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ケラニ渓谷鉄道の観光列車「シーターワカ・オデッセイ」で行くダム見学

2024年11月10日

2022年にコロンボ~バドゥッラをつなぐ紅茶鉄道に観光列車「エッラ・オデッセイ」が運行開始され、その翌年である2023年にはコロンボ~アウィッサーウェッラをつなぐケラニ渓谷鉄道(Kelani Valley Line)に、観光列車「シーターワカ・オデッセイ(Seethawaka Odyssey)」が運行開始されました。

ケラニ渓谷鉄道はコロンボ市内のゴルフ場「ロイヤルコロンボゴルフクラブ(Royal Colombo Golf Club)」を通過しますが、オデッセイ列車はゴルフ場で一時停車してくれます。

また、ワガ(Waga)駅からは周遊バスが用意され、通常非公開のカラチュワワダム(Kalatuwawa Dam)と浄水場の見学ツアーから始まり、吊り橋、ランムドゥ滝(Ranmudu Ella)、シーターワカ植物園(Seethawaka Wet-Zone Botanical Gardens)でのランチ&散策と回って、アウィッサウェッラ駅に到着し、コロンボ行きの列車に乗れるようにスケジュールが組まれていて、コロンボ市内から日帰の鉄道旅行が楽しめる内容になっています。

本記事ではケラニ渓谷鉄道の観光列車シーターワカオデッセイとワガから周遊バスツアーについて紹介します。

シーターワカ・オデッセイとは?

シーターワカ・オデッセイは、2023年1月から運行が開始されたケラニ渓谷鉄道の観光列車です。

シーターワカとは、6か国7勢力が競い合っていたスリランカ戦国時代において、ポルトガル軍と果敢に戦い、仏歯を保持して最も強いシンハラ王朝として君臨したシーターワカ王国に由来します。シーターワカ王国の都が置かれていたのが終点のアウィッサーウェッラです。

時刻表

シーターワカオデッセイは週1便が毎日日曜日に折り返し運転しています。

行きがコロンボフォート発7:15、ワガ着9:07、アウィッサーウェッラ着9:37。
帰りがアウィッサーウェッラ発17:25、コロンボフォート着20:05

乗車料金

6両編成で進行方向側から当時席車両(1車両)、3等車(1車両)、2等車(2車両)、1等車(1車両)となっています。

料金は以下の通りです。
1等車500ルピー(往復800ルピー):全88席(2車両)クーラー付き、窓は開けられない
2等車300ルピー(往復500ルピー):全88席(2車両)クーラーなし、窓は開けられる
3等車200ルピー(往復350ルピー):全66席(1車両)クーラーなし、窓は開けられる
当日席 金額不明:(1車両)クーラーなし、窓は開けられる

1等車

 

2等車

 

3等車

 

当日席

トイレは洋式と和式

乗車時間はそれほど長くありませんので、トレイは使うことは少ないと思いますが、トレイは洋式と和式(スリランカ式というべき?)があります。

予約方法

以下のスリランカ鉄道の予約サイトから予約します。
https://seatreservation.railway.gov.lk/mtktwebslr/

シーターワカオデッセイはワガ駅で下車するのが基本ですが、toの欄でワガ駅を選択しても列車の情報が出てきません。toの欄には終点であるアウィッサーウェッラを入れると残席があるクラスの情報が出てきます。売り切れてしまうと何も表示されませんので、その場合は翌週日曜日などで再度アウィッサーウェッラ行きで調べると出てきます。

ネットで予約すると、メールでチケットが送られてきます。

スマホでそのチケットを見せれば乗車が可能です。

路線と主な停車場所

コロンボフォート駅を始発にして、ロイヤルコロンボゴルフクラブを通過し、繊維問屋街のマハラガマ、マルチモウダルセンターのマークンブラ、シーターワカオデッセイの下車駅であるワガ、終点のアウィッサウェッラなどが主な駅です。

コロンボ市、そして近郊都市をつなぐ国道4号線近くを走るため、踏切が多いのがこの路線の特徴の一つです。

始発はコロンボフォート駅

コロンボフォート駅が始発駅です。

マラダーナ駅

ケラニ渓谷鉄道の元々の始発はマラダーナ駅です。

マラダーナ駅の周辺にはマーリガ・カンダ、マーリガ・ワッタと地名があります。キャンディにある仏歯寺のことをシンハラ語でダラダー・マーリガワ(仏歯の宮殿)と言いますが、マーリガワとはシンハラ語で宮殿を意味します。

ポルトガル領セイロンの本拠地コロンボフォートを包囲したシーターワカ王国の王が布陣したのが、コロンボフォートの堀として機能していたベイラ湖に近い丘です。

そこからマーリガ・カンダ(宮殿の丘)と呼ばれるようになったと言われています。カンダはシンハラ語で山・丘を意味し、英語名の旧都キャンディの語源に当たります。

マーリガ・カンダに隣接した平地はマーリガ・ワッタと呼ばれています。ワッタとはシンハラ語で庭園を意味します。

ロイヤルコロンボゴルフクラブで停車

ケラニ渓谷鉄道はマラダーナ駅を出発すると、メインラインなどの他の路線から分岐してコロンボ市内のゴルフ場「ロイヤルコロンボゴルフクラブ」に向かって走っていきます。

観光列車であるシーターワカオデッセイの往路はゴルフ場で数分間停車してくれます。ゴルフ中のゴルフプレイヤーさんが手を振ってくれます。

「ギネスブックに載っているゴルフの最長飛距離は、ロイヤルコロンボゴルフクラブで記録された。なぜなら、ゴルフボールが鉄道に乗って、次の駅まで走ったからだ。」という噂があるそうですが、ギネスブックの最長飛距離として登録されているのは、1974年の全米シニアオープンでM・オースチン選手が記録した515ヤードのようです。

ロイヤルコロンボゴルフクラブのように、ゴルフ場の敷地を鉄道が走っている場所がないのか調べてみたところ、群馬県のザガーデンゴルフクラブは電車が高架で走り、スコットランドのロイヤルトルーンゴルフクラブは鉄道がゴルフ場の東側の敷地の境になっているようです。

鉄道がゴルフ場を走っているのは他にあるものの、スリランカ鉄道は扉を開けっぱなしで走り、走行速度も遅いため、ゴルフボールが列車に入る可能性は世界的に見ても高そうではありますが、ギネス記録というのは単なる噂話だと思います。

ヌゲゴダ駅

進行方向左手側に古い倉庫なのか、目をひく建物があります。この前に列車に乗るひとたちが待っている光景が見られる。駅っぽくなくて不思議な光景です。

マハラガマ駅

進行方向左手側にマハラガマの繊維問屋が見えます。

パドゥッカ駅以降の田園風景

パドゥッカ駅以降は水田が広がる風景が広がり、その後はゴム園、茶園が見えてきます。

ワガ駅で下車

周遊バスへの乗り換え駅であるワガ駅でほとんどの人が下車します。

その他、路線についての詳細は以下の記事をご覧ください。

ゴルフ場や民家すれすれを通るケラニ渓谷鉄道

 

周遊バス

ワガ駅を降りて、商店街を歩いていくと集会場のような場所で、2つのバスに分かれて乗車するように言われます。

乗車料金

バスの乗車料金は一人600ルピー。

バスの乗車料はバスに乗ったあとに支払います。

バスに乗る前にワガ駅到着前に列車の中でバスに乗るかをバス会社の人が回って確認しています。

ライス&カリー、もしくはフライドライスを選びます。

ランチはシーターワカ湿潤地帯植物園の売店でお金を払って受け取ります。

ワガ駅から乗車

鉄道はケラニ川の支流ワコヤストリームを越えるとワガ駅に到着します。

ワガ駅でシーターワカオデッセイ列車を下車して、商店街を歩いて行くと、待合所のような場所に案内され、その近くにバスが2台待っています。

バスはワコヤストリームの源流であるカラチュワワ貯水池に向かって走ります。

道中ではゴム園、茶園が見られます。

カラチュワワ貯水池(Kalatuwawa Reservoir)

カラチュワワ貯水池はケラニ川の支流であるワコヤストリームの源流であり、森林保護区内にある緑豊かな環境にあるダムです。

コロンボ県で最も標高が高い、標高493メートルの山脈(ウダガマカンダ)にカラチュワワ貯水池、そしてラブガマ貯水池があります。ラブガマ貯水池の後に、さらに大きな貯水池として作られたのがカラチュワワ貯水池です。

ゴム農園を左手にしてバスが進み、やがて右手にダムの洪水吐きが見えてきます。

駐車場でバスを降りて、ダムの手前でダムの解説をまず聞きます。

橋でワコヤストリームを渡ります。

橋を渡ると正面に浄水場があります。

浄水場を右手に坂を登っていくと、洪水吐きを間近で見ることができます。

道をそのまま進み、ダム堰堤に向かう階段を登ります。

階段を登ってダム堰堤の上に出ると、カラチュワワ貯水池が見られます。

このカラチュワワ貯水池上の上を、コロンボを州都とする西部州とラトゥナプラを州都とするサバラガムワ州の州境が通っています。

ダム堰堤を進んでいくと取水塔があります。

ダムの反対側には浄水場が見えます。

ダム堰堤を洪水吐きを見下ろす位置まで歩いたら見学ルートは終了です。

吊り橋

ダムから少し移動して、川にかかる吊り橋を見学します。

ランムドゥ滝(Ranmudu Ella)

次にケラニ川の支流の滝の一つで、カラチュワワ貯水池にほど近い滝であるランムドゥ滝を見学します。

滝はゴム園を降りていった先にあります。

滝に浸かって遊んでいる様子が楽しそうでした。

天然のプール

ゴム園の中を流れる川がゆったりと流れる部分があり、天然のプールのようになっています。

椅子やテーブル、パラソルが設置されていて、多くの人が泳いだり、ピクニックしていました。

ここで過ごすのは1時間半。川を泳ぐと気持ちいいよ!と言われたものの水着は持っていませんでした。

ところが添乗員さんは「水着がないと泳がないの?天然のプールが嫌なの?泳ぐのは人工のプールだけなのか?」と聞かれて、服のまま入っている女性が多いので、勢い、川を泳ぐことにしました。

川の水温は冷たすぎることはなく、ほどよく涼しくてずっと泳いでいられる感じでした。

川で飲んだいたおじちゃんたちにウイスキーとつまみを分けてもらい、談笑していたら、あっという間に1時間半が過ぎてしまいました。

シーターワカ湿潤地帯植物園(Seethawaka Wet Zone Botanical Garden)

スリランカ国立植物園局の5番目の植物園で、 2008年に開発が開始され、2015年に一般公開された、スリランカのウェットゾーンの植物の保護を目的として設立された初の植物園です。インディカダムカラナ森林保護区に隣接しています。

到着したら、まずは売店にいき、列車内で注文したランチの注文番号を伝えて、ランチを受け取り、ランチ代金を支払います。

敷地面積は42ヘクタール(106エーカー)で、真ん中に湖があります。湖の周りをぐるっと回る短いルート、湖の入口から反対側からさらにぐるっと大回りのルートがあります。大回りのルートから短いルートに戻ってきますので、大回りのルートを回ると、植物園全体を見ることができます。

大回りのルートで坂を登っていくと、サルを何匹も見かけました。

大回りルートの坂を登っていくと展望台があり、植物園の中心である池を見下ろすことができます。

ペラデニヤ植物園はとても大きく、全てを歩いて回るのは大変ですが、シーターワカ湿潤地帯植物園は歩いて回るのに、ちょうど良い規模です。

7エーカーの茶畑の他、樹木園、バラ園、シダ園、展望台、花で飾られた湖、一連の池、花卉園芸、薬草園、スパイスガーデン、果樹園、アルジュナの木、蝶の庭、小石庭、そして日本庭園があります。

あんまり日本感がない・・・笑

他の場所にある庭園の方が回遊式庭園のようで、日本っぽいような・・・

花卉栽培関連の普及プログラムを行っていて、花の生産者や研究者、小中高大学生の教育・研究機会にも活用されているとか。

シーターワカオデッセイの観光バスで回る中で唯一入場がかかるのが、シーターワカ湿潤地帯植物園です。

入場料は外国人とローカルで分かれています。

外国人の大人(13歳以上)3000ルピー
外国人の学生(学校や大学)2000ルピー
外国人の小人(12歳以下)1500ルピー
ローカルの大人(13歳以上)200ルピー
ローカルの学生(学校や大学)50ルピー
ローカルの小人(12歳以下)30ルピー

ペーラーデニヤ植物園のようにゴルフカートで回ることもできます。
3人乗りのカート1000ルピー(1時間あたり)
7人乗りのカート2000ルピー(1時間あたり)

ジョギングのための月会員制もあります。
外国人4000ルピー
ローカル2000ルピー
シニア500ルピー

アウィッサーウェッラ駅

16:30頃にアウィッサーウェッラ駅の道の反対側にバスは止まります。

コロンボ行きのオデッセイ列車の折り返しの発車時刻は17:25。

購入可能だったのは3等車(200ルピー)のみでした。

1時間弱の時間があるので、私たちは近くのカフェで休憩しました。

アウィッサーウェッラのおしゃれカフェ「Cafe Plus」

17時までですが、歩いてすぐの博物館をちらっと見るのも良いでしょう。

2024年に開業したシーターワカ博物館

遺跡の興味がある方はトゥクトゥクを捕まえれば、シーターワカ宮殿とブランディコヴィルを見てきても良いでしょう。

スリランカ戦国時代の英雄が眠るアウィッサーウェッラ

参考)
ゴルフへ行こうWEB:【群馬県ショートコース/ザ・ガーデンゴルフクラブ】コース内を鉄道が横断する長閑な河川敷。当てないように!
ウィキペディア:ロイヤルトルーンゴルフクラブ
ceylon hunt:Seethawaka Odyssey, Luxury Train to Avissawell
Sri Lanka Railway Forum:The Seethawaka Odyssey Train
CEYLON EXPEDITIONS:Seethawaka Odyssey Train
Wikipedia:Udagama Kanda
Wikipedia:Udagama

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