ジェフリーバワの兄ベヴィスバワの自邸・庭園「ブリーフガーデン」
ジェフリーバワには10歳年上の兄ベヴィスバワがいました。
ベヴィスはイギリス領セイロン総督の副官を務め、セイロン軽歩兵隊の少佐、セイロン陸軍創設時の少佐を務めた後に40歳で引退します。
そして、ベールワラ郊外の母から譲り受けたゴム農園を自邸として、庭園造りを行います。
ベヴィスの庭園「ブリーフガーデン」は評判を呼び、スリランカの芸術家が集まるようになり、海外からも著名人が訪れるようになります。
ベヴィスが庭造りを始めたのは、ジェフリーが建築家を目指し始めた頃です。
ジェフリーがロンドンのAAスクール(英国建築協会付属建築学校)で建築を学び、王立英国建築家協会に登録されてスリランカに帰国した頃に、オーストラリアの芸術家「ドナルド・フレンド」がブリーフガーデンで長期滞在を始めた時期と重なり、兄ベヴィスの庭園と、兄ベヴィスの庭園を訪れた人々との交流はジェフリーの建築家キャリアに大きく影響しています。
日本人としては、ブリーフガーデンには日本庭園があり、灯籠、五重塔、カエルと河童が見られるというのも注目の点です。
本記事ではベヴィスの庭園「ブリーフガーデン」を紹介します。
ブリーフガーデンとは?
1929年、バワ兄弟の母バーサがベヴィスが20歳の時に与えたゴム農園「ブリーフ農園」を、ベヴィスが自邸として庭園造りを行い「ブリーフガーデン」と名づけました。
このゴム農園は、父ベンジャミンが生前に、弁護料(ブリーフ)で購入した土地であったことからその名が付いたとも、言われています。
1949年、40歳となったベヴィスはセイロン陸軍を引退し、ブリーフ農園に移り住み、庭園造りをはじめ「ブリーフガーデン(Brief Garden)」と名付けます。
ベヴィスの庭園は評判を呼び、ジェフリーバワと協働したことで知られる以下の人たちもブリーフガーデンを訪れています。
・オーストラリアのアーティスト「ドナルド・フレンド」
・バティックアーティスト「イナ・デ・シルヴァ」
・ファブリックデザイナー「バーバラ・サンソーニ」
・総合アーティスト「ラキ・セナナヤケ」
この中でも、ブリーフガーデンに5年間ほど長期滞在したドナルドフレンドとベヴィスバワは二人で様々な彫刻、絵画などの作品を残し、それらが邸宅や庭園内に展示されています。
海外からも著名人がブリーフガーデンに訪れています。
・イギリス人俳優、映画監督、一代貴族の「ローレンス・オリヴィエ」
・イギリス人女優「ヴィヴィアン・リー」
・イギリス人俳優「ピーター・フィンチ」
・スウェーデン王女でデンマーク王妃「イングリッド・アヴ・スヴェーリエ」
・ウィンザー公爵(国王エドワード8世)
・推理作家「アガサ・クリスティ」
1969年、ジェフリーバワが設計したベントタビーチホテル(現:シナモン・ベントタ・ビーチ)が開業し、ベントタに観光客がくるようになり、ブリーフガーデンを一般公開します。
それ以降、人気の観光スポットとなっていきます。
ベヴィスバワは1992年に84歳で亡くなっています。
ベヴィスの死後は、ベヴィスのアシスタントマネージャーをしていたDooland De Silvaがブリーフガーデンを所有・管理しています。
ベヴィスバワについては、以下の記事を参照ください。
ドナルドフレンドとは?
1915年2月6日にシドニー生まれたアーティスト、日記作家。
シドニー、ロンドンで芸術について学び、
1930年代にナイジェリアのイケレの王の財務アドバイザーを務めます。
第二次世界大戦中はオーストラリアの軍隊に入隊しています。
1950年代にイタリアに何度も渡航。
1957年〜1962年にブリーフガーデンに滞在。
ブリーフガーデンでの創作の他に、バーバラ・サンソーニとスケッチの旅に出掛け、テラコッタのタイル制作を行っています。
また、イスメス・ラヒームはドナルド・フレンドから金箔やアルミニウムを使ったレリーフの制作の技術を学んだそうです。
1968年〜1980年はバリ島に滞在しています。
1972〜1975年にジェフリーバワによって建築されたバリ島のサヌールにある「ヴィラ・バトゥジンバール(Villa Batujimbar)」は、ドナルド・フレンドがジェフリーに設計を依頼しています。
その後、バトゥジンバールは鹿島建設の鹿島社長が、アマンリゾート創業者のエイドリアン・ゼッカが所有したことから、ジェフリーバワとアマンリゾートの関係が語られるようになります。
メインバンガロー
ブリーフガーデンについて、紹介していきます。
メインバンガローの前に大きなフランジパニの木があるのは、ルヌガンガと似ています。
ジェフリーバワの建築でもよく見る、窓の扉のデザイン。
内部から窓を見ると、こう見えます。
ライブラリー。
作品やコレクションが多く展示されています。
ドナルドフレンドによる壁画。
横にドナルドフレンドとベヴィスバワの写真が掲載されたボードがあります。
外につながる階段。
ベランダ。
バンガロー周辺の彫刻
水の階段
池につながる階段
小径
」
広場
ムーンストーンのある階段。
日本庭園
灯籠。
五重塔。
カエルと河童。
見学時の基本情報
【時間】8:00〜17:00(事前予約は不要)
【料金】2,000ルピー(約1,120円)※2021年11月19日現在
【住所】Brief Garden Kalawila Village, Beruwala 12070
【ウェブサイト】https://briefgarden.com
参照)
Great Gardens of the World:Brief Garden by Bevis Bawa
Brief Garden by Bevis
Landscape Australia Brief Garden
Sunday Observer Brief:for a brief split of escapism
ウィキペディア「ピーター・フィンチ」
ウィキペディア「イングリッド・アヴ・スヴェーリエ」
Wikipedia:Donald Friend
Art Institute Chicago Olowe of Ise’s Veranda Post | Art Institute Essentials Tour
Villa Batujimbar
>関連記事
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
# 関連キーワード
新着記事
-
Spice Upインターンのまとめ
アユボワーン!ワナカム!(こんにちは) 私は、約3か月間Spice Upでインターンを経験しました。本記事では、このインターンで得た学び、スリランカでの特別な思い出、そして今後の展望について振り返ります。 目次1 はじめ…
2024年12月03日 -
山村バウラーナの長屋(ラインハウス)再生プロジェクト
スリランカ中央部にある小さな村、バウラーナ。紅茶産業の発展とともに形成されたこの村では、今もインド系タミル人が住む「ラインハウス」が連なり、独自のコミュニティが形成されています。私はこの村でのホームステイや様々な体験を通…
2024年12月02日 -
Budo Sri LankaのKeerthiさんから聞いたスリランカの...
目次1 インタビューのいきさつ2 Budo Sri Lanka3 Keerthiさんの経歴4 なぜ武道を教えているのか5 この30年間でのスリランカの変化6 Keerthiさんが語る文化の大切さ7 インタビューから見えた…
2024年12月01日