安く泊まれるジェフリーバワ建築ホテル「アヴァニベントタ」
ジェフリーバワ建築のホテルの中でも手頃な値段で泊まれるホテル「アヴァニ・ベントタ(Avani Bentota Resort & Spa)」を紹介します。
バワのホテルは、ヘリタンス・カンダラマ、ジェットウィング・ライトハウス、シナモン・ベントタ・ビーチなど大きなホテルが知られています。
それらは5つ星ホテルで、ハイグレードなホテルです。
一方で、バワの別荘地ルヌガンガ、バワの自邸ナンバー11、ザ・ラスト・ハウス、ブティック87など、住宅として設計された建物をホテルに改装したブティックホテルは部屋数が限られたスモールラグジュアリーなホテルです。
そんな中で、ある程度の規模がありながらも価格を抑えたホテルもいくつかあります。
その一つが今回ご紹介するアヴァニ・ベントタです。
目次
- 1 アヴァニ・ベントタとは?
- 2 一泊の値段はいくら?
- 3 バワ設計の鉄道駅舎を管理するアヴァニ・ベントタ
- 4 バワの写真が掲げられたレセプション
- 5 本館の中庭
- 6 絵が飾られたロビーラウンジ
- 7 ライブラリー
- 8 本館の大きな屋根と四角い穴
- 9 ヤシの木が並ぶオープンスペース
- 10 ビーチ
- 11 メインレストランとプール
- 12 バー
- 13 プール
- 14 本館1階の廊下
- 15 スパ
- 16 本館と新館の連結部
- 17 ユニークな丸い穴と四角い穴
- 18 バワらしい新館の階段
- 19 新館の3階の部屋(スタンダードルーム)
- 20 バワヴィラ
- 21 アラカルトレストラン
- 22 ディナービュッフェ
- 23 朝食ビュッフェ
- 24 アヴァニ・ベントタ周辺のバワ建築
- 25 アヴァニ・ベントタを予約する
アヴァニ・ベントタとは?
1967年、ジェフリーバワは政府からベントタをリゾート地として開発するプロジェクトの一環で高級ホテル、中級ホテル、複合施設の設計を依頼されます。
高級ホテルがシナモン・ベントタ・ビーチ(旧:ベントタ・ビーチ・ホテル)です。
中級ホテルが今回ご紹介するアヴァニ・ベントタ(旧:ホテル・セレンディブ)です。
複合施設がベントタリゾートエリアの入口にある銀行・交番・レストラン・ショップなどが入るベントタリゾートです。
高級ホテルとして位置づけられたシナモンベントタビーチは、ポルトガルが築いた要塞の土台の上に建てられ、スリランカのアーティストの作品を多数取り入れたスリランカの歴史と文化を伝えるホテルとして設計されます。
一方で、よりカジュアルなホテルとして作られたアヴァニ・ベントタは、鉄道のベントタ駅の向かいに位置し、ビーチにも歩いてすぐに出られる作りになっています。
1967〜1970年に建築され、1970年にオープンしています。
ホテルは人気となり、開業時に作られた本館に加えて、後年になって新館がジェフリーバワの設計で追加されています。
一泊の値段はいくら?
オフィシャルサイトを見ると現在(2021年5月24日)、一泊の価格は以下のようになっています。
スリランカは部屋ごとの料金ですので、一人でも二人でも同料金となります。
・スタンダードルーム(広さ:31m2、最大宿泊人数:2人)13,179円→2人宿泊の場合の一人当たり料金6,589円
・スーペリアルーム(広さ:38m2、最大宿泊人数:3人)14,379円→3人宿泊の場合の一人当たり料金4,793円
・デラックスルーム(広さ:83m2、最大宿泊人数:4人)19,499円→4人宿泊の場合の一人当たり料金4,874円
・アヴァニスイート(広さ:139m2、最大宿泊人数:4人)28,758円→4人宿泊の場合の一人当たり料金7,189円
・バワヴィラ(広さ:111m2、最大宿泊人数:4人)32,679円→4人宿泊の場合の一人当たり料金8,169円
バワ設計の鉄道駅舎を管理するアヴァニ・ベントタ
コロンボからベントタまで主に海沿いを走る鉄道の海岸線は別名「海の女王」とも言われ、雄大なインド洋を眺められます。
鉄道はアルトゥガマ(Aluthgama)の駅を過ぎると、ベントタ川にかかる橋を渡って、ベントタ駅に到着します。
このベントタ駅は、アヴァニ・ベントタによって駅の維持管理が行われています。
この駅舎の設計もジェフリーバワによるものです。
丸みを帯びた窓が特徴的です。
駅のプラットフォームは内陸側だけですが、海側の道路につながる陸橋があります。
これを渡ると、アヴァニ・ベントタの敷地の横に出ます。
そこから少し北側に線路沿いに歩いていくと、ホテルの入口があります。
バワの写真が掲げられたレセプション
車寄せのある入口を入ると、左手にショップがあり、そのまま真っ直ぐ進むとレセプションデスクがあります。
デスクの右手にはジェフリーバワの写真が掲げられています。
名前を告げると、レセプションの席に通され、ウェルカムドリンクを受け取った後に、支配人の手紙とともにルームキーが渡されます。
本館の中庭
レセプションの向かいであり、本館の各部屋の入口と向かい合っている中庭。
フランジパニの木や泳ぐ鯉が見られます。
奥の出窓はショップです。
展示されているジュエリーが見えます。
本館の2階の廊下から夜に中庭を見下ろした様子です。
左手奥がレセプションです。
右側の廊下を真っ直ぐいくとバー、プールがあり、新館につながります。
絵が飾られたロビーラウンジ
レセプションの奥はロビーラウンジになっています。
ロビーラウンジには、イスメス・ラヒームの絵が壁に飾られています。
バワ建築でよく見る大きなシャンディリアも見られます。
ライブラリー
レセプションを背にして右手側(北側)に、ライブラリーがあります。
本の他にピアノやビリヤードなどが置かれています。
本館の大きな屋根と四角い穴
本館のビーチ側からの外観がこのホテルの特徴的なフォルムです。
大きな屋根に四角い穴があいています。
この穴は、2階の部屋にも光を入れ、ビーチの眺めを確保するために作られたものです。
そして、この穴は1階の部屋の中庭に光を差し込ませる役割も担っています。
ヤシの木が並ぶオープンスペース
本館の前は、ヤシの木が並ぶオープンスペースになっています。
地面は緑で敷き詰められているため、裸足で心地良く歩くこともできます。
ヤシの木の先はビーチです。
ビーチ
ホテルのベンチとビーチパラソルが設置されていて、ビーチでゆったりすることもできます。
ビーチからホテルの方を見ると、ビーチとの間にヤシの木などの緑が、潮風からのクッションになっているのが分かります。
メインレストランとプール
本館の北側にはメインレストランとプールがあります。
こちらはバワの設計ではなく、後年になって付け加えられたものだそうです。
朝食や夕食のビュッフェはこちらのレストランで頂きます。
レストラン側から本館を見た景色。
バー
レストランと反対の本館の南端はバーになっています。
プール
バーの向かいはプールです。
この写真の奥に見えるのが「バワ・ヴィラ(Bawa Villa)」、
左手に見えるのが後年に追加された新館です。
本館1階の廊下
本館1階の中庭側は、客室及び新館・プール・バーを繋ぐ廊下になっています。
この柱が並んだロッジアも、山口さんが著書『熱帯建築家』にバワらしい部分として取り上げています。
スパ
トリートメントを受ける個室を繋ぐ廊下も、同じように中庭に面したロッジアとなっています。
トリートメントを受けるベット。
本館と新館の連結部
本館と新館の連結部には小さな中庭があります。
左手に手間にスパの入口があり、人が写っているのはジムの入口です。
右手に絵と丸い穴が見えます。
絵は要塞を描いたもののようです。
ユニークな丸い穴と四角い穴
山口由美・隈研吾著『熱帯建築家:ジェフリーバワの冒険』では、この穴がアヴァニ・ベントタの紹介ページのカバー写真に使われています。
新館の一階部分の中庭を縦に覗き込むことができ、窓の四角が遠近のため、段々と小さくなって並んでいる様子が見られる。
一番奥は、この覗き窓と同じ丸い形をしています。
こちらは新館二階の部屋に続く通路から撮影した写真です。
下に中庭が写っています。
本館は屋根に穴が開いた部屋ごとの中庭はベランダ側(ビーチ側)にありましたが、新館は部屋の入口側に中庭があります。
バワらしい新館の階段
こちらも同じく、山口由美・隈研吾著『熱帯建築家:ジェフリーバワの冒険』で、手すりの形が特徴的でバワらしい階段と紹介されていました。
バワの自宅ナンバー11や、シナモン・ベントタ・ビーチでも見られると、真っ白な壁に手すり部分の黒がアクセントになっている階段です。
新館の3階の部屋(スタンダードルーム)
先ほどの新館の中庭を見下ろした四角い窓がある廊下を渡ると2階の部屋があります。
そこから階段を上がったところに3階の部屋があります。
このホテルで最も安いスタンダードルームです。
スタンダードルームのベランダからはプールが見渡せます。
バワヴィラ
独立した建物になっている「バワヴィラ」です。
ビーチにもプールにもすぐに出られる位置にあります。
その奥にアラカルトレストランの建物が見えます。
アラカルトレストラン
アラカルトレストランはオーシャンビューです。
ビッフェではない特別なメニューをこちらに用意してもらうこともできます。
また、ビーチでのスペシャルディナーやバーベキューなどもあります。
ディナービュッフェ
メインレストランでの夕食の写真をいくつか紹介します。
アクションキッチンがあり、オーダーするとその場で作ってくれます。
トルティーヤを作っている様子。
出来上がったトルティーヤ。
フルーツ。
デザート。
朝食ビュッフェ
続いて朝食の様子です。
アヴァニ・ベントタ周辺のバワ建築
アヴァニ・ベントタがあるベントタには、バワ関連の建築が多くあります。
宿泊費は抑えつつも、バワ建築に泊まり、他のバワ建築を見るのもいいでしょう。
・バワ初期の傑作とされるシナモン・ベントタ・ビーチが隣にあります
・内陸側にはバワの別荘地ルヌガンガ、兄ベヴィスの庭ブリーフガーデンがあります。
・線路沿いにはバワが一時期所有したパラダイス・ロード・ザ・ヴィラ、ホテル・セレンディブ(現:アヴァニ・ベントタ)の支配人がバワに設計を依頼したクラブヴィラがあります。
・ゴールロード沿いには、イタリア人彫刻家の自宅兼アトリエとしてバワが改装したブティック87と、アーユルヴェーダ施設のヘリンタンス・アーユルヴェーダがあります。
このうち、見学を受け入れているのがルヌガンガ、ブリーフガーデン、ブティック87で入場料、あるいはツアー料金を払います。
食事やカフェ、レストランとしても利用できるのが、シナモン・ベントタ・ビーチ、パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ、クラブヴィラです。
ヘリタンス・アーユルヴェーダはアーユルヴェーダ施設のため、見学ツアーやレストラン利用は難しいですが、お願いをすれば共有部分は見学させていただけるでしょう。
ゲートからメインビルディングまでは広大な庭が続き、バギーに乗せて連れて行ってくれます。
参考)
KAJA DESIGN:大胆な色使いや発想に触れた、インテリアデザイナー筒井の気付き
アヴァニ・ベントタを予約する
アヴァニ・ベントタはBooking.comから予約可能です。
Booking.comのアヴァニ・ベントタのページはこちらです。
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参考)
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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