スリランカ鉄道の乗り方〜予約方法・時刻表など〜

スリランカの鉄道は、紅茶畑の中を走るキャンディ〜バドゥッラ間(景観地区は山間部を走るナワラピティヤ~バドゥッラ間)や、インド洋沿いを走るコロンボ〜ゴール間(景観地区は海岸沿いを走るコロンボ~マウントラビア間)、崖を駆け上がるコロンボ~キャンディ間(景観地区は山を登るランブッカナ~カドゥガンナワ間)は車窓からの絶景で知られています。
スリランカの鉄道は電化されていないため「電車」ではありません。
その古さが旅情を誘い、スピードが遅いため、絶景を楽しむことができるわけです。
また、鉄道はスリランカ旅行で最も安価な移動手段でもあります。
基本的にはバスよりも乗車時間は短く、バスよりも料金も安いです。
ただし、紅茶栽培地を迂回して走るキャンディ〜ヌワラエリヤ間についてはバスの方が所要時間は短いです。
一方で、本数が少ないため、事前に予約しておかないと、混み合って何時間も立ちっぱなしになることもあります。
本記事ではスリランカ鉄道の乗り方、時刻表、予約方法、1・2・3等席の違い、おすすめの路線、注意点などをご紹介します!
鉄道路線図
スリランカの鉄道は、国営のスリランカ鉄道1社のみが走っています。
そのため、いくつもの路線が走る日本のように路線は複雑ではありません。
上の図でオレンジ色で示したコロンボ〜キャンディ〜バドゥッラを結ぶ本線(Main Line)
上の図で赤色で示したコロンボ〜ゴール〜マータラ〜ベリアッタを結ぶ海岸線(Coastal Line)
上の図で紫色で示したコロンボ〜クルネーガラ〜アヌラーダプラ〜ジャフナを結ぶ北部線(Northen Line)
の3つが主に観光で利用される路線です。
それ以外の路線は1日に数本しか走っていなかったり、
コロンボへの通勤時間に合わせているため夕方にコロンボを出発する列車しかなかったり、
あるいは駅と観光地が離れているため、列車よりもバスや車が利用されます。
スリランカ鉄道の乗り方
スリランカ鉄道の乗り方についてご説明します。
予約方法(ネット予約 or 駅で事前に購入)
当日に買うと座れないことが多いため、事前に購入することをお勧めします。
予約は乗車日の1ヶ月前から可能で、スリランカ鉄道の予約サイトから購入するか、駅の予約窓口に行って購入します。
ネット予約の場合は、以下のサイトから購入します。
https://seatreservation.railway.gov.lk/mtktwebslr/
決済はクレジットカード、あるいはPaypalです。予約時にフルネーム、パスポート番号、電話番号、メールアドレスが必要です。
ネットで同時に買えるのは5人分までです。
以前はネットで予約した場合は、乗車前に17番チケットカウンターで乗車券をプリントアウトしてもらう必要がありましたが、現在は予約した後にメールで送られてくるEチケットをスマホで見せられば問題ありません。ただ、念のため印刷して持っておくことをお勧めします。
また、ネット上で売り切れていても、コロンボ・フォート駅の17番カウンターに行くと購入できる場合があります。
ゴールに向かう海岸線(Coastal Line)は午後の便2本しか事前には予約できないので、朝早い列車に乗れば座れる可能性が高ります。といっても本数が限られているため、列車の出発時刻よりも早めにプラットフォームで待機し、列車が到着したら座席を確保するため、いち早く乗り込みましょう。
駅でチケットを買う方法
実際に乗る駅から買う場合は以下のようになります。
- 各駅の窓口へ行く。
- 行き先を伝え、席のクラスを選べる場合は選ぶ。
- 料金を支払う。
- ホームで列車を待ち、自分のクラスの車両に乗る。
- 乗車中、または降車する際にチケットを確認される。
今いる駅ではないところから発車する長距離列車を予約する場合は、mTicketingサービスが利用可能な駅で購入ができます。
子ども料金
3歳以下の子供の場合、保護者と同じ座席に乗る場合は無料で乗車可能です。ただし、大人1人につき子供1人までです。
3歳以下の子供にも一席用意する場合は、大人と同じ料金が適用されます。
ペットの持ち込み
ペットの持ち込みは禁止されています。
チケットのキャンセル、払い戻し
チケットをキャンセルする場合のキャンセル料金は以下の通りです。
列車出発時刻までの時間に応じてチケット料金の払い戻し率が変わります。
168時間超(7日超) 75%
168時間未満かつ48時間超(2日超7日未満) 50%
48時間未満(2日未満) 0%
こちらの都合によるキャンセルではなく、ストライキや労働争議、悪天候、機械や線路関連の問題、その他やむを得ない緊急事態により、列車が完全に利用不可能になった場合は払い戻されます。
払い戻しは、mTicketingサービスが利用可能な駅でのみ請求できます。
払い戻しはチケット料金のみであり、サービス料(ネット予約の場合はカード決済で10%のサービス料がかかります)は払い戻されません。
払い戻しを受け取るには、乗客がmTicketingサービス対応駅に直接出向く必要があり、他のオンラインチャネルを通じて払い戻しを請求することはできません。
全額が支払いシステムを通じて払い戻されます。銀行口座への払い戻しには14〜30日かかる場合があります(苦情処理および銀行の処理期間によります)。
時刻表
列車には路線と車両ごとに決められた時刻表が存在し、スリランカ鉄道公式WEBサイトから列車の時刻や値段を確認できます。
また、グーグルで「出発駅名、到着駅名、Train」と検索すると、以下のサイトの時刻表が上位表示されます。(ただ、公式の時刻表と異なる場合があります。)
こちらのサイトのホームに戻ると、スリランカ鉄道公式サイトのように出発駅、到着駅、日付を入れて調べることもできます。
データを入れて検索すると、列車の時刻と料金が表示されます。
各列車をクリックすると、鉄道の到着時刻、利用可能な座席のクラスなど、詳細が見られます。
このように、スリランカの鉄道の時刻表はネットで確認が可能です。
しかし、列車は時刻表の通りに到着するわけではありません。
時刻表はあくまで目安として利用しましょう。
車両の設備
長距離を走る列車の場合、車両ごとにクラスがあり、設備と値段が異なります。
1等車(First Class)

1等車の車内
1等車は座席が左右に2席ずつ並びます。
1等車の種類は、展望車とエアコン付きの普通1等車の2つ。
ガラス張りで外の景色が見やすくなっている展望車(Observation Car)では、窓を開けて景色を楽しめます。
一方、エアコン付きの普通1等車は快適ですが、窓を開けられません。
1等車は全席指定席なので必ず座れます。
エアコンも付いていて快適なので、落ち着いて旅をしたい方は1等車を選ぶと良いでしょう。
1等車がない列車もあります。(ゴールに向かうコースタルラインは1等車がないものが多いです。)
2等車、3等車は破格の安さですが、1等車はグンと価格が上がります。
とはいえ、日本の電車に比べたら、破格に安いことには変わりません。
1等車は当日売り切れていることが多いので、事前予約をしておくことが必要です。
一等車は一人40kgまでの手荷物を持ち込み可能です。
2等車(Second Class)
2等車は座席が左右に2席ずつ並び、エアコンは付いていませんが、天井でファンが回っています。
窓は自由に開けられ、車窓から吹き付ける風と景色を楽しめます。
事前予約席と当日席に分かれているため、なるべく事前予約して席を確保しましょう。
3等車ほどは混みませんが、日時や路線によっては座れないこともあります。
チケットはギリギリに買うと売り切れていることがあるので、少し早めに駅に到着しておいた方が良いでしょう。
二等車は一人35kgまでの荷物を持ち込み可能です。
3等車(Third Class)
3等車は左右に3席ずつ座席が並んでいます。
エアコンもファンも付いていませんが、窓は自由に開けられます。
事前予約であれば座席指定なので座れます。
最も安く、景色を楽しみながら座っていくには、3等車を事前予約して乗車することです。
当日券(予約なし)の場合、日時や路線にもよりますが、写真の通り、3等車はかなり混み合います。
混んでいる場合、席に座ることは難しく、狭い通路のなか人に押されギュウギュウのまま立つことになります。
また、エアコンもファンもないので長時間停車する際はとても暑いです。
値段は2等車と大差ないので、当日券を買う場合は2等車を選ぶと良いでしょう。
三等車は一人25kgまで荷物を持ち込み可能です。
通勤列車
長距離列車や急行列車ではなく、短距離・各駅停車などの列車はロングシートのものもあります。
トイレはあるの?
トイレはありますが、ボットン様式でトイレの穴から下の線路が見えます。
駅のトイレや車両のトイレはそこまで綺麗ではないので、気になる方は事前に別の場所で済ましておいた方が良いでしょう。
より賢くスリランカ鉄道を利用する方法
Intern City・Expressの列車について
列車によってはInter CityやExpressといった主要駅のみに停車する、日本の新快速や快速のような列車が運行されています。
例えば、コロンボからキャンディ行きのIntern Cityの場合、Colombo Fort ,Gampaha, Rambukkana, Peradeniya, Kandyにしか停まらないので、キャンディへ2時間半で到着できます。
その次に早いのがExpressですが、同じExpressでも2時間45分ほどのものから、4時間かかるものまであるので、到着予定時刻を確認すると良いでしょう。
Commuterという列車は、各駅停車なので時間がかなりかかります。
ですので、列車の種類をチェックして乗ることも必要です。
列車の種類は上記で紹介した時刻表サイトで確認できます。
鉄道は早朝に乗るのがベター
スリランカの鉄道はよく遅れますが、早朝の場合は遅れる可能性が低くなります。
時間が遅くなるほど遅れてくる可能性が高いです。
また、時間が遅くなるほど列車内は混んできます。
ですので、朝早くに乗るほうが時間通り快適に鉄道を利用できるでしょう。
特にコロンボからゴール行きの海岸線は、特に混みやすいので、朝早くに乗車するのがおすすめです。
鉄道の旅おすすめポイント
早くて安い
スリランカでは公共交通機関を利用すれば、長距離の移動でもとても安くすみます。
例えば、コロンボからエッラまでは197キロメートル、列車で10時間かかる距離ですが、2等席で430ルピー、たったの約266円です。
ものすごく安いですよね。
さらに鉄道はバス移動よりも料金が安いし早いです。
安く快適に移動したいなら、鉄道での移動をおすすめします。
車内販売の人たち
車内では食べ物の販売も行われていて、くだものやポップコーン、ペットボトル飲料を販売する人がいたり、かごの中に揚げものを詰めたおじさんが「ワデーワデー」と言いながら車両内を歩き回る姿が見られます。
ワデーは豆をひいて野菜が混ぜ込まれたスリランカ料理。
長距離移動では小腹も空くので、チャレンジしてみてもいいかもしれません。
楽しそうなスリランカ人

多くのスリランカ人が身を乗り出している
長時間の退屈な列車を楽しい時間にしてくれるのが、現地のスリランカ人たち。
彼らは車内で歌を歌ったり、太鼓をたたいたりしてとても楽しそうに過ごしています。
そんな様子を見ているとなんだかこっちまで楽しくなってきます。
なかでも一番面白いのが、山岳部の路線でトンネル内を通過するとき。
車両がトンネルにさしかかった瞬間、スリランカ人達が一斉にフォー!とかヒュー!とか叫び出します。
何回も連続でトンネルを通過しても、律儀に叫び続けます。
これはスリランカ鉄道名物の1つと言えるでしょう。
絶景の景勝区間
海岸鉄道:コロンボ〜ゴール間
コースタルラインは主に海側を走るため、その車窓から絶景が楽しめます。
その中でも、海の目の前を走るのはコロンボ〜ワッドゥワ間です。
ワッドゥワ〜ゴール間も海が見える区間が断続します。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
紅茶鉄道:キャンディ〜バドゥッラ
紅茶畑が広がるハェトンから、イギリス植民地時代の建物が綺麗なヌワラエリヤ、欧米人に人気の観光地エッラを走る山間部の路線。
この区間では、橋の上で鉄道が大きく曲がる風景が楽しめるナインアーチズブリッジが有名です。(目黒蓮さん主演のキリン 午後の紅茶CM 「紅茶鉄道に乗って」にも登場します。)
この路線は絶景の紅茶列車としても世界的に知られており、「アジアで最も美しい車窓風景」と言われたりもします。
列車から見渡せる一面の紅茶畑は何とも美しく、ヌワラエリヤやエッラを歩きながら眺める紅茶畑とは一味違う景色が楽しめます。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ケラニ渓谷鉄道
コロンボ市内にある歴史あるゴルフ場「ロイヤルコロンボゴルフクラブ」を通り抜け、民家擦れ擦れを蛇行しながら走り、繊維問屋街のマハラガマなど国道4号線のコロンボ郊外の主要な町を通り抜けて、最後にポルトガル軍と果敢に戦ったシーターワカ王国の首都だったアウィッサーウェッラに到着するユニークな路線です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
鉄道利用の注意点
身を乗り出さない
スリランカの鉄道から見える海や緑の景色はとても綺麗。
列車から身を乗り出して撮影された写真などが、インスタグラムに多く投稿されています。
しかし、車窓から身を乗り出したり腕を出したりして、景色を見たり写真を撮影したりするのはとても危険です。
線路の横の木々や障害物、トンネルは急に現れますし、見えているよりも近くにあります。
実際に落ちる人もいるようなので、乗車する際は身を乗り出したりしないようにしましょう。
荷物から目を離さない
長距離の移動では眠くなってウトウトしてしまうかも知れません。
しかし、荷物や貴重品のスリには注意しなければいけません。
乗車中は自分の荷物をしっかり持っておくか、目を離さないようにしましょう。
車両内には荷物棚があり、そこに荷物を置けます。
その荷物にも一応気を配っておいたほうがよいでしょう。
スリランカ鉄道豆知識
寝台列車や食堂車がある
スリランカの鉄道では寝台列車や食堂車も走っています。
寝台列車は、海岸線以外の路線のNight Mailという夜の列車で利用することが出来ます。
寝台列車にも1等席、2等席などのクラスがあり、1等席にはベッドがありますが、2・3等席はベッドではなくただのゆったりした席です。
詳しくは≪こちらのサイト≫で確認できます。
食堂車(Dining Car)はスナックのような軽食を売っているコーナーがある車両です。
列車は他国から輸入されている
スリランカの鉄道を走る車両のほとんどは他国の中古車両を輸入したもの。
車両に書いてあるアルファベットと番号によって、その車両の車種、どこの国から来たものか判別できます。
国はイギリス、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、中国、韓国など様々です。
そのうちM6というドイツの車両が最も多く使われているそう。
日本の日立によって製造された車両もM8として使用されていたり、エンジンのみ日立のものが使用されたりしています。
ちなみに、M3という車両はスリランカで作られた列車です。
まとめ
今回はスリランカ鉄道の乗り方、予約や時刻表について、1・2・3等席の違い、おすすめ路線、注意点などをご紹介しました。
スリランカの鉄道は安くて早いし、鉄道だからこそ楽しめる魅力が多くあります。
今回で乗り方もマスターできたと思いますので、スリランカ旅行ではぜひ鉄道の旅も楽しんでください。
参照)
ウィキペディア:スリランカの鉄道
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