聖山アダムスピーク(スリーパーダ)の麓で夫婦でホテルを経営する山崎晴恵さんにインタビュー
スリランカで事業を行う日本人起業家、経営者へのインタビュー第7弾。
聖山「アダムス・ピーク(スリー・パーダ)」の麓の町「ナラタニヤ」でご夫婦でホテル「Hotel mango tree nearest Adam’s Peak」を経営する山崎晴恵さんにインタビューしました。
世界遺産「スリランカの中央高地」に登録されている聖山「アダムス・ピーク(スリー・パーダ)」は、スリランカの仏教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒、先住民族のヴェッダー人、それぞれの信仰の対象となっています。
12月のポーヤデー(満月の祝日)から5月のポーヤデーまで、ご来光を見ようと多くの登山者が集まり、3月のポーヤデーにピークを迎えます。
「スリー」は聖なる、「パーダ」は足跡という意味です。
仏教徒はブッタの足跡、ヒンドゥー教徒はシヴァ神あるいはハヌマン神の足跡、イスラム教徒はアダムの足跡、キリスト教徒はアダムあるいはインドまで布教に来たキリストの十二使徒の一人トマスの足跡と考えています。
ヴェッダー人は山頂と山麓に山の神サマンを祀っています。
そんな聖山の麓でのホテル経営についてお話をお伺いしました。
外出禁止中の状況について
Q.「現在の状況を教えてください」
山崎さん:今は、ホテルの建設途中です。
このオンシーズン中に完成予定でしたが、資材も買えず運べない状況なので工事もストップしています。
ホテルに加えて、カフェとギフトショップを作る予定ですが、完成予定は未定になってしまいました。
今後ホテル業をどうするか、その他のビジネスプランやライフプラン等を話し合っているところです。
この状況下で出来ることはほとんどなく、家族で日々を過ごしているだけですね…。
Q.「外出禁止になる前はどんな状況でしたか?」
山崎さん:本来であれば、今はアダムス・ピークのシーズン中で海外からのゲストで賑わっているはずでした。
またホテル自体まだ少し工事が残っているのですが、こちらも完了している予定でした。
そういったことが突然出来なくなり、先日まで外出禁止が続きました。
外出禁止になる直前まで、ポツポツとゲストは来ていましたが、宿泊のキャンセルも増えて、これからどうなるんだろう…と不安な日々でした。
そして、ついに空港が閉鎖され、外出禁止令が出されました。
外出禁止中でも一時解除の日が数日おきにあり、日中は買い物が出来ました。
一時解除の間、一番人が並んでいたのは銀行のATMでした。
スーパーの食品棚はどんどん空っぽになっていきました。
マスクも着用必須になり、お手製のマスクをする人たちも見かけました。
アダムス・ピークはオンシーズンですが、オフシーズンのような寂しさが漂っていました。
参道のお店を片付ける人も増え、外出禁止令の一時解除時に帰郷する人たちも多くいました。
スリランカに来たきっかけ
Q.「スリランカに来たきっかけを教えてください。」
山崎さん:数年前、旅が好きでたまたまインドからスリランカへ来ました。
1週間ほどの一人旅をしていたのですが、その最終目的地がアダムス・ピークでした。
そこで泊まったのが、今の旦那のゲストハウスでした。
当時はゲストハウスだったのですが、その後、同じ敷地内にホテルを建設することになりました。
アダムス・ピークの魅力とは?
Q.「アダムス・ピークの魅力はなんでしょうか?」
山崎さん:スリランカ最大の聖山で、多くのスリランカ人や海外からの旅行者で賑わうことです。
山頂からの朝陽や影富士ならぬ影アダムス・ピークが見られることもあります。
絶滅危惧種で固有種のカオムラサキラングールなど、珍しい動植物に出会えるのも魅力ですね。
Q.「オフシーズンとオンシーズンで、楽しみ方に違いはありますか?」
オンシーズンもオフシーズンも基本的には変わりません。
オンシーズンは、12月の満月から5月の満月までです。
この間に多くにスリランカ人が各地からやってきます。
オンシーズンの満月の日や金曜日・土曜日は特に混み、状況によっては山頂まで辿り着けない場合もあります。
多くのゲストは深夜にアダムス・ピークを登り始め、山頂で朝陽を見るのが一般的です。
しかし、オフシーズンは殆ど雨の場合が多く、朝陽を見れない可能性も高いので、日中登る方も多いです。
また、オンシーズンは道中に灯が灯りますが、オフシーズンは夜登るのであれば懐中電灯が必須になります。
日程に余裕があるのであれば、連泊をお勧めしています。
周辺のおすすめスポット
Q.「アダムス・ピーク以外に周辺でできること、おすすめスポットはありますか?」
連泊される方は、周辺の滝や茶畑散策、紅茶工場に行くことが多いようです。
トゥクトゥクで1時間くらいで、「セント・クレアーズ・ティー・センター(St.Clair’s Tea Center)」や「ムレスナ・ティー・キャッスル(Mlesna Tea Castle)」へ行くことも出来ます。
翌日ヌワラエリヤへ行く際にそちらへ立ち寄るのもお勧めです。
ホテル、カフェ、ショップの特徴
Q.「建設中のホテルがどのようなものになるのか教えてください。」
外観はクラシカルなホテルです。
この辺りで珍しく庭があるホテルになります。
部屋の種類はスタンダード、ファミリールーム、
ホテルの名前にしている通り、
ホテルの前の道はアダム・ピークの登山道です。
この周辺には、外国人観光客が楽しめるカフェやギフトショップがありません。
そこでホテルの1階にカフェとショップを作っています。
カフェは基本的に宿泊されるゲストの朝食と夕食を提供していきますが、外からのゲストも受け入れるなど状況を見て、柔軟に対応してく予定です。
メニューは近くの工場で作られている紅茶やセイロンコーヒーをメインに揃えます。
また、販売可能であればギフトショップでも紅茶とセイロンコーヒーを取り扱う予定です。
その他、スリランカの特産品等で、
特にアダムス・ピークは、登山以外はリラックスして過ごす方が多く、
Q.「ホテルは欧米人、日本人、スリランカ人などどういった方々が泊まっていますか?」
これまでは9割が欧米人のゲストで、日本人は年間数組でした。
ファミリールームが出来たこともあり、ここ最近はスリランカ人の家族の宿泊も
日本人の皆さんにも、もっとお越しいただけたら嬉しいです。
スパイスアップからのお知らせ
山崎さんが経営するホテル「Hotel mango tree nearest Adam’s Peak」さんは、スリランカの観光・飲食・サービス産業の応援プロジェクトにもご参加いただいております。
事前に商品券をご購入いただき、新型コロナウイルス収束後、指定のお店でお支払いしていただいた金額より10%上乗せした金額の商品券としてお使いいただるというものです。
スリランカを訪れた際はHotel mango tree nearest Adam’s Peakにゆっくり滞在して、聖山スリー・パーダや周辺の豊かな自然を楽しんでいただけらと思います。
詳細はこちら>>>
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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