紅茶鉄道の観光列車エッラ・オデッセイとドゥンヒンダ・オデッセイ
紅茶鉄道として知られるスリランカ鉄道メインラインには、ビューポイント10か所(ナインアーチズブリッジでは10分間停車)に停車する観光列車が週4便運行されています。
2022年に運行を開始したエッラ・オデッセイ(Ella Odyssey)、2024年に運行を開始したドゥンヒンダ・オデッセイ(Dunhinda Odyssey)の2つがありますが、スリランカ鉄道の予約サイトで確認した上では、発車の曜日が異なるだけで、内容は全て同じようです。
目次
エッラオデッセイとドゥンヒンダオデッセイとは?
2022年4月から運行を開始した紅茶鉄道(メインライン)の観光列車がエッラオデッセイで、2024年の4月から増便された観光列車がデゥンヒンダオデッセイです。
オデッセイは、ギリシャ神話の英雄オデュッセウスがトロイア戦争勝利後の10年間にもおよぶ漂泊を語る長編叙事詩『オデュッセイア』に由来し、長い冒険旅行を意味します。
始発のコロンボフォート駅から終点のバドゥッラ駅まで10時間半に及ぶ長い鉄道旅行に、その名をつけたようです。
エッラオデッセイはナインアーチズブリッジに近い観光の町エッラに由来し、ドゥンヒンダオデッセイは終点のバドゥッラの北郊外にあるドゥンヒンダ滝に由来します。
エッラオデッセイは当初、コロンボ木曜日5:30発~バドゥッラ15:53着、バドゥッラ金曜日9:15発~コロンボ19:20着の週1便で運行が始まり、2022年9月からはコロンボ土曜日発・バドゥッラ日曜日発の週末便が追加されたようです。
そして、メインライン全線開通100周年である2024年の4月からは週3便でドゥンヒンダオデッセイが運行を開始しています。当時のニュース記事で確認すると、ドゥンヒンダオデッセイはエッラオデッセイよりも出発時刻が異なり、コロンボ6:30発-バドゥッラ17:37着(火・金・日)、バドゥッラ8:00発-コロンボ18:51着(月・水・土)と記載されています。
ただし、2024年10月にスリランカ鉄道の予約サイトで検索すると、エッラオデッセイとドゥンヒンダオデッセイの発着時刻はコロンボ5:30発~バドゥッラ15:53着、バドゥッラ8:00発-コロンボ18:20着で統一されています。
スリランカ鉄道の予約サイトで検索すると、コロンボを火曜・金曜・日曜に出発するのがドゥンヒンダオデッセイ、土曜に発車する列車のみエッラオデッセイと表示されます。バドゥッラを月曜・水曜・土曜に出発するのがドゥンヒンダオデッセイ、日曜に発車する列車のみエッラオデッセイと表示されます。違いはそれだけのようです。
時刻表
コロンボ発(火・金・土・日)
コロンボ5:30発
キャンディ8:13着
ハェトン10:35着
ナーヌオヤ12:02着
エッラ14:41着
バドゥッラ15:53着
バドゥッラ発(月・水・土・日)
バドゥッラ8:00発
エッラ8:54着
ナーヌオヤ11:25着
キャンディ15:00着
コロンボ18:20着
停車及び減速するビューポイント
オデッセイ列車が停車及び減速する10か所
駅ではない以下の10か所に一時停車します。
ホーステイル滝:2分
アダムスピーク:2分
セイントクレア滝:2分
エルギン滝:2分
スリランカ鉄道最高地点:2分
18番トンネル:3分
ウインドブレイク(スラン・カポッラ):3分
キタル滝:3分
ナインアーチズブリッジ:10分
デモダラループ・デモダラトンネル・デモダラ鉄橋:停車せず
美しいとされる駅を含めたビューポイント
停車する通常の駅の中にも、ビューポイントとして名が挙がる駅があります。それらを含めたビューポイントを区間別に分けると以下のようになります。
■キャンディ駅~ナーヌオヤ(ヌワラエリヤ)駅間
ホーステイル滝:2分
アダムスピーク:2分
セイントクレア滝:2分
グレイト・ウェスタン駅:4分
■ナーヌオヤ(ヌワラエリヤ)駅~エッラ駅間
エルギン滝:2分
スリランカ鉄道最高地点:2分
18番トンネル:3分
オヒヤ駅:
イダルガシンナ駅:10分
ウインドブレイク(スラン・カポッラ):3分
キタル滝:3分
■エッラ駅~バドゥッラ駅間
ナインアーチズブリッジ:10分
デモダラループ・デモダラトンネル・デモダラ鉄橋:停車せず
より詳細な路線の解説については、以下のページを参照下さい。
乗車運賃
1等車(エアコンサローン)、2等車、3等車の3タイプがあり、価格と席数は以下の通りです。
1等車: 176席 8,000ルピー(エアコン車で窓が開けられない)
2等車: 144席 6,000ルピー
3等車: 39席 5,000ルピー
1等車は窓が開けられないので、2等車あるいは3等車がお勧めです。
エッラオデッセイの運行前から運行されている観光用の車両といえば、InterCity列車の最後尾の列車で全面窓ガラスのオブザベーションシートでした(窓は開けられません)。InterCityのオブザベーションシートは現在も運行されていますが、ビューポイントには停車しません。
ちなみに、InterCityのオブザベーションシートは44席 3,000ルピーです。
それ以外のメインラインを通る列車でも車窓から紅茶畑や滝の景色を楽しむことができます。
乗車駅と下車駅
オデッセイ列車に限らず、メインラインを走る鉄道はコロンボからバドゥッラへの下り列車の方が予約が埋まりやすく、混雑します。
逆にバドゥッラからコロンボへの上り列車は予約席が空いていて、車内も混雑していません。
写真や動画を撮影するには、バドゥッラ方面から乗車する方が良いかもしれません。
また、バドゥッラから乗車した場合は、そこがすぐに紅茶栽培地であり、停車するビューポイントも近く、景色をしばらく楽しんであとは、ゆっくり寝ることもできます。
コロンボから乗車すると、紅茶栽培地域やビューポイントに到着するまでに3時間ほどかかりますので、それまでに疲れてしまうかもしれませんし、眠ってしまって、ビューポイントを見逃してしまうかもしれません。
ただ、コロンボから段々と山を登って、バドゥッラを目指すのは旅情を誘いますので、予定と席の空き状況で判断するといいでしょう。
コロンボ方面から乗車する場合
オデッセイ列車が停車するビューポイントがあるのはキャンディ~バドゥッラ間です。
シーギリヤやキャンディなどの世界文化遺産を観光した後に乗車する方は、キャンディ駅から乗車してバドゥッラを目指すといいでしょう。
コロンボから乗車する方は、コロンボ~キャンディ間の景勝区間がある、バラナ~カドゥガンナワ間は崖を走り、バイブルロックを遠くに眺めることができますので、是非その景観を楽しんでください。
下車する駅は、エッラ駅はナインアーチズブリッジの前にあるため、エッラ駅ではなく、次のデモダラ駅がお勧めです。
デモダラ駅で降りると、乗ってきた列車がデモダラループを回って、デモダラトンネルをくぐっていく様子も見ることができます。デモダラ駅周辺はホテルやレストランが少ないので、エッラに戻って宿泊するのが良いでしょう。エッラには観光客向けのホテル、レストラン、カフェがたくさんあります。
終点のバドゥッラまで乗車すると、デモダラループ、デモダラトンネル、その先のデモダラ鉄橋を乗車しながら通過することができます。バドゥッラはウバ州の州都なので、イギリス時代の建築や寺院、ドゥンヒンダ滝などの観光スポットがあります。中規模のホテルが数軒あるので、一泊して、翌日にエッラに行ってもいいですし、バドゥッラで下車したら、エッラに戻るのも良いでしょう。
バドゥッラやデモダラからエッラへの移動は車が便利です。事前に車を予約して待っていてもらうといいでしょう。バスでも移動できますが、バドゥッラやデモダラをつなぐ国道16号線(A16)から離れていて、国道16号線と国道23号線が交差するKumbalwela Junctionのバス停でバスを乗り換える必要がある場合があります。
バドゥッラ方面から乗車する場合
ナインアーチズブリッジを見るには手前のデモダラ駅、あるいは始発のバドゥッラ駅から乗るといいでしょう。
デモダラ駅から乗ると、列車がデモダラトンネルを抜けて、デモダラループを上がってくる様子を見られるでしょう。
バドゥッラ駅から乗ると、デモダラ鉄橋、デモダラトンネル、デモダラループを乗車して体験することができます。
降りる駅はビューポイントを全て見るなら、キャンディ駅以降に降りることになります。キャンディ駅で降りて、キャンディの町を観光するのもいいでしょう。
ナーヌオヤ(ヌワラエリヤ)駅で降りると、10にビューポイントのうち7つを見られます。
ナーヌオヤの先に午後の紅茶のCMで目黒蓮さんが乗車したタラワケレ駅があります。下り列車の時刻表を見ると通過するようですが、日曜日出発のエッラオデッセイの上り列車(バドゥッラ発)の場合、13:35-13:50と15分間停車するようです。
予約方法
エッラオデッセイ、ドゥンヒンダオデッセイともに全席予約制です。
以下のスリランカ鉄道の予約サイトからチケットを購入できます。
https://seatreservation.railway.gov.lk/mtktwebslr/
参考)
BBC:Sri Lanka’s most beautiful train journey
NEWS 1ST:“Ella Odyssey” – Two more additional journeys
CEYLON EXPEDITIONS:Ella Odyssey Train Booking Sri Lanka (New Update)
Sri Lanka Railway Forum:The Ella Odyssey Train
Lakpura:The Ella Odyssey Train
ADA derana:‘Dunhinda Odyssey’ special luxury tourist train inaugurated
ceylon hunt:“Dunhinda Odyssey” The Luxury Train From Colombo to Badulla
SRI LANKA RAILWAYS:Dunhinda Odyssey Train
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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