメンバーのみとなっているそうですが、「食後に案内するから2階に行こう!」と店員さんに何度も声かけられたので、案内していただきました。
2階にはオランダの要塞が築かれた町の紋章や、歴代オランダ総督の写真、ダッチバーガーの人たちの写真が展示されています。
上の写真はオランダ領セイロンの国章です。
こちらはコロンボフォートのデルフト門に掲げられているコロンボの紋章です。
階段には、歴代のダッチバーガーユニオンの会長の写真が掲示されています。
ダッチバーガーユニオンの創設者は、5代目会長を務めたR.G. Anthoniszです。
設立当初は自分では会長を務めず、他の人にお願いしていたようですが1代目~4代目は人気が短く、最初に長期に渡って会長を務めたのは、創設者のR.G. Anthoniszでした。
屋根から吊るされている黒いファンは、昔からある古いファンなのだそうです。
朝食メニュー
ベーカリーを中心とした朝食メニューは朝8時から。宿泊できる客室もあるためか、ホテルのようにスリランカンの朝食とウェスタンの朝食があります。
値段が手頃で、量もライトに思えます。
ランチメニュー
ダッチバーガーの食事といえばランプライスです。
ランプライスは、インドネシアの「レンパー」をオランダ人たちがセイロンに持ち込み、形作られていった料理だと言われています。
レンパーは味付けした肉や魚をお米で包んだものをバナナの葉で包んだものです。
かつてのランプライスは、レンパーのようにサイズが小さく、オランダ人は食事中にいくつも食べたそうです。
現在、ランプライスはライス&カリーのようにメインとなる「チキン」「ビーフ」「フィッシュ」などを選ぶ形式が多いですが、本来は色々な肉を混ぜて作っていたそうです。
このメニューにある「ミックスドミート」はまさに昔ながらのダッチバーガー式のランプライスと言えそうです。
以前のVOCカフェにはミックスドミートはなく、他のお店と同様、チキンやビーフと選ぶメニューでした。
ランプライス(ミックスドミート)
以前のカフェのランプライスより、各段に美味しくなっています!
量が控えめで一人で食べられる分量なのも嬉しいです。
夕食メニュー
夜はストリングホッパーやコットゥ、パスタなどが食べられるようです。以前はディナーはやっていなかったと思います。
水曜日夜はホッパーナイト、金曜日夜はバーベキューナイト、土曜日夜はスリランカンビッフェとあります。
ストリングホッパー
メニューにはストリングホッパー15枚と書いてあり、多いかと思いましたが、1枚が薄いのでお腹いっぱいになりすぎるスリランカにおいて、これは控えめな量で良いです。
土曜日夜のビュッフェ
土曜日夜限定のビッフェは3000ルピー(ネットプライ)です。
19時過ぎから準備が始まり、ストリングホッパー、ベジコットゥ、フィッシュアンブルティヤル、チキンカリー、ブラックポークカレー、ホワイトポテトカレーなどが並んでいました。
横にはホッパーのライブキッチン。
ライブキッチンとカレーが並べられたテーブルの間で、ピアノの演奏が行われていました。
ドリンク・デザートメニュー
ホームメイドのジュースが4種(ジンジャービアー、ナーラン、アンベラッラ、タマリンドジュース)並んでいるのがそそります。
ホームメイドジンジャービアー
ピリリと生姜がきいたジンジャービアーで美味しかったです。
参考)
Dutch Burgher Union of Ceylon公式サイト
Dutch Burgher Union:some good news
Wikipedia:Dutch Burgher Union of Ceylon
Wikipedia:Burgher people
Wikipedia:Dutch Burghers
Wikiepdia:Lamprais
Wikipedia:Lemper
Wikipedia:Love Cake
Wikipedia:Breudher
Wikipedia:IJzerkoekje
Wikipedia:Frikkadel

「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して人材系ネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2022年12月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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