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シンハラ語3-20 季節と月の名前

2022年3月06日

本記事では、シンハラ語の季節と月の名前を学びます。

2つの季節「マハ」と「ヤラ」

4月〜9月の「ヤラ」
10月〜3月の「マハ」
と、スリランカには大きく二つの季節があります。

南西海岸が観光シーズンの「マハ」

「マハ」はスリランカ全土に恵みの雨をもたらす季節です。
スリランカの北東から季節風が吹き付けるため「北東モンスーン」とも言います。

風は寒いところから暑いところに吹きます。

冬(10月〜3月)に極寒になるシベリアからの風が、ヒマラヤ山脈の東側を抜け、ベンガル湾で水蒸気を吸って、スリランカの東海岸に到達し、スリランカの中央高地にぶつかって雲を作り、雨をもたらします。

スリランカの中央高地は東側はなだらなか斜面のため、東海岸に雨をもたらすとともに、スリランカ全土にも雨をもたらします。

スリランカの古代王朝はマハにのみまとまった雨が降る乾燥地帯に栄えたため、収穫が期待できるこの季節を”偉大な・大きな”という意味の言葉を当てたのでしょう。

コロンボ、ベントタ、ヒッカドゥワ、ゴール、ミリッサなどの南西海岸は、比較的晴れが多く、風が穏やかなため、サーフィン、ダイビング、漁業などのシーズンに当たります。

スリランカにヨーロッパからの観光客にとっては避寒のためにスリランカを訪れるため、スリランカにおける観光シーズンでもあります。

東海岸が観光シーズンの「ヤラ」

「ヤラ」は湿潤地域(ウェットゾーン)にのみ雨をもたらす季節です。
スリランカの南西から季節風が吹き付けるため「南西モンスーン」とも言います。

夏(4月〜9月)はユーラシア大陸が暑くなり、海の方が寒いため、インド洋からスリランカを通過して、シベリアの方に風が吹きます。

この時、スリランカの中央高地に風がぶつかって雲を作り、南西海岸と丘陵地帯を始めとした湿潤地帯に雨をもたらします。
スリランカの中央高地は西側の斜面が急なため、雨は湿潤地帯を中心にもたらされ、反対側の東海岸には乾燥をもたらします。

1年の始まりは「ヤラ」から

グレゴリウス暦は北半球が冬至となり、太陽の日照時間が短い時が1年の始まりと終わりになっています。
太陽の日照時間が長くなり、収穫期がまた訪れることを願って、お祭りなどが行われます。
タミル人の正月「タミルタイポンガル」は1月14日で、太陽の動きに合わせた正月なのでしょう。

一方で、シンハラ暦はマハの収穫期(2〜3月)が終わり、ヤラが始まる4月が新年になっています。

赤道に近いため、1年を通した日照時間の違いは少なく、収穫に影響するのは雨です。
季節風がもたらす恵みの雨(マハ)が、またもたらさせるように、マハが終わった時期に新年が設定されたのかもしれません。

新年を「アルッ・アウルッダ」と言います。
「アルッ」が新しい、「アウルッダ」が年という意味です。

ヤラは大事な行事が続く

ヤラはまず、新年があり、盛大に祝われますが、毎月のように大事な日が続きます。

5月の満月の日には、ブッタの生誕・成道・涅槃を祝って「ウェサク・ウッサワヤ」が行われます。
「ウッサワヤ」はお祭りを意味します。

ウェサクの飾り付けは6月の満月の日まで継続されます。
6月のポーヤデーも重要な日とされています。

7月のポーヤデーは、「ワス(雨安居のこと)」の始まりの日で、雨安居法要が行われます。
上座部仏教の国々では大切な日とされています。

仏教の発祥地であるインド北東部では7月から10月が雨季のため、雨安居になったとされていますが、スリランカの雨季とはずれています。

7月の新月の日から8月の満月の日にかけて盛大なパレードで知られる「エサラ・ペラヘラ」が行われます。
エサラ・ペラヘラは雨乞いの意味もあるそうですが、雨をもたらすマハが始まる2ヶ月前ほどに行われますので、エサラ・ペラへラを経て、雨がもたらされることになります。

ヤラに大事な日が続くことは、1996年4月1日に初版が発行された庄野護著『スリランカ学の冒険』に、スリランカでは4月〜7月に事件が多いと書かれていたことを思い出させます。

雨が少ないヤラであり、最も暑い月である4月、湿潤地帯に大量の雨がもたらされる5月などがある、事件が起きるのかもしれませんし、そうならないためにも、大事な行事があるのかもしれません。

以下、主な事件を挙げてみました。
他の時期にも重大事件は起きていますが、たしかに重大事件は4月〜7月に多いように思います。

1971年4月:JVP(人民解放戦線)が蜂起
1983年7月:第1次イーラム戦争の開始(暗黒の7月)
1987年4月:コロンボのバスターミナル爆破事件
1989年7月:JVPの鎮圧開始
1990年6月:第2次イーラム戦争の開始
1991年5月:インド元首相ラジーブ・ガンディーをLTTEが暗殺
1993年4月:民主統一国民戦線の議長ラリット・アトラトムダリが演説中に暗殺
1993年5月:プレマダーサ大統領をLTTEが暗殺
1995年4月:第3次イーラム戦争の開始
2006年7月:第4次イーラム戦争の開始
2009年5月:LTTEの殲滅、イーラム戦争の終結
2016年5月:ケラニア川沿い、ケーガッラなどで豪雨による洪水・地滑り
2017年4月:コロンボ郊外のゴミ山が崩落
2017年5月:マータラでの豪雨による洪水・土砂崩れ
2019年4月:連続爆破テロ事件

マハの行事

10月の満月の日に、ワス(雨安居)が終わり、仏僧に「カティナ・チーワラヤ」を渡す法要が行われます。
「カティナ」は”しっかりした・硬い”という意味があり、「チーワラヤ」は”法衣”の意味があります。

仏教発祥地のインド北東部では雨季の終わりのため、雨安居が終わりますが、スリランカではこの10月からマハに入り、雨がもたらされます。

10月の満月の日は、ミャンマーでは特に大事な日とされています。
5月の満月の日を最も大事にするスリランカでは6月の満月の日も大事にされるように、
10月の満月の日を大事にするミャンマーでは、11月の満月の日も大事にします。
ちなみに、ミャンマーもスリランカと同様に4月に正月を迎える国です。

各月の名前

各月の名前は、グレゴリア暦に相当する月の名前は英語由来の名前がついています。
英語のシンハラ語訛りといえるもので、グレゴリア暦については、英語で通じると思います。

ここでは、ポーヤデーと関わる太陰太陽暦のシンハラ暦について紹介します。
シンハラ暦はインドの暦と同様に4月から始まりますので、4月から順に紹介します。

■ヤラ
4月「バク」
5月「ウェサク」
6月「ポソン」
7月「エサラ」
8月「ニキニ」
9月「ビナラ」

■マハ
10月「ワプ」
11月「イル」
12月「ウンドゥワス」
1月「ドゥルトゥ」
2月「ナワン」
3月「メディン」

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