スリランカ最大の鉄道駅「フォート駅」
コロンボのペターの端にあるスリランカ鉄道の最大の駅であるフォート駅(Fort Railway Station)は、コロンボとスリランカ各地を結ぶ交通ハブです。
1917年に開業したこの駅、実はコロンボにおける3代目のターミナス駅です。
本記事では、フォート駅の歴史と概要、使い方について解説します。
目次
フォート駅の歴史
1代目のコロンボターミナス駅
世界初の鉄道は1830年に開業したリヴァプール&マンチェスター鉄道ですが、インドの鉄道開業は1853年、そしてスリランカの鉄道開業は1864年で、日本初の鉄道である横浜~新橋の開業1872年よりも8年早く開業しています。
スリランカ鉄道は、キャンディ周辺で収穫されたコーヒーをコロンボ港に運ぶために建設されました。
スリランカ鉄道開業当時のコロンボのターミナス駅(終着駅)は、現在の鉄道局本部の隣接地、旧国立鉄道博物館及び車両基地の一部となっているコロンボターミナス駅(Colombo Terminus railway station)です。
1908年に閉業して、2代目となるマラダーナ駅のターミナス駅としての役割を明け渡します。
コロンボターミナス駅の2/3は車両倉庫を建設するために取り壊され、残りの1/3が国立鉄道博物館として公開されていましたが、2014年に国立鉄道博物館がカドゥガンナワに移転し、現在は閉鎖されています。
旧ペター駅と旧フォート駅
1867年に海岸鉄道(Coastal Line)が開業し、ペター地区のベイラ湖沿いにペター駅が、フォート地区のベイラ湖沿いにフォート駅が建設されました。
ペター駅があった場所は、現在のM. D. グナセナ書店の向かい、100番や101番のバスの終点となっているバス停がある位置です。

旧フォート駅は現在のセクレテリエト・ホールト(Secretariat Halt)駅の場所です。
現在のフォート駅はペター地区にありながら、その名がフォート駅となっていて、紛らわしいですが、この当時は地区ごとに駅があったのです。(品川駅が港区にあり、目黒駅が品川区にあるような紛らわしさ)
そして、開業時の東海道線の品川駅が海岸付近に作られ、海岸線に沿って線路が敷設されていましたが、マラダーナ駅からコッルピティヤ駅にかけてはベイラ湖沿いに沿って線路は敷設され、コッルピティヤ駅以南は海岸線に沿って敷設されたわけです。
初代フォート駅は1878年に開業し、2代目のもう少し大きなフォート駅はレイクハウスの裏側、現在の線路がカーブしているところに1883年に開業しています。
2代目ターミナス駅「(ニュー)マラダーナ駅」

マラダーナ駅は現在のマラダーナ駅の前にオールドマラダーナ駅といえる木造のマラダーナ駅が1889年にコロンボターミナス駅の隣接する形で作られています。
その後、コロンボターミナス駅に変わる新たなターミナス駅として、1908年に現在のマラダーナ駅が開業しています。
現在のマラダーナ駅はゴール、マータラ行きなどの海岸鉄道の始発駅となっています。
以前はケラニ渓谷鉄道の始発駅でもありましたが、現在はフォート駅がケラニ渓谷鉄道の始発的になっています。
ベイラ湖を埋め立てて建てられたフォート駅
マラダーナ駅が手狭りになり、ペター駅とフォート駅を統合して、より大きな駅舎をペター駅とフォート駅の中間地点を埋め立てて建設します。
コロンボのターミナス駅として3代目、フォート駅と命名された駅としても3代目となる現在のフォート駅です。
1911年に駅舎が完成するも、線路の工事の完了が遅れ、その間に第一次世界大戦が勃発し、駅舎は一時的に食料貯蔵庫として使用された後に、1917年に駅として開業しています。
駅舎はマンチェスター・ヴィクトリア駅風に造られたそうです。
オルコット像とオルコット通り
1967年(オルコットの没後60年にあたる)、オルコットが設立した仏教神智学協会の本部が鉄道駅と接続するレイルウェイロード(Railway Road)と繋がるノーリスロード(Norris Road)にあったことから、道路を拡張・連結して、現在のオルコット通り(Olcott Mawatha)が命名されています。
それと同時に駅前にオルコット像が設置されました。

オルコット通りにはノーリスの名を残す食堂が今も残っています。
フォート駅の概要
チケットカウンター
日本の鉄道では券売機でその鉄道の駅であれば、全て購入することができますが、フォート駅ではチケットカウンターが17あり、それぞれ購入できる行先が異なります。
自分が乗りたい列車のチケットがどのカウンターで売っているのかをまず確かめる必要があります。

マウントラビニアなど近場の海側に行くのであれば、12~14番窓口でチケットを買います。

キャンディへのチケットは1~4番窓口だったと思います。

事前に特急列車を予約する場合は17番ブースに行きます。
ツーリストインフォメーション

自分が乗りたい列車のチケットがどのチケットカウンターで売っているか分からない場合は、各チケットブースで聞いても教えてくれますが、ツーリストインフォメーションで聞くこともできます。
人の対応していたり、並んでいると時間がかかるため、チケットカウンターかツーリストインフォメーションの空いている方で確かるといいでしょう。
プラットフォーム

10のプラットフォームがあり、行先によってプラットフォームが異なります。
チケットを買ったカウンターの人に確認する、あるいはホームに入場した際に駅員さんにどのプラットフォームに列車が来るのか確認するといいでしょう。
列車の遅れで、間違った列車に乗ってしまわないように、プラットフォームで待っている他の乗客にも行先・列車について確認するといいでしょう。
主にキャンディ行は2番ホーム、マウントラビニアやゴール行は5番ホーム、チラウ行は1番ホームから発車します。
関連記事・参考
Daily FT:The 100-year-old Fort Station
Thuppahi’s Blog:A History of the Colombo Railway Station via Familial Lore
Wikipedia:Fort railway station
SRI LANKA RAILWAYS:Colombo Fort Railway Station
Wikipedia:Colombo Terminus railway station
Wikipedia:Maradana railway station
It’s about time:Olcott Road
SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
SPICE UP TRAVELS (PVT) LTD Managing Director
「旅と町歩き」を仕事にしようとスリランカに移住。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、六本木の人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長を経てネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、スリランカに初めて渡航し、法人設立の準備を開始。
2017年1月、SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTDを登記。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ観光情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」オープン。
2020年8月、ニュースレターの配信を開始。
2020年10月、WAOJEコロンボ支部立ち上げ初代支部長に就任。
2023年2月、スリランカ日本人会理事・広報部長に就任。
2025年6月、SPICE UP TRAVELS (PVT) LTDを登記。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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