2026年スリランカ正月体験記|丸太の上で枕を振り回す!?伝統の「枕たたき」に挑んでみた
スリランカに春を告げるのは、4月中旬に訪れる「シンハラ・タミル正月」。
太陽の動きに合わせて新年を祝うこの国で特に大切にされているイベントで、家族で伝統料理を囲み、新しい一年の幸せを願います。
2026年、そんな温かな空気に包まれた中、とある村で開催された地元のイベントに足を運びました。そして、気づけば丸太の上で枕を手にして戦いに挑んでいました。
目次
スリランカのお正月(シンハラ・タミルお正月)とは?
なぜ4月なの?
日本では1月1日に新しい年が始まりますが、スリランカの本当の新年は、太陽が新しい星座へと移動する「占星術」のタイミングで決まります。そのため、お正月は毎年おおよそ4月13日〜14日ごろ。
もともとは豊かな収穫に感謝を捧げるお祭りだったこともあり、仏教徒のシンハラ人も、ヒンドゥー教徒のタミル人も、みんなが同じ日に手を取り合ってお祝いします。
1月1日もカレンダー上の新年としてお祝いはしますが、スリランカの人々にとって「心からの新年」はやっぱりこの4月。島中が新しい季節の訪れを待ちわびる、特別な空気感に包まれます。
分単位で決まる正月
スリランカのお正月で驚くのは、行事の時間が「分単位」で決められていること。
毎年、占星術師によって吉日・吉時が計算され、国民に発表されます。家族全員が同じ時間に同じことをする。まるで国全体が一つのリズムで動くような、不思議な感覚があります。
2026年のスケジュールはこちらでした
- 4月14日 03:08〜15:56 プンニャ・カーラヤ(空白の時間)
新旧の年が重なる時間は「凶の時間」と呼ばれます。 この間、人々はいっさいの仕事を休み、お寺への参拝など祈りの時間だけを過ごします。日本でいう「大晦日の静けさ」のような、スリランカ中が静まり返る、厳かなひとときです。
- 4月14日 09:32 新年の幕開け
占星術上、新年が始まる瞬間。この時刻に合わせて、爆竹の音が街じゅうに響き渡ります。
- 4月14日 10:51 かまどに火を灯す
新年最初の料理を始める時間。2026年は赤い衣装を着て、南向きで行うのが縁起がよいとされていました。ここでミルクを焚き、鍋からうまく吹きこぼれると、その年は豊かな一年になると言い伝えられています。
- 4月14日 12:06 食事、仕事、取引の開始
家族で新年最初の食事をとる時間です。また、この時間に「仕事始め」として手帳に何かを書いたり、親しい人と金銭のやり取り(取引の儀式)などをします。
- 4月15日 06:55 頭にオイルを塗る儀式
正月翌日の朝に行う、健康を祈願して頭に聖なるオイルを塗る儀式。
ただ実際にはスケジュールがうまくいかないこともあるみたいです。
話が弾んで時間を忘れ、外から聞こえてくる爆竹の音で「あ、もう次の時間だ!」と気づいたり、時間を全然違う時間だと勘違いしてあわてて用意したりもあるあるだと、現地の人が話してくれました…!
正月料理と過ごし方
お正月の食卓には、ミルクライス「キリバット」が必ず登場します。
ココナッツミルクで炊いたもちっとしたごはんで、切り分けて食べるのがスリランカ流。

一緒に並ぶのは、花の形がかわいらしい揚げ菓子「コキス」や、甘い伝統菓子「キャウン」。どれも手が込んでいて、お母さんたちが何日も前から準備するとのこと。

食事のあとは家族揃ってお寺へお参りし、それから親戚の家を一軒一軒訪ねてまわる。新しい服を身にまとって新年を迎える習慣もあって、年末の洋服屋さんはどこもにぎわいます。
お正月当日
お正月当日は、現地のご家庭にお邪魔して、伝統的なひとときを一緒に過ごさせていただきました。
新しい年の始まりに合わせて、街中のあちこちから爆竹の音が響き渡るのには本当にびっくり!スリランカの人々にとって、この音が新年の幕開けを感じさせる大切な合図なのだと実感しました。
みんなでのんびり座り、お話をする時間は、とても穏やかで楽しいひとときでした。
しあわせ溢れだすキリ・イティリマの儀式

スリランカでは、新年最初の家事として「かまどに火を灯し、ココナッツミルクを沸騰させる」大切な儀式キリ・イティリマ(Kiri Ithirima)があります。

みんなが鍋の周りにあつまり、見つめるココナッツミルクへの視線は真剣そのもの。

薪からパチパチと火が上がり、真っ白なココナッツミルクが温まってくると、しだいに表面が波打ち始めます。
だんだんとココナッツミルクがもこもこと泡立ち、限界までくると…

白い泡が鍋の縁から溢れ出しました!
このミルクの吹きこぼしこそが、新しい一年の豊かさと繁栄の象徴と言われています。
その他、新年のごはんの記事や、お正月の様子は2025年の記事に詳しく記載されています。ぜひこちらも併せてチェックしてみてください。
2024年の記事にはお正月のお菓子について紹介しています。
翌日、小さな村へ
お正月翌日は、コロンボからバスに揺られて約2時間。知り合いを訪ねて、緑豊かな小さな村へ向かいました。
この時期、スリランカ各地では地区ごとに「お正月運動会」のようなイベントが開かれます。会場に到着すると、そこにはすでにたくさんの地元の人が集まり、伝統的なゲームを楽しむ熱気に包まれていました。

驚いたのは、そのパワフルさ!
朝8時から始まり、日が暮れて暗くなるまで、イベントは丸一日続きます。途中、お昼に1時間ほどの休憩を挟む以外は、常に誰かが歓声を上げ、途切れぬことのないマイクパフォーマンスが続いていました。
老若男女が一緒になって競技を楽しみ、応援し合う姿からは、村の人たちの絆の強さが伝わってきます。言葉は完璧に分からなくても、そこにいるだけで「みんな元気!そしてみんな仲良し!」と感じる瞬間でした。
実際に見た催し物たち

町の力自慢たちの綱引き大会。
ルールは日本と同じ。大人中心のメンバーで戦います。女性の部、男性の部ともに大盛り上がり!

ガムテープで厳重にぐるぐる巻きにされた箱の中の時計が、「何時何分で止まっているか」を当てるという遊び。
参加費は20ルピー。受付で自分の名前と住んでいる場所、そして「この時間!」と予想時刻を伝えて応募完了です。見事的中すれば賞金がもらえるとのこと。
私はスケジュールの都合で、残念ながら発表の瞬間まで居ることができず。果たして、箱の中の時計はどこを指していたのでしょうか…。

2人1組で向かい合い、生卵をお互いに投げ合いながらキャッチしていくシンプルなゲーム。何往復、割らずに続けられるかを競います。
途中で卵を落としてしまったり、割れてしまった時点でそのペアは脱落。最後まで成功し続けたペアが勝者。キャッチ時の衝撃の吸収がとても大切なこのゲーム。気をつけないと、コントロールを失敗した卵が自分のところに来るかもしれないハラハラがありました。

これは、いわゆる美人・イケメンを決めるだけの大会ではなく、伝統衣装の着こなしや立ち居振る舞い、明るさや親しみやすさなどを含めて、その場の雰囲気をいちばん盛り上げる人物を選ぶイベント。
テレビで見たときは大人たちが競っていましたが、この村で出会ったのは、とっても小さな参加者たち。
一生懸命にスピーチをしたり、歌をうたったり、踊ったりと、それぞれが思い思いの表現で会場を盛り上げます。
そのあまりの可愛らしさに、会場全体が温かい空気に包まれていました。こんなにも愛らしい子どもたちの中から、いったいどうやって優勝を決めるのだろう……。

終わり際にほんの少しだけ伝統的な遊びの壺割りゲームも見ることができました。
これは、目隠しをした参加者が棒を持ち、周囲の声を頼りに進みながら、吊るされた壺を叩くという、日本のスイカ割りに近い遊び。壺の中には水が入っていて、見事に当たると水が一気にこぼれ落ち、会場は大きな歓声に包まれます。
目隠しをしているため、どこに壺があるのかは本人には分かりません。周囲の人々が「もっと右!」「もう少し前!」と大声で指示を出します。
他の場所で見たのは、プラスチックの壺に棒当てて、水がこぼれたら成功。でもこの村では、焼き物の壺を棒で割ったら成功というかなり難易度が高くなっていました。場所によって少しずつ内容が異なるみたい。写真は、叩かれた壺の残骸。大人も子どもも列を作って順番を待ち、会場は終始白熱した雰囲気に包まれていました。
その他、スリランカのお正月ゲーム紹介についての関連記事はこちらでも紹介しています。
丸太の上で枕を振り回す、ピローファイト体験記
そしてお正月ののゲームの一つ、枕たたきこと「ピローファイト」。実際に思わぬ展開から私もほんの少しだけ参加してみました。
そもそも「ピローファイト」とは?
ピローファイトとは、もともとはカナダやアメリカでスポーツとして定着したもの。
枕で相手を叩き合う、ちょっとユニークな競技。
スリランカのお正月に行うのは、さらにサバイバル感の強いスタイル。丸太にまたがり、枕で相手を叩いて、叩いて、叩き落とす。落ちたら負け。シンプルだけど、なかなか激しい。
実はこの競技のことを知ったのは、お正月当日のこと。
現地の方に動画を見せてもらって「スリランカのお正月にこんなことするんだ!」とびっくり。まさかその翌日、自分が丸太の上に立つことになるとは、このときは思ってもいませんでした。
ピローファイトの始まり
村のイベント会場でピローファイトが行われているのを少し見学していた私。
地元の人たちが丸太の上で激しく戦う様子を眺めながら、試合の終わり際に見始めたので「もう終わりなのね!」ともう少し見てみたかったという気持ちで言った。

しかしながら、その言葉が「やりたい!」という意味に受け取られてしまった。
その瞬間、ちょうど次の競技のリレー準備が止まり、マイクを持ったスタッフの声が会場に響き渡った。
「ジャパニーズガールがピローファイトしたいって!相手になってくれる女性、探しています!!」
この村に日本人女性はわたしひとり。
会場中の視線が、一斉にこちらへ向く。困惑と恥ずかしさで頭が真っ白。隠せない戸惑いと、もう引き返せない雰囲気になった…。

高さ1.5m、丸太の上へ
そして、対戦相手が現れた。

木登り経験皆無の私は、スリランカ人に助けられて踏ん張りながら登った。対戦相手が現れた。そして手渡されたのは、枕ではありませんでした。布の切れ端を詰め込んだ袋。ドシっと硬くて、重い。「これで相手を叩くの!?」と内心びびりながら、丸太へよじのぼる。木登り経験皆無の私は、3人のスリランカ人に支えられて踏ん張りながら登った。

高さは大体1.5〜1.6mほど。思っていたより、ずっと高い。叩き合いが始まる前から、この高さだけで負けそうな気持ちになってしまった。

左手はズボンの背中部分に入れ、右手に枕を持ちスタート!
始まると、お腹に力を入れてバランスをとろうとするのだけれど、つるつる滑って安定しない。

というか、痛い!こんな痛いもので攻撃するのか!という驚き。
基本、横顔あたりを攻撃するみたいです。顔を攻撃…!?

留めの一発を受けて、気づいたらずるずると落ちていた。あっけない幕切れだった。
落ちるときは、沢山のスリランカ人が支えてくれました。
そして本来は、場所を変えて2回戦目へと移るようですが、顔を叩き叩かれることが向いていなと感じ、断念しました。
試合終了… !
試合が終わったあと、相手の女性とお互いに謝って、握手して、ハグして、写真を撮った。
会場のみんなに「痛かったでしょ!」と口々に声をかけてもらって、なんだか町の人たちとも、より仲良くなった気分。
帰り道、バイクで近くのバス停まで現地のスリランカ人に送ってもらった。途中で通りすがった町の人たちに、ピローファイトのことを沢山いじられて、恥ずかしいやら嬉しいやら。
一年に一度しかできない体験を、こんなかたちでできるとは思っていなかった。戸惑いが大きかったが結果、楽しい思い出になった。

さいごに
スリランカのお正月シーズンは、地元の人にとってはもちろんのこと、旅行者にとっても特別な時期。
街の動きが変わり、普段は見られない伝統的な風景に出会えます。
ただ注意点もあり、お正月期間中は休業するお店があったり、タクシーがつかまりにくかったりすることも。移動や食事の計画は余裕をもって立てておくことをおすすめします。その代わり、地元の人たちと同じ時間を共有できる体験は、旅の思い出として格別のものになるはずです。
新年の日は同じでも、お正月のイベントは地域によって開催時期が異なります。翌日や翌々日、スリランカを車で移動する際に、何か所かイベント会場を見つけました。もしお正月あたりにスリランカに訪れ、沢山の人が広場に集まってにぎやかな雰囲気になっている場所を見つけたらぜひ見学してみてください。会場によって競技が異なり、日本で馴染みある種目から、ユニークな種目も見られるかもしれません。中にはライブを行ったり、ダンスコンテストを行う場所もあるみたい。
参加したいときはぜひ近くのスリランカ人に話かけてみてください。きっと歓迎してくれるはず。私は、スリランカにいる沢山の人々にお世話になり、とっても楽しいお正月を過ごすことができました!
世界中を旅して、スリランカにたどり着きました。食べることと、手仕事が好きです。
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