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シンハラ語3-30 聖なる方角は東と南 〜インディヤ、インドラ、ヒンドゥ、シンドゥなど〜

2022年5月01日

本記事では、インディヤ、ヒンドゥ、シンドゥなどインドに関連する言葉を学びます。

タミル人などのドラヴィダ語族が形成したとされている「インダス文明」の名はインダス川に由来します。
インダス川はラテン語名で、サンスクリット語名は「スィンドゥ」で、パキスタンのシンド州はこのスィンドゥに由来します。
シンハラ語では「シンドゥ」といい、「川・海・馬」などの意味があります。

ペルシャ語で、シンドゥより東を「ヒンドゥスタン」といい、
シンハラ語では、それに該当するのが「ヒンドゥスターニ」です。

シンハラ語では東を意味する「インドラ・ディシャーワ」がありますが、インドラは、「デーワ・ラージャ(神々の王)」と言われる古代インドの最高神で、タイの首都バンコクの正式名称には何度もインドラ神が登場します。

ペルシャとインドでは、善と悪が入れ替わっていますが、ウクライナ辺りから中央アジアを通ってやってきたインド・イラン語族の人たちが、東と西に分かれたことに由来するのでしょう。

シンハラ語の語彙を見ても、その経緯が想像できます。

以下、インドに関連する言葉を分類しました。

インド

インディヤ

英語のインディアの由来っぽいですよね。

インディヤーワ=インド
インディヤン=インドの、インド人の
インディヤーヌ=インドの、インド人の

インドラ

インドラからの派生語はとても興味深いです。

インドラ・キーラヤ=インドラ神の御柱
インドラ・ディシャーワ=東、東部、東方
インドラ・ジャーラヤ=奇術、手品
インドラ・チャーパヤ=虹
インドラニーラ・マーニッキャヤ=サファイア

方向、方位、方角を意味する「ディシャーワ」がインドラの後につくと「東」になります。
西のペルシャとの対比で、インドラは東を象徴しているのかもしれません。

インドとペルシャでは神と悪の言葉が入れ替わり、インドの神デーワはイランでは悪ダエーワ、インドの悪アスラはイランでは神アフラです。

インド神話では、東に黄金の土地スワンナブーミがあるとされ、インド人たちはマレー半島やインドシナ半島、インドネシアに渡っていきましたが、スワンナブーミのタイ語名がスワンナブームで、バンコクの玄関口である国際空港の名前になっています。

インドリヤ

インドリヤは関係ないかもしれませんが、ついでに取り上げました。

インドリヤ=感覚、器官
インドリヤ・シャクティ=才能
インドリヤ・ゴーチャラ=知覚できる
インドリヤ・バッダ=感覚的な
インドリヤ・プラティクリヤーワ=感覚反応

ヒンドゥー

シンドゥ=川

シンドゥ=海、川、馬

ヒンドゥ

シンドゥ、ヒンドゥスタンに由来するからか、日本語ではヒンドゥー教といいますが、「ヒンドゥ」と短音です。

ヒンドゥ・アーガマ=ヒンドゥー教
ヒンドゥ・ダルマヤ=ヒンドゥー教義
ヒンドゥ・バクティヤ=ヒンドゥー教徒の信条
ヒンドゥ・ウェール・ウッサワヤ=ウェール祭り、タイ・プーサム
ヒンドゥ・スターニ・バーシャーワ=ヒンドゥスタン語

ヒンディー

語尾が長音になるのは、ヒンディーの方です。

ヒンディー・バーシャーワ=ヒンディー語

タミル

ダミラ=タミル人、タミル語
デマラー=タミル人
デマリー=タミル人女性
デマラヤ=タミル語
デマラ=タミル人の
デマラ・ジャーティカヤー=タミル人
デマラ・バーシャーワ=タミル語
デマラ・アクル=タミル文字

タミル医療「シッダ」

シッダ=生じた、起こった、固有の、有名な、立派な、有効な、聖なる、清らかな
シッダ・カラナワー=実行する
シッダ・ウェナワー=(よくないことが)起こる、ふりかかる、生じる

タミル人の聖地

インド最南端のコモリン岬は、インドで太陽が海から登り、海に沈むのが見える重要な聖地で、スリランカと最も近い南東の果てラーメーシュワラムも大切な聖地です。

スリランカでも最南端は「デウィ・ヌワラ(神の都)」と呼ばれ、聖地ですが、巡礼先になっているのは南東の果てカタラガマです。

最南端のデウィ・ヌワラ近くの町マータラや、南西のアンバランゴダは悪霊祓いの芝居を仮面をつけて行うことで知られていますが、南インドから伝わった伝統的な民族舞踏を「ナーダガマ」とも言います。

インド南西部のケーララ州では、仮面をつけた舞踏が知られていますが、南インドでは舞踏や芝居が大事なのでしょう。

芝居や劇を意味する「ナルワ」は、ジャフナのナルーワ寺院を想起させます。

カタラガマ=カタラガマ神
ナーダガマ=南インドから伝わった伝統的な民族舞踏、田舎芝居、悪ふざけ
ナルワ=芝居、劇
ナルワー=俳優

まとめ

ペルシャ文明圏との対比で、インド文明圏にとって、東と南が聖地なのかもしれないと思いました。

インド亜大陸への侵入ルートは、北のカイバル峠で、マケドニア、モンゴル、ペルシャ、イスラームなどの陸の大国からの脅威は主に西の方から北の峠を越えてやってきたからかもしれません。

シンハラ語を学んでいて、歴史を感じてしまいました。

参考)
ウィキペディア:シンド州
ウィキペディア:インダス川
ウィキペディア:パンジャーブ
ウィキペディア:イラン語族
ウィキペディア:インドラ
ウィキペディア:デーヴァ
ウィキペディア:ダエーワ

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