シンハラ語3-1 シンハラ文字で知るシンハラ語地名(not 英語地名!)
スリランカの地名は、シンハラ語・タミル語・英語の3つで記述されていることが多いですが、それぞれに名前が異なります。
シンハラ文字を学ぶと、シンハラ地名が分かるようになります。
コロンボで、ゴールロード沿いをペターに向かって走るバスは「ピタコトゥワ!ピタコトゥワ!ピタコトゥワ!」と連呼していますが、これはペターのシンハラ語地名が「ピタ・コトゥワ」だからです。
「コロンボ・フォート」のシンハラ語名は「コトゥワ」で、
「コロンボ」のシンハラ語名は「コランバ」で、
「ネゴンボ」のシンハラ語名は「ミーガムワ」です。
日本語によるスリランカの地名の記述は英語名をカタカナに当てはめたものと考えるといいでしょう。
「コッテ」と日本語で書かれますが、シンハラ文字を見ると「コーッテー」です。
「チラウ」のシンハラ語名は「ハラーワタ」で、
「トリンコマリー」のシンハラ語名は「トゥリクナーマラヤ」で、
「バッティカロア」のシンハラ語名は「マダカラプワ」です。
スリランカ最南端の「ドンドラ」は「デウィ・ヌワラ」で、
「キャンディ」は「マハ・ヌワラ」です。
ということで、本記事ではシンハラ語地名を覚えやすいように、似た名前をグループにしてみました。
目次
「ワ」or 「ヤ」で終わる地名
ペーラは果物のグァバ、デニヤは谷・谷間・沼地・荒地の意味なので、ペーラーデニヤは「グァバの沼地」でしょうか。
植民地や属領などの総督を「ヤーパー」と言うことから、ヤーパナヤは東ガンガー朝(カリンガ国)からきたカリンガマガーが建国したことから、そう呼ばれたのかもしれません。
ジャフナという英語名は、ジャワ島・スマトラ島・マレー半島を治めていたシュリーウィジャヤ王国から独立したタンブラリンガ国が北部を統治していた時代に、ジャワ島の名からジャフナと名前がついたとされています。
「ギリヤ」 or 「ッラ」 or 「プラ」などの地名
ギリヤは「山」や「岩」の意味があります。
山を示す言葉に「カンダ」もあり、岩を示す言葉には「ガラ」もありますので、ギリヤは「岩山」と覚えらればいいかと思います。
ムッラは「隅・角・端」などの意味があります。
バッタラは艀・荷船の意味ですので、バッタラムッラは「艀の端」という意味の村です。
コーッテー王国の要塞の外堀の向かいの村であったことからでしょう。
プラはサンスクリット語で「町」の意味です。
「ピティヤ」 or 「トタ」 or 「タラ」 or 「ゴダ」or「ワラ」などの地名
ピティヤは「広場」という意味です。
トタは「船着場・港」という意味です。
タラも同じ意味だとされています。
マータラは古い地図では、「マハータラ」と書かれていましたので、大きな港が由来かもしれません。
同じ「マー」の地名では、「マータレー」がありますが、「マハータラ(大きなタリポットヤシ)」が由来でしょう。
マータレーの郊外には、タリポットヤシで仏典を結集したアルウィハーラヤがあります。
ワラは「森」を意味します。
デヒは「ライム」のことですので、デヒワラは「ライムの森」になりそうです。
ゴダは「田舎あるいは山のように積まれていること」を意味します。
コスはジャックフルーツのことですので、コスゴダは「ジャックフルーツの田舎」という名前です。
「ヌワラ」 or 「ガマ」 or 「ガラ」 or 「オヤ」 or 「ッサ」
ヌワラは町を意味します。
キャンディは「大きな町」と呼ばれているわけです。
首都はアガ(重要な、先の)を加えて、アガヌワラと言います。
スリランカの南端「デウィヌワラ」は”神の都”という意味のようです。
ガマは「村」の意味です。
ウェリは「砂」を意味しますので、ウェリガマは「砂の村」となります。
ラーは「椰子酒」のことですので、ラーガマは「椰子酒の村」となります。
アルトゥは「新しい」という意味ですので、アルトゥガマは「新しい村」となります。
ガラは「岩」を意味する単数形で、複数形はガルになります。
山や町の名前によく付けられています。
オヤは「小川」の意味です。
ナーヌは「粘液」を意味しますので、ナーヌオヤは「ねばねばした小川」になるでしょうか?
マードゥルは「姫茴香というスパイス」の名前ですので、マードゥルオヤは「姫茴香の小川」。
ディクは「長い」という意味ですので、ディクオヤは「長い小川」。
ウェッラは「砂浜」の意味ですので、ディクウェッラは「長い砂浜」です。
コロンボ市内のその他の地名
アルトゥは「新しい」、カデーは「店」の意味ですので、アルトゥカデーは「新しい店」になります。
コタは「短い」、ヘーナは「焼畑」のことですので、コタヘーナは「短い焼畑」。
ワッタは「農園」を意味します。
クルンドゥは「シナモン」ですので、クルンドゥワッタは「シナモン農園」
ケセルは「バナナ」ですので、ケセルワッタは「バナナ農園」
ウェッラは「砂浜」ですので、ウェッラワッタは「砂浜の農園」となります。
コロンボ2の駅名「コンパンニャ・ウィーディヤ」は、駅前にカラフルな建物が並んでいますが、会社(コンパンニャ)が立ち並んでいた通り(ウィーディヤ)であることからきているようです。
その他の地名
シーターワカ(アウィッサウェーラ)のシーターは寒い(シータラ)あるいは裸の(シーターンバラ)からきた名前かもしれません。
ワカは曲がったという意味で、ケラニ川が蛇行しているところに位置しているので付いた名前でしょう。
ae列・ae-列は「え、えー」発音?
以上にように地名を見ると、aeとae-のつく地名は、英語では「e」列で記述されています。
例えば「エッラ」「ボレッラ」「ジャ-エラ」など。
エッラは「滝」を意味します。
ランカー島の王ラワナから名を取られたラワナ滝があるからかもしれません。
ジャはジャワ島を意味し、ジャワ島から移民したスリランカマレー人が住んだ町とされています。
エラは運河のことですので、ジャ-エラは「ジャワ島移民が住む運河がある町」といったところでしょうか。
ガンはガムと同様に「村」を意味し、パハは「5」の意味ですので、ガンパハには5つの村があったのでしょう。
次回の記事では、シンハラ文字での人名の記述を見ていきます。
シンハラ人の名前も、地名と同様に英語表記からカタカナにしているため、シンハラ語の発音とは少々異なる音でカタカナになっています。
それではまた!
参考)
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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