Spice Up 観光情報サイト スリランカ観光・情報サイト

スリランカ紅茶鉄道の魅力と絶景ルート【全線ガイド】

2025年9月18日

スリランカの高原を走る紅茶鉄道は、車窓に広がる絶景とゆったりとした旅情が魅力です。世界でも有数の美しい列車の旅として、観光客に人気を集めています。

本記事では、紅茶鉄道と呼ばれるメインラインの全線を解説します!

スリランカ鉄道メインライン160周年と観光列車の登場

スリランカ鉄道はメインライン運行開始160周年、全線開通100周年を迎えた2024年より、観光列車オデッセイ(ビューポイント10か所に減速あるいは停車する)と、特別列車カリプソ(ルーフレス展望車や全席窓を向いた客車がある)の運行を始めました。

紅茶鉄道の歴史と背景

紅茶鉄道の愛称でも呼ばれるメインラインの開通の目的は、キャンディ周辺の山岳地で栽培したコーヒーをコロンボ港に運び出すためでした。
1864年にフォート~アンベプッサ間が開通し、段階的に延伸が行われ、1867年にキャンディ、1874年にナワラピティヤ、1885年にナーヌオヤ、1894年にバンダラウェラ、1924年にバドゥッラまで開通しました。
キャンディに延伸した1867年に紅茶の栽培が開始され、1869年のコーヒーさび病の発生を契機に、コーヒー畑は茶畑に転換されていきました。

紅茶鉄道メインラインの概要

メインラインは全長290キロメートルで、46のトンネル、105の駅があり、5州6県(西部州コロンボ県、西部州ガンパハ県、北西部州クルネーガラ県、サバラガムワ州ケガーッラ県、中部州キャンディ県、ウーワ州バドゥッラ県)を走ります。

紅茶鉄道メインライン-オリジナルマップ(スパイスアップマガジンVol.18より)

コロンボ〜キャンディ間の見どころ

コロンボ~キャンディ間の景勝区間は、サバラガムワ州と中央州の州境を形成するカドゥガンナーワ峠を登るランブッカナ(標高88m)~カドゥガンナーワ(標高515m)間です。崖から先にバイブルロックが見えます。

オデッセイ列車はペラデニヤ駅からメインラインを一度外れて支線のマータレー線キャンディ駅に停車します。キャンディ駅からペラデニヤ駅まで戻り、イギリス時代にコーヒー産地として知られたナワラピティヤに向かいます。2つ目の登りがナワラピティヤから始まり、ここからビューポイントが待ち構えています。

ホーステイル滝とワタワラの茶畑

最初のビューポイントであるホーステイル滝は、列車がマハウェリ河を渡る手前にあり、橋に差し掛かり滝が見えてくると列車は減速します。
紅茶鉄道に乗って最初に一面に広がる茶畑が見られるのはワタワラ駅周辺からです。
紅茶ブランド「Zesta」を展開するWatawala Tea Ceylon社直営のカフェがある町です。

アダムスピークビューポイント

車窓からマハウェリ河と国道7号線が見え、その先の山の斜面に茶畑が広がっている光景が目に入ります。
ハェトン駅の到着前に「アダムスピークビューポイント」があり、その後は鉄道の近くにも茶畑が広がり始めます。

紅茶鉄道のハイライト:ハェトン〜ナーヌオヤ間

紅茶鉄道の代表的な車窓はハェトン~ナーヌオヤ間です。
ハェトン駅を出ると、スリランカ鉄道最長の「シンハマライトンネル」を通り、ディンブラを通過するとビューポイント「セントクレアズ滝」があります。
紅茶ブランド「セントクレアズ」の名はここからきています。

その後、列車はタラワケレ駅にわずかな時間停車します。
キリン午後の紅茶のCM「紅茶鉄道に乗って」で目黒蓮さんが撮影をしたのがこの駅です。
タラワケレ駅からナーヌオヤ駅までが茶畑の絶景区間です。

ヌワラエリヤと高原エリア

ヌワラエリヤ郊外のナーヌオヤ駅で乗り降りする観光客は多いです。
ナーヌオヤ駅を過ぎても間近に紅茶畑が見られますが、列車がさらに山を登り始めると、しばらく茶園は見られなくなります。
代わりに見えてくるのは、リトルニュージーランドと呼ばれるアンベウェラのミルク工場や高原野菜の畑です。

列車はさらに登り、世界遺産ホートンプレインズ国立公園の最寄り駅であり、標高が最も高い駅パッティポラ(標高1897m)に到着します。
この駅のすぐ後に、スリランカ鉄道の最高地点(1898m)の標識があります。

ハプタレーからエッラへ

中央州とウーワ州の州境をトンネルで抜け、イダルガシン駅を過ぎると、トーマス・リプトンが茶園と工場を経営したハプタレーまで山を下りていきます。
ここから再び茶畑の景色が広がります。

バンダーラウェラを過ぎると、中央高地の観光地エッラに到着します。
エッラで下車する観光客も多いですが、次のデモダラ駅まで行くことをおすすめします。

ナインアーチズブリッとデモダラ駅

オデッセイ列車はナインアーチズブリッジで10分間停車します。
橋を見学している人々と交流できるのも魅力です。

デモダラ駅はループ線で知られ、展望デッキやミニチュアがあります。
下車して列車が山を一周する様子を見ると、ループ線と呼ばれる理由がよく分かります。

▼デモダラのおすすめホテル

バドゥッラで出会う歴史と自然

列車はデモダラ駅を過ぎてバドゥッラ川と並走し、ウーワ州の州都バドゥッラに到着します。
バドゥッラは歴史ある寺院や市場がある町で、郊外には人気の観光スポット・ドゥンヒンダ滝があります。
観光地化されていないため、外国人向けのホテルは少ないですが、落ち着いた雰囲気の中で割安に滞在を楽しめます。

所要時間

観光列車「エッラオデッセイ Ella Odyssey」の場合、キャンディから終点のバドゥッラまでは【8時間半】の旅でした。

全線に乗車する時間は取れなくとも、特に景色の良い区間に絞れば2時間ほどで十分楽しむこともできます。

紅茶鉄道メインラインは特に人気の路線ですので、利用する場合は必ず公式サイトから事前に予約しましょう。すぐに売り切れてしまうこともあるので、予約開始となる1カ月前当日にチェックすることをおすすめします。
また、列車は遅延することも多いですが、リアルタイムで運行状況を確認できるアプリもあります。
公式サイトの予約手順やアプリについて、以下のページでより詳しくご紹介しています。

おまけ:スリランカの駅弁

観光列車「エッラオデッセイ Ella Odyssey」の場合、キャンディを出発後にランチボックスの注文を取りに来てくれます。その際、降車駅を聞かれ、注文できる人とそうでない人がいました。提供はナーヌオヤ駅到着直前でしたので、ナーヌオヤ駅までかそれ以降も乗車の場合には注文できそうです。

メニューはフライドライスで、トッピングを3種類(チキン、卵、野菜)から選びます。お値段は1,000ルピー。
箱を開けた瞬間は町で買う倍の値段だな、、と正直思いましたが(笑)、涼しい高原地帯の風を数時間浴び続け冷えていた体にあたたかいフライドライスがしみわたり、遠足気分で大満足でした。

# 関連キーワード