戦国時代の英雄の丘に建つミャンマー寺院
コロンボのマーリガーカンダの最高地点には貯水池があり、その近くに100年ほどの歴史があるミャンマー寺院があります。
本記事では、ミャンマー寺院のマクタラマ寺院とマーリガカンダについて紹介します。
シーターワカ王国の王が布陣したマーリガカンダ
スリランカ戦国時代の英雄で、ムッレリヤワの戦いでポルトガル軍を撃退したことでライオン王(ラージャシンハ)と呼ばれたシーターワカ王国の王ラージャシンハ1世が、ポルトガルのコロンボ要塞を包囲した際に、陣地を置いたのがコロンボの小高い丘であるマーリガカンダです。
キャンディの仏歯寺はシンハラ語では「ダラダー・マーリガーワ(仏歯の宮殿)」と言い、英語名キャンディの由来はシンハラ語の「カンダ・ウダ・ラタ(山の上の国)」ですが、マーリガカンダは「宮殿の丘」という意味です。
ラージャシンハ1世が陣地を構えた丘であることからその名がつきました。
ラージャシンハ率いるシーターワカ王国軍は、兵士5万人、ゾウ2200頭、牛4万頭、小口径青銅砲150門で構成されていました。
さらにコロンボ要塞を海上封鎖するために軽ガレー船65隻が海上に布陣していました。
対するコロンボを守るのは、司令官ジョアン・デ・コレイア・デ・ブリトが率いるポルトガル兵300人、シンハラ兵(ラスカリン)700人、民衆6万人です。
ゴアからの救援を防ぐため、西海岸の雨季を狙って、シーターワカ王国軍は1587年6月4日にマーリガーカンダに布陣。
それを知ったブリトはゴアに小型船を送り、救援要請をします。
ラージャシンハ1世は、コロンボの南側のベイラ湖の水を抜くことから攻城戦を開始します。1ヶ月を要して水を抜くための掘削を行います。
8月3日の夜、ラージャシンハ1世は最初の攻撃を行います。ポルトガルの火力の前に敗れ、翌朝までに死者400人、負傷者2,000人を出します。
その後3回に渡ってコロンボ要塞への攻撃を行いますが、いずれも撃退されます。
雨季が終わりに向かい、9月11日にゴアからの最初のポルトガル軍の援軍が到着。
さらに10月4日、10月23日、11月4日、1588年2月15日、2月18日と援軍が到着し、ポルトガル軍は2000人となり、シーターワカ王国軍は撤退を決めます。
この戦いで、シーターワカ王国軍は5000人を失ったと言われています。
貯水池
マーリガカンダは2つの頂上があり、低い方の頂上にヒッカドゥウェ・スリ・スマンガラ僧侶が建学した仏教学校「ウィデヨーダヤ・ピリウェナ」と、アナガリーカ・ダルマパーラが創設した「マハボディ・ソサエティー」があります。
最も高い頂上には貯水池があります。
マクタラマ寺院
マクタラマ寺院は、貯水池道路(Reservoir Lane)沿いにあるミャンマー寺院です。
創建は1924年で、来年で100年目を迎えます。
菩提樹の奥に高いビルがあり、その横の階段を下りていくと、お堂があります。
ミンガラバー!ミンガラバー!と声をかけたら、ヤンゴン出身の32歳の若いお坊さんが出てきて、お話してくださいました。
100名を超えるミャンマー僧侶が暮らしているとのこと。
彼はケラニヤ大学への留学のため、先月にコロンボに来たばかりだそうです。
このままお坊さんを続けるのか、還俗して結婚するか迷っているとのことでした。
ビルマ文字の看板。
寺院がある場所は、ウィデヨーダヤ・ピリウェナとマハボディ・ソサエティーの丘を過ぎて、レザボワーレーンを登っていき、少し下ったところです。
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
# 関連キーワード
新着記事
-
“スリランカにおける現代ファッションを徹底調査”
年間を通して高温多湿の南国、自然豊かで「インド洋の真珠」とも呼ばれるスリランカ。日本とは全く異なる気候に住むスリランカの人々が普段どのような服を着ているのか、どのような服を好むのか知っていますか? 欧米諸国の人々のファッ…
2024年11月14日 -
世界遺産ゴール・フォートの中にある“好立地”ホテル「The Fort ...
私は今回、世界遺産ゴール・フォートの旧市街の中にあるホテル「The Fort House」に宿泊してきました。 ゴールには数多くの宿泊施設がありますが、世界遺産である旧市街の中にあり、散策しやすい場所にある「The Fo…
2024年11月13日 -
バワが手掛けたスリランカ初のモダンリゾート「ジェットウィングラグーン」
ジェフリーバワが最初に手掛けたリゾートホテルが、1965年〜1966年に建設したブルーラグーンホテル(現:ジェットウィングラグーン)です。 バワのカントリーハウスであったルヌガンガは湖に突き出した半島を走る道を挟んで北側…
2024年11月12日