ペターのテキスタイル街「3rd Cross Street」
コロンボ旧市街ペターは、ストリートごとに出自の異なる人たちが集まっています。
本記事では、インドのグジャラート州から渡ってきたスンニ派ハナフィー学派のムスリムであるメモンの町、サードクロスストリート(3rd Cross Street)を紹介します。
メモンとは?

メモンは世界に180万人ほどいると言われるイスラム教スンニ派のハナフィー学派(インド、パキスタン、バングラディシュ、アフガニスタン、ウイグル自治区、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタンに多い)の人たちで、パキスタンのシンド州、インドのグジャラート州やムンバイに多く住んでいます。
その出自から以下の4つのグループに分けられます。
-インド・グジャラート州のカーティヤーワール半島のカーティヤーワールメモン
-インド・グジャラート州カッチ県(旧カッチ王国)のカッチメモン
-インド・グジャラート州バントバの町のバントバメモン
-パキスタン・シンド州のシンドメモン
南アフリカのダーバンはインド移民が多い町で、カーティヤーワール半島から渡ったカーティヤーワールメモンが多くいます。カーティヤーワール半島出身のマハトマ・ガンディーが弁護士時代に住んだダーバンの家は、メモンが所有していたとも言われています。
メモンの起源は、シンド州のロハナ族(商業や交易を営むヒンドゥー教徒)の一部がイスラム教に改宗し、アラビア語で信者を意味する「ムアミン」と呼ばれたのが変化して、メモンと言われるようになったというのが有力な説です。(他にも説があります。)
メモンは商業と慈善活動で知られ、毎年4月11日(あるいは4月10日)をメモンデーとして祝い、人道的な奉仕活動を行っています。
ダウディーボーラ(グジャラート州に多いシーヤ派)と違い、メモンには宗教的な指導者はいないそうです。
スリランカにおけるメモン
スリランカのメモンは、カーティヤーワールメモンのサブグループに分類され、グジャラート州のカーティヤーワール半島にある、ジュナーガド県クティヤナ、ポールバンダル県ポールバンダル(マハトマ・ガンディーの出身地)、ラジコト県ウプレタの3つの町から来たものが多いといわれています。
スリランカに最初にやってきたメーモンは、1870年にペターに店を構えたマンナセスと言われています。彼はジャフナで織物の行商していたといいます。
1930年代初頭よりインドのテキスタイルをメモンがペターで販売するようになります。ペターのサードクロスストリートにあるメモン・ハナフィー・マスジットには1931と書かれています。
メーモンがスリランカに増えたのは、1947年のインドとパキスタンの分離独立で、グジャラート州の特にジュナーガド県では暴動によって避難を余儀なくされた人たちは世界の様々な場所を目指し、その一部の人たちがペターにやってきました。
スリランカにはメモンは1万人ほどのコミュニティーがあり、その多くがコロンボに住んでいます。
コッルピティヤにメモン会館があり、メモンの代表的なモスクがペターのサードクロスストリートにあるハナフィマスジットです。
スリランカのメモンで有名な人物を一人挙げると、スリランカメーモン協会会長を務め、スリランカ初のメーモンの国家議員になり、外務副大臣にもなったバイラ氏です。
サードクロスストリート

ペターのサードクロスストリートには、メモン・ハナフィー・マスジットとテキスタイルのお店が並んでいます。
メモンの人たちはインドのテキスタイルをペターで売ってきたと言われていますので、長く営まれてきたテキスタイル屋さんが並んでいるのでしょう。
参照、関連記事
Sunday Times:Getting to know the Memons
Wikipedia:Memon people
Wikipedia:Memon
Wikipedia:Memons in Sri Lanka
Wikipedia:Lohana
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
# 関連キーワード
新着記事
-
スリランカのサイクロン影響と最新状況|観光・鉄道【12月4日・随時更新...
スリランカを襲ったサイクロンにより発生した洪水・地滑りで、犠牲になられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、御遺族に対し謹んでお悔やみを申し上げます。被害に遭われた方々の早期の御快復をお祈りし、心よりお見舞い申し上げます。 …
2025年12月01日 -
スパイスアップスリランカ【デジタル版】|vol.19 アルガムベイ特集
目次1 スリランカ唯一の日本語情報誌『スパイスアップ・スリランカ』デジタル版を公開!2 2025年10月発行 vol.19「アジア屈指のサーフスポット 東海岸アルガムベイ」特集号2.1 vol.19目次3 vol.19デ…
2025年11月20日 -
ウナワトゥナのブティックホテル「Sergeant House」|ゴール...
スリランカ南海岸・ウナワトゥナのブティックホテル「Sergeant House(サージェント ハウス)」は、19世紀の邸宅を改装したプライベートな隠れ家。風の通るテラス、緑に包まれたプール、そしてわずか5室の上質な客室が…
2025年11月03日
