フランス流紅茶専門店「マリアージュフレール」とセイロンティー
1854年にフランスのパリで開業した紅茶ブランド「マリアージュフレール」。
本国フランスに次いで店舗数が多いのが日本で、500種類以上の紅茶を扱っています。
マリアージュフレールの代表的な紅茶は「マルコポーロ」。
マルコポーロは中国からヴェネツィアに帰る際にスリランカに立ち寄っており、東方見聞録でもスリランカについて記録を残しています。
いくつもあるマリアージュフレールのギフトボックスの中で、最初に紹介されているのは、この「マルコポーロ」と「ラトゥナプラ」です。
ラトゥナプラは、古代から世界に宝石の町として知られたスリランカの町です。
マリアージュは、英語のマリッジ(marriage)に当たり、婚礼用のブレンドティー「ウェデイング」にはセイロンティーが使われています。
本記事では、そんなフランス紅茶のブランド「マリアージュフレール」についてご紹介します。
目次
マリアージュフレールとは?
マリアージュフレールは、フランス語で「マリアージュ・兄弟」という意味です。
マリアージュ家の兄弟が設立に関わっていることから、この名前がついています。
また、マリアージュという言葉は、「料理と料理との相性がよい場合」「料理とワインとの相性がよい場合」の表現の手段の1つとして使われます。
マリアージュフレールは、ブレンドティーやフレーバードティーが評判のようですが、ブレンドティーの開発に力を入れるのは1930年から、フレーバードティーの開発を始まるのは1984年からです。
創業家の名前から、調合に力を入れていき、社名・ブランド名に二重の意味を持たせたのかもしれません。
フランス東インド会社とマリアージュフレール
1600年設立のイギリス東インド会社、1602年設立のオランダ東インド会社に続いて、1604年に設立されたフランス東インド会社はマダガスカル島を拠点として、ペルシャ、インド、東南アジアと交易を行いますが、オランダ、イギリスに後塵を拝します。
1664年、フランス東インド会社はコルベールによって再建され、ルイ14世によって国営貿易会社となります。
コルベールは、ブルボン朝最盛期のフランス王・ルイ14世に仕えた財務総監で、フランス東インド会社の再建、フランス西インド会社の設立、ルヴァン会社の設立、セネガル会社の設立、北方会社の設立、フランス領カナダ(ケベック)への初の大規模な植民団の派遣、フランス領ルイジアナへの植民を促進するなど、重商主義を推し進めた人物です。
アメリカ合衆国ルイジアナ州は、ルイ14世紀に因んでフランス領ルイジアナと名付けられたことに由来します。
この時代に、マリアージュ家のニコラス・マリアージュ(Nicolas Mariage)が、ペルシャ・インドで貿易に従事し、ピエール・マリアージュ(Pierre Mariage)がマダガスカルで派遣され、マリアージュ家はフランス東インド会社の交易に深く関わるようになります。
フランス東インド会社は、マダガスカル島、ブルボン島(現・レユニオン島)、フランス島(現・モーリシャス島)を中継地に、インド東海岸のポンディシェリ、シャンデルナゴルに拠点を築き、一時はイギリスを圧倒します。
1673年、フランス東インド会社はトリンコマリーのフレドリック要塞を占領しています。
マリアージュフレールの歴史
1843年、マリアージュ家はパリで初の茶の卸売のお店を開業します。
1854年、アンリ・マリアージュ(Henri Mariage)とエドワード・マリアージュ(Edouard Mariage)は、マリアージュ兄弟茶会社(Mariage Freres Tea Company)を設立します。
これが現在のマリアージュフレールです。
130年間は卸売のみを行い、フランス一流ホテルやティーショップに卸していたそうです。
1860年、紅茶のチョコレート「ショコラ・デ・マンダレン」を開発し、特許を取得。
1983年に小売企業に業態を転換します。
150年前にアンリ・マリアージュとエドワード・マリアージュが卸売店を開いたのと同じ場所に、パリ初となる紅茶専門店&ティーサロンを開業します。
現在はフランス19店舗、日本17店舗、イギリス2店舗、ドイツ2店舗を展開しています。
パリの4店舗はレストラン・ティーサロン・ティーミュージアムも備えた店舗になっています。
東京の銀座本店には、お茶の博物館、サロン・ド・テ、お茶の量り売りも行っています。
銀座松屋通店、新宿店、神戸店は、サロン・ド・テ、お茶の量り売りを、
青山店ではお茶の量り売りを行っていて、
その他の店舗ではパッケージされた紅茶が販売されています。
製造拠点もフランスと日本にあり、日本は重要な市場のようです。
直営店以外では、小売業者を通して60カ国に紅茶を販売しています。
5つ星を超える「パラス」の称号を持つ、パリ最古のホテル「ル・ムーリス」
バッキンガム宮殿の別邸とも称される、ロンドンの「クラリッジズ」
バンコク初の西洋式ホテルとして開業した「マンダリン・オリエンタル・バンコク」
日本航空(JAL)のファーストクラス
でもマリアージュフレールの紅茶が扱われているそうです。
マリアージュフレールの代表商品とセイロンティー
マルコポーロ
中国のフルーツとチベットの花のミックスフレーバードティー。
蓋を開けた瞬間に甘い香りが漂います。
ラトゥナプラ
デイタイムのオレンジペコー。
スリランカで宝石の町として知られる、ラトゥナ(宝石)町(プラ)に由来します。
ウェディング
セイロンティーをブランドした紅茶。
オレンジペコ セイロン
セイロンの上質紅茶とアロマの紅茶。
グラン ボワ シェリ
モーリシャスの紅茶にバニラフレーバーをつけた紅茶。
世界のバニラの8割はマダガスカル産だと言われていますので、フランス東インド会社とともに歩んだマリアージュフレールらしい紅茶だと思います。
ちなみに、マダガスカルとスリランカは宝石の島として知られ、同じ種類の宝石が取れますが、スリランカでもバニラが生産されています。
まとめ
フランス東インド会社は、スリランカの歴史上にもチラッと登場します。
セイロンティーというとイギリスのイメージが強いですが、フランス流でも楽しんでみてください。
関連記事
フランス東インド会社とイギリス東インド会社の争いについては、こちらの記事を参照ください。
デンマーク東インド会社、ポルトガル、オランダ東インド会社、フランス東インド会社、オランダ東インド会社、イギリスと占領者が次々と入れ替わったトリンコマリーのフレドリック要塞については、以下のページをご覧ください。
参照
MARIAGE FRERES公式ページ
TEA MAGAZINE「マリアージュフレールとはどんなお店?歴史やおすすめの紅茶」
エクスペディア「“サロン・ド・テ”と“カフェ”の違いは?パリで優雅なときを過ごすなら、どちら?」
Weblio辞書「マリアージュ」
ウィキペディア「マリアージュフレール」
Wikipedia「Mariage Frères」
ウィキペディア「フランス東インド会社」
世界史の窓「フランス東インド会社」
ウィキペディア「ジャン=バティスト・コルベール」
世界史の窓「コルベール」
ウィキペディア「フランス領ルイジアナ」
ウィキペディア「ルイ14世 (フランス王)」
ARKADEAR「Le Meurice」
JHC「世界の王族に愛されたパリ最高級のパラス」
ELLE「パリの超最高級ホテル「ル・ムーリス」に潜入」
Wikipedia「Le Meurice」
VOGUE「クラリッジズ(Claridge’s)」
ナツの初・海外(ロンドン)暮らし☆〜節約生活〜「最高級ホテル☆クラリッジズClaridge’s☆で最高のアフタヌーンティーを①」
Wikipedia「Claridge’s」
マンダリン・オリエンタル・バンコク
ウィキペディア「マンダリン・オリエンタル・バンコク」
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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